プレスリリース

2002年2月21日

NSネットによる相互評価(ピアレビュー)報告書の受領について

 報告書では、良好事例が30件、改善提案が3件示されました。主な良好事例と改善提案は、次の通りです。

1.主な良好事例

パフォーマンス指標の効果的な運用による安全文化醸成

 発電所運営に係わる具体的なパフォーマンス指標がよく整理されており、「重点行動方針」に基づき「発電所総合指標」と「各課(室)貢献度指標」が定められ、展開されている。また、これらの指標がわかりやすくまとめられた『発電所運営計画書』が毎年度作成され、この概要版が全従業員に配布されるとともに、毎月の実施状況が所内データベースに適時入力され、電子掲示板で公表されることにより、発電所員の安全文化醸成に寄与している。

緊急事態発生時の他発電所との協力体制の充実

 万一の緊急事態発生に備えて、社内3原子力発電所間の連携が『大飯発電所原子力事業者防災業務計画』に記載されている。また、若狭地域に発電所を有する事業者である関西電力(株)、日本原子力発電(株)並びに核燃料サイクル開発機構の間で「若狭地域原子力事業者における原子力災害発生時の連携に関する確認書」が締結されるとともに、国内の原子力発電事業者間でも連携に関する確認書が締結されており、協力体制が充実している。

所内データベースの活用による安全に係わるノウハウ等の蓄積

 以下に示すような各種データベースの活用により、安全に係わるノウハウ等が蓄積され、共有化されることにより、安全性の向上に寄与している。

「定検操作データベース」 定検中の各工程・作業隔離復旧操作について、過去の実績や注意点・ノウハウが体系的にまとめられている。
「技術伝承データベース」 設備変更や運用の見直し等に対応するために、主に運転操作に関する知識と技能がまとめられている。
「定検反省データベース」 定検後に実施される反省会の結果がまとめられている。

機器操作支援システムの活用

 現場の弁にバーコードが貼り付けられ、作業隔離明細書に書かれたものと相違ないことがバーコードリーダーを搭載したモバイルコンピュータを現場に持ち込んで確認されており、操作対象の間違い防止に役立っている。

専用のデータベースを用いたトラブル水平展開情報の共有化

 トラブル水平展開の実施状況と実施項目管理のため、実施済み及び実施中並びに実施予定のトラブルについて定められた形式を有する専用のデータベースが全社規模で作成されている。これは、電子ファイルに登録・保管され、社内イントラネットを活用して社員全員が閲覧できるようになっているなど全社大で運用されており、トラブル水平展開の確実な実施と水平展開状況のフォローアップに役立っている。

2.改善提案

緊急時対策所のインフラの充実

 現在使用している緊急時対策所を拡充するとともに、他社の最新事例の反映や本店、若狭支社及びオフサイトセンター との情報の共有化の観点から各種インフラの整備を推進していくことが計画されている。これについて、計画どおり着実に実施していくこと及び今後も技術的進歩や種々の知見を適切に反映し、緊急時対策所の更なる充実を図っていくことが望ましい。

発電室内会議への他発電室当直課長のオブザーバー参加

 各発電室毎に当直課長が集まる発電室内会議が開催され、各当直班間の意思疎通や情報連絡が図られている。この会議に他発電室の日勤直当直課長や発電室長がオブザーバー参加し、直勤務者の情報の共有化やコミュニケーションの一層の推進のため、更なる情報交換を行うことが望ましい。

臨界安全をより身近に理解できる教育資料のさらなる充実

 現在保安教育に使用されている教育テキスト「原子力発電所における臨界管理」の構成は、臨界の基礎(核分裂、中性子の反応、連鎖反応と臨界)、原子炉における臨界の制御及び新燃料貯蔵・使用済燃料ピットの未臨界性からなっており、臨界安全性を広く理解する上で十分な内容となっている。
 燃料を取扱う作業者が臨界安全をより身近に理解できるように、原子力発電所内での燃料の搬入から搬出に至る工程での臨界管理方法と臨界管理上の注意点等をさらに充実することが望まれる。

以 上  

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