プレスリリース

2000年7月11日

大飯発電所2号機の点検結果について
(湿分分離加熱器ドレンタンクからの蒸気漏えいの原因と対策)

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉、定格出力117万5千キロワット)は、定格出力で運転中のところ、7月7日9時50分頃、巡回点検中の運転員が、2次系の3B湿分分離加熱器(*1)第2段ドレンタンク(*2)のマンホール下部より、蒸気が漏れているのが確認されました。
 このため、同日11時15分より出力降下を開始し、同13時00分に電気出力を65%としました。
 なお、この事象による環境への放射能の影響はありませんでした。
(*1)湿分分離加熱器: 高圧タービンで仕事をした蒸気を、引き続き低圧タービンで使用する前に、湿分を除去し、蒸気の温度を高めるために再加熱する熱交換器。
(*2)ドレンタンク : 高圧タービンで仕事をした蒸気を、引き続き低圧タービンで使用するた めに加熱する別系統の蒸気が、加熱後水になることから、これを回収して一時的に貯蔵するタンク。

[平成12年7月7日 記者発表済]  


1.調査結果
  ·第2段ドレンタンクマンホール部の調査
 マンホールフランジ部(胴側シート面)の漏えい箇所(150°~160°)において、幅約21mmの帯状の蒸気漏えい跡が認められ、当該漏えい跡の入口近傍に幅約3〜6mm、長さ約6mm、深さ最大約0.2mmのへこみ傷が5箇所認められました。

  ·マンホールパッキンの調査
 胴側シート面の内側に約180mm、外側に約100mmの蒸気漏えい跡が認められました。

  ·へこみ傷発生の要因調査
  • モックアップ試験
     モックアップ試験により、異物の噛み込みでできるへこみ傷と組立中に使用する工具およびその他重量物の接触で生じるへこみ傷との形状、寸法等を比較した結果、へこみ傷の原因として工具およびその他重量物の接触で生じたとは考えられず、異物噛み込みの可能性はあることがわかりました。
  • 作業手順の調査
     当該マンホールの作業手順では、分解点検後のマンホール復旧時にフランジ部のシート面を洗浄することになっていますが、パッキンの仮置き時等の異物管理については明記されていないことがわかりました。パッキンは、一旦ボルトで締め付けられると異物が外から侵入するすき間がなくなることから、パッキンを現場で開梱した後、マンホール部に取り付けるまでの間に異物が誤って付着した可能性があることがわかりました。
  • 以上のことから、マンホールフランジ部胴側シート面にあったへこみ傷は、パッキンに誤って付着していた異物により発生した可能性が高いことが判明しました。

2.推定原因

 
 当該ドレンタンクのマンホール復旧に際し、パッキン仮置き時等にパッキンシート面に何らかの異物が付着し、そのままマンホールフランジ部シート面に異物が噛み込んだ状態で組み立てられ、その後プラント運転に伴い、徐々に内部蒸気がパッキンシート面外周に向かって浸透し、浸透蒸気が異物の噛み込み箇所の周辺まで達して、その部位からさらに蒸気が浸透し、貫通漏えいに至ったものと推定されました。

3.対  策

 当該フランジシート面を機械加工により手入れを行い、当該パッキンを新品に交換しました。
 また、従来から異物管理対策を講じてきていますが、パッキンシート面に対する異物の付着防止を具体的に作業要領書に明記し、対策を強化することとしました。

 本日、昼頃から出力を上昇し、同日、深夜頃に定格出力に復帰する予定です。

以 上  

(通商産業省によるINESの暫定評価)
INES:国際原子力事象評価尺度
基準1 基準2 基準3 評価レベル
評 価 対 象 外 評価対象外

<参考資料>


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