プレスリリース
2000
2000年5月9日
関西電力株式会社
マングローブ林は膨大な炭素を固定(国際共同研究で確認)
1.概要
1996年から4年間「沿岸域における総合的な生態系利用によるCO2吸収固定化研究」の国際共同研究において、当社とオーストラリア海洋科学研究所(AIMS)、(株)関西総合環境センター(KANSO)の三者はそれぞれが得意とする海洋、陸域生物生態およびバイオ技術等の各種科学技術を活用し、人為的攪乱を受けていないオーストラリア・ヒンチンブルックおよび人為的攪乱を受けているタイ・チュンポンのマングローブ林を研究対象としてその炭素固定能等の研究を実施しました。
オーストラリアのマングローブ林
2.研究成果
マングローブ林と熱帯林の二酸化炭素固定能力の比較
マングローブ林は熱帯林(炭素固定能力:5.5tC/ha・年)に匹敵する炭素固定能力(6.9〜12tC/ha・年)を有しており、また、土壌中に膨大な炭素を蓄積(1200〜6000tC/ha)していることが判明しました。
特に攪乱(エビ養殖池跡地、スズ鉱山跡地、マングローブを伐採後放棄された荒廃地等)を受けたタイ・チュンポンのマングローブ林においては、樹齢が若いため地上部の炭素固定能力が特に高いことが明らかになりました。

調査地の風景(タイ・チュンポン)
オーストラリア | タイ | |
地上部 | 133 | 40 |
地下部 | 52 | 21 |
土壌 | 6,000 (推定値、地下10mまで) |
1,208 (地下8.5m) |
このことから、マングローブ林を中心とした沿岸生態系を修復することは二酸化炭素の効果的な吸収固定対策として重要であり、地球温暖化の抑制に貢献するものです。
今回の研究で得られたこれらの成果は、世界的に見ても数少ない非常に貴重なデータです。
3.今後の予定
本研究では、マングローブ林での炭素固定能力を明らかとしました。
今後は、タイ王国において当社、(株)関西総合環境センター、ならびにタイ王国 農業組合省 王室森林局(RFD)の三者でマングローブの大規模植林技術の共同研究を開始いたします。