プレスリリース

2001年2月22日

タイにおける「既設火力発電所の運用改善による熱効率修復」

1.プロジェクト概要
  タイ国発電公社(EGAT)の既設火力発電所を対象として、運用改善による熱効率の向上を行い、燃料消費量(CO2排出量)の低減を目指す。

参加主体:関西電力、電源開発、中部電力およびEGAT
対象設備:サウスバンコク発電所4号機( MW、油焚き、昭和51年運開)をモデルと し、 有効な対策を他号機に水平展開する。
   
実施期間:平成8年11月~平成13年2月
運用改善項目

再熱器スプレー水量の低減
  再熱器スプレー水が多量に注入されており、熱効率が低下していたため、ガス再循環ファンを1台 停止し再循環ガス量を低減することによりスプレー水量の低減を図った。
補機動力の低減
  過剰に運転されていた補機(ガス再循環ファン、ボイラ循環水ポンプ)の運転台数を減らすことにより補機動力の低減を図った。
水質ブローの低減
  給水の汚れによる設備の腐食などを防止するためにドラム水を多量にブローしており、このため熱効率が低下していた。水質管理の改善によるブロー量の低減について試験を進めている。

 

2.プロジェクトの効果
  以上の対策により、当初計画では約0.1%の熱効率向上を目指していた。
  平成9年に4号機で対策を実施し約0.2%の熱効率向上を確認した後、3号機、5号機
    へも水平展開を行い、以下の通り予想を上回る効果が得られた。


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3.プロジェクトの経緯

平成8年4月

共同実施活動※1として進めることについてEGAT※2と合意

7月
共同実施活動ジャパンプログラムとして政府の認定を取得
11月
調印式 :EGAT・プリーチャ総裁
関西電力・秋山社長、電源開発・幸田副社長、
中部電力・佐藤副社長出席(肩書きは当時)
11月
VISIT-1:現状調査
平成9年4月
VISIT-2:対策実施方法の検討
10月
VISIT-3:対策実施状況の確認
10月
タイ科学技術環境省へ実施計画書を提出し共同実施活動として申請
平成10年6月
EGATの技術者を対象とした熱効率管理セミナーを実施
6月
VISIT-4:対策実施状況の確認、モニタリング方法の検討
平成11年10月
VISIT-5:モニタリング結果の確認
10月
タイ政府の共同活動小委員会で審査
→結論:内容は良い。ただしプロジェクト開始時まで遡って共同実施活動として認定することは出来ない。
平成12年3月
モニタリング終了
平成13年2月
最終報告、EGAT総裁より感謝状を受領(19日)
※1 共同実施活動
各国が協力して地球の温暖化を防止するため、各国が有する温室効果ガスの削減、吸収及び固定化などの技術、ノウハウ、資金を適切に組み合わせ、共同のプロジェクトを実施し、世界全体として地球温暖化対策を費用効果的に行っていくことを目指す手法。
※2 タイ国発電公社(EGAT)
タイ国発電公社(EGAT:Electricity Generating Authority of
Thailand)は、昭和44年5月に3つの発電公社を統合して発足した
国営の発送電公社であり、タイ全土に電気を供給している。
平成11年9月30日
現在の発電設備容量は15,358MW(火力6,518
MW、コンバインドサイクル5,075MW、水力2,874MW、ガスター
ビン886MW他)、従業員数は30,202人、販売電力量は845億kWh

である。


    
 
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