プレスリリース

2000年10月20日

美浜発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について

1.今回の定期検査を利用して実施した主な工事等
 (1)1次冷却材ポンプ供用期間中検査  (図-1参照
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、3台ある1次冷却材ポンプのうち、B-1次冷却材ポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検しました。

 (2)原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事  (図-2参照
 海外における原子炉冷却系統設備の損傷事例等に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統他の配管の一部について、材質等を変更した新しい配管に取り替えました。

 (3)1次冷却材系統脱気装置設置工事  (図-3参照
 応力腐食割れに対する環境改善および脱気操作の短縮を図るため、脱気装置および接続配管を設置しました。

 (4)発電機固定子コイル取替工事  (図-4参照
 絶縁物の材料を現在のポリエステル樹脂から、耐久性に優れたエポキシ樹脂に変更し、発電機固定子コイルを取り替えました。

2.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果

 蒸気発生器伝熱管(A-蒸気発生器、3,382本)について、その健全性確認のため、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、3本の伝熱管において、高温側管板直上部に欠陥の可能性を示す有意な信号指示が認められました。
 調査の結果、当該蒸気発生器2次側の、有意な信号指示が認められた伝熱管3本の間に大きさ約4~5cm四方の板状の固体物(異物)が確認され、異物と伝熱管の摩耗形状や摩耗位置の一致等により、当該伝熱管の損傷は、異物との接触による摩耗であることが判明しました。
 外観、金属組織、成分等について調査を行った結果、当該異物は機器の構成部品や治工具等の材料ではなく、電極に銅コーティングしたものを使用した溶断(アークエアガウジング法)により発生する2次生成物の可能性があることが分かりました。

 異物混入原因の調査の結果、前回(第17回)定期検査時の主給水制御弁取替工事において、アークエアガウジング法による主給水配管の溶断作業を行った際発生した2次生成物が、その後の作業過程で配管接続前の主給水管内に混入し、運転開始に伴い蒸気発生器2次側に流入後、当該伝熱管に接触し、水の流れに伴い振動したことで、伝熱管に摩耗が生じたものと推定されました。

 対策として、ECTにより有意な信号指示が認められた3本の伝熱管について、施栓を実施しました。また、作業時における異物混入防止対策として、以下の事項について徹底を図るとともに、作業計画書等に明記します。
  • 機器の開放作業においては、開口部と通路等、異物混入の要因となりうる箇所との区画を確実に実施し、異物の混入を防止する。
  • 最終の異物確認に際しては、作業対象機器の異物確認のみではなく、開口部周辺の不要部材、廃材などの撤去等、清掃が確実になされていることも十分に確認する。
  • 異物確認後は、開口部閉止まで連続して作業を行い、不必要な開口部を作らないこととする。
  • 異物管理責任者は、最終の異物確認以降、開口部が完全に閉止するまで連続的に監視する。
 さらに、定期検査前の事前説明会等を活用し、今回の事例及び異物管理の重要性について周知徹底します。
 なお、BおよびC-蒸気発生器の伝熱管全数についてもECTを実施しましたが、有意な信号指示は認められませんでした。

[平成12年9月18日 記者発表済]

(参考)各蒸気発生器の伝熱管数:Aループ 3,382本(今回検査実施)
               Bループ 3,382本
               Cループ 3,382本
                 計  10,146本

3.燃料集合体の検査結果

 
 燃料集合体(22体)について、外観検査を実施した結果、異常は認められませんでした。
  また、燃料集合体全数157体のうち61体を取替えました。
  (取替燃料集合体61体のうち48体は新燃料集合体)

4.その他

 
 日本原子力発電敦賀発電所2号機における1次冷却材漏えい事象を踏まえ、プラント運転中に原子炉冷却材系統と同温、同圧の1次冷却材が流れる再生熱交換器と原子炉冷却材系統間の配管の一部について、超音波探傷検査(UT)を行い、健全であることを確認しました。
 また、海外プラントで発生した熱疲労事象の反映として、類似箇所について超音波探傷検査(UT)を実施し、健全であることを確認しました。(図-5参照

5.次回定期検査の予定

 
平成13年冬頃

以 上  

<参考資料>

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