プレスリリース

2000年6月16日

美浜、高浜および大飯発電所原子力事業者防災業務計画の作成について

1.作成の目的
 美浜発電所、高浜発電所および大飯発電所の原子力事業者防災業務計画は、原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号。以下「原災法」という。)第7条第1項の規定に基づき、それぞれの発電所における原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策その他の原子力災害の発生及び拡大を防止し、ならびに原子力災害の復旧を図るために必要な業務を定め、原子力災害対策の円滑かつ適切な遂行に資することを目的として作成する。

2.作成年月日
 平成12年6月16日

3.構成

 第1章 総則
第1節 原子力事業者防災業務計画の目的
第2節 定義
第3節 原子力事業者防災業務計画の基本構想
第4節 原子力事業者防災業務計画の運用
第5節 原子力事業者防災業務計画の修正
 第2章 原子力災害予防対策の実施
第1節 原子力防災体制
第2節 原子力防災組織の運営方法
第3節 放射線測定設備および原子力防災資機材の整備
第4節 緊急事態応急対策等の活動で使用する資料の整備
第5節 緊急事態応急対策等の活動で使用する施設及び
     設備の整備・点検
第6節 原子力防災教育の実施
第7節 原子力防災訓練の実施
第8節 関係機関との連携
 第3章 緊急事態応急対策等の実施
第1節 通報、報告等の実施
第2節 応急措置の実施
第3節 緊急事態応急対策
 第4章 原子力災害事後対策の実施
第1節 発電所の対策
第2節 要員の派遣、資機材の貸与
 第5章 その他
第1節 福井県内の他原子力事業所への協力
第2節 福井県外の他原子力事業所への協力

4.主な内容

 (1)原子力災害予防対策の実施
   原子力防災体制の区分
 原子力災害が発生するおそれがある場合または発生した場合に、事故原因の除去、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大防止その他必要な活動を迅速かつ円滑に行うため、次に掲げる発生事象に応じて原子力防災体制を区分する。
 原子力第一防災体制: 原災法第11条第1項に基づき設置している放射線測定設備において、1μSv/h以上の放射線量が検出されるか、そのおそれがある場合
 原子力第二防災体制: 原災法第10条第1項に基づく通報を行ったとき
   原子力防災組織
 それぞれの発電所に原子力災害の発生または拡大を防止するために必要な活動を行う原子力防災組織を設置する。
   原子力防災管理者・副原子力防災管理者の職務
 原子力防災管理者(発電所長)は、原子力防災組織を統括する。また、副原子力防災管理者は、原子力防災管理者を補佐し、原子力防災管理者が職務を行うことができないときはその職務を代行する。
   通報連絡先一覧表の整備
 原子力防災管理者は、原子力防災体制発令時の連絡、発電所対策本部が設置された後の連絡および緊急時の通報連絡に万全を期すため、通報連絡先一覧表を整備しておく。
   放射線測定設備および原子力防災資機材の整備
 原子力防災管理者は、放射線測定設備を設置、維持するとともに、原子力防災資機材および資料等を整備する。
   緊急事態応急対策等の活動で使用する施設
     及び設備の整備・点検
 原子力防災管理者は、緊急時対策所、緊急医療処置室、気象観測設備およびプラントデータ表示システム等を整備・点検する。
   原子力防災教育および原子力防災訓練の実施
 原子力防災管理者は、原子力防災組織の構成員に対し、原子力災害に関する知識および技能を習得し原子力災害対策活動の円滑な実施に資するために原子力防災教育を実施するとともに、本部設営・通報・連絡、緊急時環境モニタリング、退避者誘導を含めた原子力防災訓練を実施する。また、国または地方公共団体が実施する原子力防災訓練にも参画する。
   関係機関との連携
 原子力防災管理者は、国および地方公共団体ならびに発電所に関係のある防災関係機関等と平常時から協調し、原子力防災情報の収集・提供等、相互連携を図る。

 (2)緊急事態応急対策等の実施
   原子力防災体制の発令等
 原子力防災管理者は、(1)の原子力防災体制の区分に応じ、原子力防災体制を発令し、直ちに発電所対策本部の要員の非常招集および関係機関への連絡を行う。また、原子力防災管理者は発電所緊急時対策本部長として発電所対策本部の指揮を行う。
   通報、報告等の実施
 原子力防災管理者は、原災法第10条第1項に規定する事象の発生について通報を受け、または自ら発見したときは、15分以内を目途として、関係機関にファクシミリ装置を用いて同時に送信する。さらにその着信を確認する。
   情報の収集と提供
 発電所対策本部長は、事故状況の把握を行うための情報を迅速かつ的確に収集し、社外関係機関に報告する。
   応急措置の実施
 発電所対策本部長は次の応急措置を実施する。
  1. 発電所内の原子力災害対策活動に従事しない者および来訪者等の退避
  2. 発電所内および発電所敷地周辺の放射線ならびに放射能の測定等による放射能影響範囲の推定
  3. 火災の発生状況の把握と迅速な初期消火活動
  4. 負傷者および放射線障害が発生した者またはそのおそれのある者の救出、搬送および応急処置
  5. 発電所内での不必要な被ばくを防止するための、立入り禁止措置の実施および放射性物質による汚染が確認された場合の汚染拡大防止と放射性物質の除去
  6. 発電所退避者および緊急事態応急対策等の活動を行う発電所対策本部の要員の線量当量評価
  7. 関係機関の実施する発電所外の応急対策(緊急時環境モニタリング等)の的確かつ円滑な実施のための要員の派遣、資機材の貸与その他必要な措置
  8. 緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)の運営開始までの間の状況に応じた現地プレスセンターの開設およびオフサイトセンター内での発電所の状況等のきめ細かな報告による合同記者発表への協力
  9. 中央制御室の計器等による監視および巡視点検の実施による発電所設備の異常の状況把握および応急復旧計画の作成とそれに基づく復旧対策の実施
  10. 原子力災害の拡大防止を図るための措置
  11. 発電所が輸送物の安全に責任を有する事業所外運搬に係る応急措置のための要員の派遣、資機材の貸与等必要な措置および運搬を委託した者等との協力による応急措置
   緊急事態応急対策の実施
 発電所対策本部長は次の措置を実施する
  1. 原災法第15条第1項に基づく報告基準に至った場合の関係機関へ報告
  2. に定める応急措置を原子力緊急事態解除宣言があるまでの間継続実施
  3. 関係機関の実施する緊急事態応急対策(オフサイトセンター活動への協力、緊急時環境モニタリング等)のための要員の派遣、資機材の貸与その他必要な措置の実施
  4. 事業所外運搬においては、現地に派遣された要員の専門家の助言等を踏まえた主体的な緊急事態応急対策の実施

 (3)原子力災害事後対策の実施
   原子力災害事後対策の計画
 発電所対策本部長は、原子力緊急事態解除宣言があった場合、復旧対策、環境モニタリングおよび広報活動等に関する事項について原子力災害事後対策計画を速やかに策定し、関係機関に提出する。
   復旧対策
 発電所対策本部長は、原子力災害発生後の事態収集を図るため、原子炉施設の損傷状況の把握等について復旧計画を策定し、実施する。
   要員の派遣、資機材の貸与
  発電所対策本部長は、関係機関の実施する原子力災害事後対策(環境モニタリング等)のための要員の派遣、資機材の貸与その他必要な措置を実施する。

 (4)他の原子力事業者への協力
   福井県内の他原子力事業所への協力
 原子力防災管理者は、福井県内の他原子力事業所で原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む)が発生した場合に、当該事業所が実施する事業所外での緊急事態応急対策等および原子力災害事後対策を支援するため、要員の派遣、資機材の貸与、若狭地域原子力事業者支援連携本部への協力等を実施する。
   福井県外の原子力事業者への協力
 原子力防災管理者は、福井県外の原子力事業所または他の原子力事業所が輸送物の安全に責任を有する事業所外運搬において原子力災害が発生した場合に当該事業所が実施する事業所外での緊急事態応急対策および原子力災害事後対策を支援するため、要員の派遣、資機材の貸与その他必要な措置を実施する。

以 上  

プレスリリース