プレスリリース

2000年6月14日

BNFL製MOX燃料問題に関する調査結果について

 MOX燃料の加工、ペレット外径の検査データ不正に係るBNFLからの連絡、およびその後の調査の経緯は、下記のとおりである。
平成7年
12月20日  当社と三菱重工業の間で高浜3,4号機用MOX燃料16体の加工契約を締結した。
平成8年
1月 8日  三菱重工業とBNFLの間で高浜3,4号機用MOX燃料 16体の加工契約を締結した。
平成10年
1月21日  BNFLのMDFにおいて、高浜4号機用MOX燃料8体の加工を開始した。
12月 9日  MDFにおいて、高浜3号機用MOX燃料8体の加工を開始した。
12月17日  高浜4号機用MOX燃料8体の加工を完了した。

平成11年
7月19日  高浜4号機用MOX燃料の輸送船が、英国バロー港を出港した。
8月20日*  BNFLが、高浜3号機用MOX燃料のペレット外径抜き取り検査データに不審な点があることに気づき、調査を開始した。
9月 3日*  BNFLのインタビューの結果、1人の運転員が不正に関与していることが判明した。
9月 7日** MDFで製造中の高浜3号機向けMOX燃料の通常のX線検査中に、2本の燃料棒内に異物が確認された。燃料棒は不合格となった。
9月 9日** 燃料棒から異物を取り出し、異物が小さなネジと固体状異物であることが確認された。
9月10日* 
(英国時間)
英紙インディペンデントから不正デ-タについてBNFLに問い合わせがあった。本件について、BNFLは、三菱重工業にFAXにて連絡した。
9月12日* 
(英国時間)
BNFLは、高浜3号機用の不正のあった11ロットと、この他の通常ではない9ロットのロット番号をNIIに報告するとともに、三菱重工業にFAXにて連絡した。
9月13日  月曜日の朝、三菱重工業はBNFLからの連絡(上記2件FAX情報)を確認した。

当社から通産省に対して、高浜4号機用MOX燃料について輸入燃料体検査申請を行なった。

夕刻、三菱重工業より当社に、BNFLよりデータ不正の連絡があった旨の連絡があった。当社よりBNFLに直接連絡し、確認した。

9月14日  当社より通産省、運輸省、福井県、高浜町に不正ロットが高浜3号機用に11ロット発見されたことを連絡した。

通産省、福井県、および高浜町よりデータ不正を調査し、報告するよう指示を受けた。

当社および三菱重工業は、BNFLに直ちに先発の調査員を派遣し、現地調査を開始した。当社より、「高浜3号機用MOX燃料の製造時品質管理データの一部に不具合があったとの連絡を受けた。輸送途上にある高浜4号機向けMOX燃料については調査中である」とのプレス発表を行なった。

英紙インディペンデントにBNFLのデ-タ不正疑惑の記事が掲載された。

  9月15日  BNFLは、これまでにキャンペ-ン(注)内、キャンペ-ン間の評価により、高浜3号機用の17ロットに不正デ-タを発見した。
(注: 燃料製造工程は、高浜4号機用と高浜3号機用に分かれており、それぞれの工程をキャンペーンという。)
  9月15日** 燃料棒異物混入の件が、BNFLの役員へ報告された。BNFLの社長は異物混入問題、およびデータ不正問題について外部専門調査員による調査を行うよう指示した。
  9月16日  当社および三菱重工業の社員からなる調査団をBNFLに派遣した。

BNFLは、これまでに高浜3号機用の22ロットに不正デ-タを発見した。また、高浜3号機用の通常ではない1ロット(P974)を発見し、通常ではないロットは計10ロットとなった。BNFLは、これらのことを当社および三菱重工業の現地調査員に連絡した。

  9月17日** BNFLは、外部専門調査員と会議を行い調査範囲を決定した。
  9月18日  明らかとなった不正の手口と検査員の証言を踏まえ、通常ではないとされた10ロットについてBNFL、三菱重工業および当社で検討した。その結果、高浜4号機用のP824は通常ではないとしたものの、検査員の証言等から不正はないと判断した。また、高浜3号機用のP974はデ-タの一致数がそれほど多くなく、その他の高浜3号機用の8ロットは特異な点が不正の認められた22ロットと異なることから不正はないと判断した。
  9月20日  当社の現地調査状況を確認するため、通産省から職員が派遣された。
  9月21日  当社より通産省、福井県、および高浜町に状況報告を行なった。当社より、「現在までに高浜3号機用には22ロットにデータ流用が発見され、高浜4号機用にはデータ流用は認められない」とのプレス発表を行なった。
  9月24日  当社は中間報告書をとりまとめ、通産省、福井県、および高浜町に報告した。当社より、「高浜4号機用の1ロット(P824)については、過去のデータとの一致数がやや多いが、検査員に対するインタビュー、実際の加工工程との比較等の調査の結果、データ流用等の不正はなく、高浜4号機用MOX燃料については他の検査データも含めて不正はないと判断した。一方、高浜3号機用MOX燃料のペレット外径検査データについて22ロットにデータ流用が認められた。その他の検査データについては、引き続き調査を進める」とのプレス発表を行なった。
  9月27日  通産省から原子力安全委員会に、当社の中間報告書が報告された。
  9月28日  福井県議会、および高浜町議会に中間報告書の説明を行なった。
  9月28日頃 BNFLから三菱重工業現地調査員に「X線検査において異物が見つかったため、不合格となった燃料棒がある」と口頭で連絡があった。当社調査員はその後、三菱重工業から口頭で連絡を受けた。
  9月29日**  BNFLは、異物混入の件をNIIへ報告した。
  10月 1日  MOX燃料輸送船が高浜発電所港に到着し(当初9月27日の予定が台風の影響で遅れた)、高浜4号機用MOX燃料8体を受け入れた。
  10月 4日  MOX燃料8体について、発電所使用済燃料貯蔵ピットにおける保管作業を開始した。
  10月 5日  当社および三菱重工業は、BNFLと協議し、再発防止対策を策定した。
  10月 7日  MOX燃料8体の保管作業を完了した。
  10月20日  当社はBNFLから、NIIが高浜4号機用のP783および高浜3号機用のP1039に統計的疑義をもっているとの連絡を受けた。しかしながら、BNFLでの評価の結果、P783に不正はない旨の連絡を受けた。なお、P1039については、当社の調査において、既に不正なしとの判断に至っていた。このため、本件については通産省、福井県、および高浜町への報告は行なわなかった。
  11月 1日  当社は最終報告書をとりまとめ、通産省、福井県、および高浜町に報告し、次の事項をプレス発表した。
検査データに不正があったのは、高浜3号機用MOX燃料の内22ロットのペレット外径データのみであること
不正があった22ロットが含まれている燃料集合体4体は、新たに作り直すこと
不正のあったペレットおよびそのペレットを含む燃料棒を作り直すこと
再発防止対策

通産省から再発防止を徹底するよう指示を受けた。

通産省から原子力安全委員会に当社の最終報告書が報告された。

  11月 2日  福井県議会にて最終報告書を説明した。
  11月13日  当社および三菱重工業は、NIIが疑義を抱いているとした根拠となる統計解析をBNFLから受け取った。
  11月19日  高浜町議会にて最終報告書を説明した。
  12月 2日  高浜発電所にて通産省の検査官による輸入燃料体の現地検査(8日まで)を受検した。
  12月 9日  通産省より当社に対し、NIIが高浜4号機用のP783に統計的疑義を持っているとの情報を得たので確認するよう連絡を受けた。

英紙ガ-ディアンが「NIIが高浜4号機用燃料の品質管理デ-タにも不正があるとする調査結果をまとめた」との記事を掲載した。

  12月10日  当社は、11月8日付のNIIから日本大使館宛ての書簡に関する情報を入手した。

BNFLから当社に対し、「NIIが疑いのあるロットとしているP783については、不正はないロットであると確信している」との連絡があった。

  12月11日  P783に関するデータを評価した結果、不正はないと判断し、当社から通産省にその旨報告した。

通産省より当社へ、調査員をBNFLに派遣するよう指示があった。

  12月12日  当社からP783の調査結果を福井県、および高浜町に報告した。当社および三菱重工業は、調査員をBNFLに派遣した。
  12月15日  当社は通産省から、「英国規制当局からの情報を踏まえると、高浜4号機用の2体の燃料について、不正の可能性を否定できないので、2体の輸入燃料体検査の合否判断を留保するつもりである」との連絡を受けた。通産省から、福井県に同様の連絡があり、福井県から当社に対し、「電力として自主的に使用しない方向で検討すること」との指示があった。これらを踏まえ、当社は検討を開始した。
  12月16日  BNFLより、高浜4号機用のP814に新たに不正が発見されたとの連絡があった。

P814に新たなデータ流用が発見されたことを受け、当社は通産省、福井県、高浜町、および京都府に、高浜4号機用MOX燃料8体全数の使用を中止する旨の報告を行なうとともに、輸入燃料体検査申請を取り下げ、同内容についてプレス発表を行なった。また、通産省から、再調査を行ない報告するよう指示を受けた。

  12月17日  福井県および高浜町より、このような事態に至った経緯を明確にし、徹底した改善策を示すなど県民の信頼向上に最大限の努力を示すとともに、発注者として徹底した品質管理を確保するための方策を十分検討し適切に対処するよう要請を受けた。

また、京都府からも品質管理体制の構築について要請を受けた。

  12月19日  当社から通産省に「10月20日に、BNFLからNIIが高浜4号機用のP783、および高浜3号機用のP1039について統計的疑義をもっているとの情報を入手していた」ことおよび「NIIの統計解析を入手していた」ことを報告した。

連絡を行なわなかったことにつき、通産省から口頭で厳重注意を受けた。

また、高浜4号機用P783に関するNIIの統計的疑義の情報入手について福井県および高浜町に報告した。

  12月20日  高浜町全員協議会にて、装荷予定の高浜4号機用燃料に関し、P814に新たなデータ流用が発見されたこと、NIIがP783に統計的疑義をもっていることを説明し、高浜4号機用MOX燃料8体全数の使用を中止することとした旨の報告を行なった。
  12月24日  BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会の準備会合を開催した。

平成12年
  1月 5日  BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会第1回ワーキンググループを開催した。
  1月11日  BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会第1回会合を開催し、その旨を公表した。

通産省から「NIIが高浜4号機用のP783、および高浜3号機用のP1039について統計的な疑義を有している旨の情報を、BNFLを通じて得ていたにもかかわらず報告しなかった」ことについて文書で改めて厳重注意を受けた。

  1月17日  当社はBNFLとの単独契約分の内、MOX燃料加工契約、および再処理契約を本問題が解決するまでの間、指名停止とした。その他の契約については、4ヶ月間指名停止した。

当社は三菱重工業に対し、契約管理上直接監督すべき下請企業において本来なされるべきことが欠如していたことについて厳重注意した。また、原因究明と再発防止対策の検討、下請企業への指導、監督の充実について要請した。

  1月19日  当社および三菱重工業は、MOX燃料製造時の品質管理状況等の徹底調査のため調査団をBNFLへ派遣した。
  1月25日  三菱重工業は当社に対し、データ不正を見抜けなかったこと、および不正発覚後の調査で不正はないと判断したが覆ったことについて陳謝した。
  1月28日  BNFLより当社および三菱重工業に対し、高浜4号機用のロットP709に新たに疑義が発見された旨の連絡があった。BNFLは、後日、P709は記録管理上のミスであり、不正ロットではないと回答した。
  2月 7日  当社は、BNFLより燃料棒に混入された異物の性状、および故意の可能性について報告を受けた。
  2月 8日  DTIとNIIが来社し、当社への英国政府としての陳謝と調査状況の概要報告があった。
  2月17日  当社は、BNFLより、「5人の従業員がデータ不正に関与したことが判明し、解雇した。さらに何人かの従業員が懲戒措置の手続き対象になっている」との連絡を受けた。
  2月18日  BNFL社長が来社し、当社への陳謝とBNFLとしての調査状況、今後の再建計画について説明があった。

当社は、BNFLに対し、高浜4号機で使用中止としたMOX燃料8体の返送について要求した。

また、燃料棒への異物混入に関する当社への情報連絡が極めて不適切であった点を指摘するとともに、これに係わった者の調査において曖昧な部分を残さないよう必要な措置を要請した。

MDFおよびセラフィールドサイト(再処理・廃棄物管理施設)についてのNII報告書、ならびにMDFについてのBNFL報告書が、英国において公表された。

  2月21日  BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会第2回会合を開催した。
  3月 1日  当社は中間報告書をとりまとめ、通産省、福井県、高浜町および京都府に報告するとともに、次の事項を当社からプレス発表した。
詳細分析の結果、不正ロットは高浜3号機用の28ロットと高浜4号機用の3ロットの計31ロットとなった。
品質保証・品質管理の問題点を明らかにし、再発防止対策の方向性をとりまとめた。
今後、社外の専門家のご意見を聴取しながら、再発防止対策等の検討を進め、最終報告書をとりまとめる。

当社は、原子燃料部門に品質・安全チームを設置した。

  3月 9日  当社は、BNFLとのワーキンググループによる検討会を開催し、補償交渉を開始した。
  3月27日  当社は、BNFLから燃料棒への異物混入に関する調査結果の連絡を受けた。
  4月 1日  当社は、本店に品質・安全委員会を設置し、本調査検討委員会はその下部委員会となった。
  4月 2日  当社および三菱重工業は、燃料棒異物混入に関して詳細調査を行なうためにMDFに調査員を派遣した。
  4月18日  BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会第3回会合を開催した。

BNFLがNII勧告に基づき、MDFおよびセラフィールドサイトに関する是正措置報告書を公表した。

  5月17日  三菱重工業より、原因究明、再発防止対策等調査結果について報告を受けた。
  5月26日  BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会第4回会合を開催し、委員会の調査結果をとりまとめた。
  5月30日  第1回品質・安全委員会を開催し、BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会の報告書を承認した。
  6月 1日  当社は、BNFLから異物混入に関する調査結果、および従業員に対する措置について報告を受けた。
注: *印の4件については、当社は9月13日に確認した。**印の4件については、平成12年2月18日付、BNFL報告書で明らかとなった。
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