プレスリリース

2000年5月15日

大飯発電所1号機の点検結果について
(復水器内への海水漏れ込みによる出力降下の原因と対策)

 大飯発電所1号機(加圧水型軽水炉、定格出力117万5千キロワット)は、定格出力で運転中のところ、5月9日13時頃より「蒸気発生器酸導電率」(*1)が上昇していることが確認されたため、監視強化を開始していました。
 復水器への海水の漏えいの可能性が考えられたため、蒸気発生器器内水の水分析を行った結果、5月9日15時、復水器細管漏えいと判断し、同日15時15分より出力降下を開始し、17時頃に電気出力を60%としました。
 なお、この事象による環境への放射能の影響はありませんでした。

[平成12年5月9日記者発表済]  

(*1)蒸気発生器酸導電率: 蒸気発生器器内水の不純物(塩素イオン等)を検知する計器の指示値。

 1.調査結果
 復水器内への海水の漏れ込みを検知する検出器(検塩計)(*2)の指示状況により、復水器への海水の漏えいは、3A復水器水室において発生したと判断し、同水室の細管全数(既施栓管を除く)について漏えい検査を実施したところ、1本の細管に漏えいの疑いが認められ、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、この細管に貫通に近い減肉信号が認められました。
 さらに、この細管の内面をファイバースコープにて観察した結果、保護皮膜が若干はく離し、減肉していると思われる箇所が認められ、これにより微少な貫通漏えいがあったものと推定されました。
 また、3A復水器細管全数(既施栓管を除く)の渦流探傷検査(ECT)の結果、漏えいに至ってはいないものの、減肉信号が施栓基準に達している細管が 325本確認されました。
 なお、同系統の復水器(1Aおよび2A)についても、念のため細管全数について渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、施栓基準に達している細管が1Aで57本、2Aで17本認められました。

(*2)検 塩 計 :復水器内の不純物(塩素イオン等)を検知する計器。

 2.推定原因
 以上のことから、漏えいが認められた1本の細管については、海生物の付着等による潰食(*3)が発生、進展したことにより、貫通漏えいに至ったものと推定されました。

(*3)潰 食 : 細管内表面への海生物の付着等により生じた局部的な流速過大あるいは保護皮膜損傷により内表面が減肉する現象。

 3.対  策
 今回漏えいが認められた1本の細管について、施栓を実施します。
 また、その他渦流探傷検査(ECT)により施栓基準に達している細管についても施栓します。
 この対策を実施後、漏えいのないことを確認した上で、5月16日昼頃から出力を上昇させ、5月17日未明に定格出力に復帰する予定です。

以 上  

    (通商産業省によるINESの暫定評価)
    INES:国際原子力事象評価尺度
    基準1 基準2 基準3 評価レベル
    評 価 対 象 外 評価対象外

<参考資料>


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