プレスリリース

2000年2月25日

大飯発電所2号機の点検結果について(復水器内への海水漏れ込みによる出力降下の原因と対策)

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉、定格出力117万5千キロワット)は、定格出力で運転中のところ、2月7日、復水器内への海水の漏れ込みを検知する検出器の指示値に一時的な変動が認められ、その後通常値で安定していましたが、2月14日7時20分頃より指示値に上昇が認められました。
 このため、海水漏れ込み箇所の特定を行っていたところ、同日11時06分および13時10分、1B復水器の検塩計指示値が警報設定値(0.3μS/cm)を超えたことから、同復水器内に海水の微少な漏れ込みが発生しているものと判断し、同日14時00分より出力降下を開始し、16時頃に電気出力を約60%としました。

 なお、この事象による環境への放射能の影響はありませんでした。

[平成12年2月14日記者発表済]  

  1. 調査結果
     指示値の上昇が認められた1Bおよび3B復水器細管全数(既施栓管を除く)について、発泡剤による漏えい検査を実施した結果、1B復水器の2本の細管に漏えいが認められました。当該漏えい管2本の渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、内面に貫通と考えられる減肉指示が認められ、また、これらの細管2本をファイバースコープにて観察した結果、細管内表面部に減肉と思われる箇所が認められました。これらの細管は前回(第14回)定期検査時に取り替えた保護皮膜形成管であり、取り替え時のECTにおいて欠陥信号は認められていませんでした。
     また、1Bおよび3B復水器細管全数(既施栓管を除く)についてECTを実施したところ、漏えいには至っていませんが減肉信号が施栓基準に達している細管が244本(1B:229本、3B:15本)あり、そのうち169本は前回定期検査時に取り替えた保護皮膜形成管でした。

    (*)保護皮膜形成管: 細管(通常の細管と同一材料)の内面に、海水による腐食を予防するためあらかじめ工場にて薄い鉄皮膜を形成させたアルミニウム黄銅管

  2. 推定原因
     今回漏えいが認められた細管を含め、前回定期検査時に取り替えた保護皮膜形成管は、それ以外の細管に比べ、明らかに減肉発生および進展の程度が大きいことが認められました。
     また、今サイクルは、取り替え後の運転において、復水器の海水通水状態が通常サイクルとは異なった運用でありました。
     以上の状況から、保護皮膜形成管の保護皮膜が運転中にはく離して減肉(貫通)したものと推定されます。

  3. 対  策
     今回漏えいが認められた2本の細管を含め、全ての保護皮膜形成管362本 (1B水室209本、1A水室153本)について、施栓を実施します。
     また、その他ECTにより有意な減肉が認められた75本(1B水室60本、3B水室15本)についても施栓します。
     対策実施後、2月27日深夜から原子炉を起動し、3月1日未明頃に定格出力に復帰する予定です。
     さらに、本年3月10日より実施予定の次回(第15回)定期検査において、漏えいした保護皮膜形成管他の抜管調査等を実施するとともに、海水を通水する際には保護皮膜形成に十分配慮した運用を行うこととします。

以 上  

    (通商産業省によるINESの暫定評価)
    INES:国際原子力事象評価尺度
    基準1 基準2 基準3 評価レベル
    評 価 対 象 外 評価対象外
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