プレスリリース

2001年9月3日

高圧・大容量コンデンサ型瞬時電圧低下対策装置の開発

1.まえがき

 現在鉛電池をエネルギー貯蔵に用いた低圧用の無停電電源装置(以下UPSと呼ぶ)が瞬低・停電対策装置の主流となっています。しかし、需要家のフィーダには重要負荷と一般負荷が混在しており、低圧フィーダ側で重要負荷毎に瞬低対策を施すことが管理面で大変になってきていること、重要負荷のみを特定のフィーダに集めるような工事が難しいことから、瞬低対策を施す上で高圧側で一括して瞬低補償するニーズが高まっており、この対応策として瞬低対策用高圧/大容量直列補償装置の開発を行っています。

2.装置の概要

2−1.動作原理

 この装置は、定格6.6kV、2MVAで需要家構内の高圧配電系統を一括して保護します。
 常時はサイリスタスイッチにより商用電源から負荷給電を行い運転効率99%を実現し、エネルギー貯蔵用の直流コンデンサを定格電圧で充電、インバータは停止状態でスタンバイしています。瞬低が発生した場合はサイリスタスイッチを高速でOFFし、直流コンデンサに蓄えたエネルギーを利用して、商用電源の電圧低下分をインバータから直列に電圧補償します。(図1)瞬定判定時間は1/4サイクル以内と高速であり、電圧低下幅が大きい程検出時間は更に短くなります。

図1 高圧/大容量瞬低対策装置
図1 高圧/大容量瞬低対策装置
2—2.補償性能
 コンデンサに蓄えられたエネルギーと補償対象負荷の容量によって異なりますが、定格負荷容量において電圧低下幅10%−2秒、60%−0.35秒、100%−0.09秒の補償時間となります。

 図2よりほとんどの機器が上記補償範囲で、この装置により補償が可能となります。

 表1に一般UPSとコンデンサ型瞬低装対策装置の特徴比較を示す。

 またこの装置は、インバータの多重化とコンデンサ増設により定格6.6kV、10MVAまで容量増が可能です。

図2 機器の瞬低耐力特性
図2 機器の瞬低耐力特性
表1 UPSとコンデンサ型瞬低補償装置特長比較
表1 UPSとコンデンサ型瞬低補償装置特長比較

3.用途

 国内では電力供給信頼度が高いため、停電事故は非常に少なく、瞬低を救済すれば大幅な採算性向上が得られる半導体製造装置等の産業用製造設備一般、計測・制御用電源、制御用コンピュータなどの業種・製造ラインが瞬低対策装置導入の最適な候補となります。

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