プレスリリース

2000年1月11日

BNFL製MOX燃料の製造時検査データに関する再調査について

1.はじめに

 BNFL(英国原子燃料会社)製MOX燃料の製造時検査データに関しては当初、高浜3号機用MOX燃料のペレット外径検査データの一部にデータの流用がされていることが判明したことから、当社でも調査をおこない、昨年11月には最終報告をまとめた。しかし、その後昨年12月にBNFLから高浜4号機用MOX燃料についても新たなデータの流用が発見されたことの連絡を受けた。
当社としては、BNFLのデータ流用を事前に防止できなかったことおよび調査、検討に不備があったこと、また、このことにより原子燃料サイクル全体に与えた影響を重く受け止め、新たに品質管理部門も含めた「BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会」を設置し、データの再分析、調査及び再発防止対策等について検討していくこととした。
 以下に、その検討体制、検討内容及び高浜4号機用のMOX燃料の措置についてまとめた。また、参考として、本件に関し、これまで確認している経緯をまとめた。

2.検討体制

(1)委員会
   委 員 長:岩崎副社長(企画室)
   副委員長:後藤常務(同上)、前田副社長(原子力・火力本部)
        山崎専務(原子力・火力本部)、岸田常務(同左)
   委  員:有賀取締役(総務室)、森本取締役(企画室)
        松村支配人(原子力・火力本部)、梶井支配人(若狭支社長)
        横手支配人(原子力・火力本部)、向井支配人(地域共生本部)
        竹内広報部長、松尾品質監査部長、小林TQM推進部長、坂上法務部長
        黒田原子力・火力企画部長、岡田原子力管理部長、辻倉原子力建設部長
        桑原原子燃料部長、浅井高浜発電所長

(2)ワーキンググループ
    委員会の下に、下記のワーキンググループ(主査:森本取締役)を設置。
    班員は関係箇所の副部長、課長クラスで構成。
  a.原因究明班
     検査データの再分析・調査等の事実関係の再調査。当社原子燃料部門および
    三菱重工の品質保証活動状況の調査。
   (班長) 松尾品質監査部長
   (副班長)土橋原子力・火力企画副部長、渡部品質監査調査役

  b.再発防止対策検討班
    BNFLの品質保証活動に関する調査。再発防止策の検討。
   (班長) 辻倉原子力建設部長

  c.地元信頼回復対応班
    地元信頼回復に向けての諸方策の検討
   (班長) 竹内広報部長

  d.社会的信頼回復対応班
    全国大での社会的信頼回復に向けての諸方策検討
   (班長) 黒田原子力・火力企画部長

  e.法的問題検討班
    補償問題等の法的検討
   (班長)坂上法務部長

 
3.検討内容

(1)事実関係の再調査
 a.検査データの再分析、調査
   検査データの不正の有無について、徹底的な再分析を行う。
  検査データの分析
   ペレット外径寸法データについて、各種のデータ流用方法について再分析、
   調査する。
  英国現地調査
   英国に調査員を派遣し、BNFLでのデータ調査結果の確認、また、必要な
   場合は、検査員の調査等を行う。

 b.これまでの経過の再確認
   不正発生の経過、調査の経過について再確認、整理を行う。

(2)問題点の整理
 a.当社原子燃料部門および三菱重工の品質保証活動
   当社および三菱重工の品質保証活動においてデータ流用を見抜けなかったとの
   観点から、以下の項目について、実状を調査し問題点を抽出する。
   発注、契約体制 三菱重工およびBNFLの品質保証能力の確認
   工程管理 工場検査の計画、管理 当社および三菱重工の立会い検査
   三菱重工およびBNFLに対する品質監査、等

 b.BNFLの品質保証活動
   BNFLで行われていた品質保証活動の実態等を下記項目について調査し、
   問題点を抽出する。
   品質保証体制 品質保証システム 工程管理 試験・検査
   試験・検査機器 教育、訓練 作業環境、等

 c.疑惑発生後の当社対応状況
   データ流用疑惑が発生した後に当社が行った海外調査、データ分析、
   それを踏まえた社内検討・判断のどこに問題があったのかについて調査する。

(3)再発防止対策の検討
   下記の項目について設備、管理内容・方法、組織等の各側面から、改善対策を
   検討する。
   当社および三菱重工の品質保証活動の改善
   BNFLの品質保証活動の改善
   データ不正の未然防止および不正発生時の対応

(4)信頼回復の検討
 a.地元の信頼回復のための検討
   再調査結果の説明会の実施や、分かりやすい説明資料の作成、配布の実施。
   調査状況に合わせたタイムリ-な情報提供。

 b.社会的な信頼回復のための検討
   原子力に対する信頼回復に向けて、当社で行うべきことを検討する。

(5)法的問題の検討
 a.BNFL等に対する法的対応の検討
   補償等に係る法的対応の問題点及びその対応策について検討する。

 b.再発防止対策への支援
   加工契約の内容の見直し等を行うために、法的観点から現在の契約内容の
   問題点及び改善策を検討する。

 以上の内容については、できるだけ速やかに中間報告をまとめるとともに、 最終報告をとりまとめる予定。

 
4.高浜4号機に受入れたMOX燃料の措置

 高浜4号機には、昨年10月に8体の燃料を受け入れ、現在、使用済燃料ピットに
 おいて保管中である。
 この燃料の措置については、BNFLの責任で英国に返送し、英国で処理することを
 BNFLに要求しており、この方針で対処していく。

 

(参考)BNFL製MOX燃料データ問題に係る経緯

 平成7年12月20日 当社と三菱重工業の間で高浜3,4号機用MOX燃料16体
            の加工契約を締結した。

 平成8年 1月 8日 三菱重工業とBNFLの間で高浜3,4号機用MOX燃料
            16体の加工契約を締結した。

 平成10年1月21日 BNFLのMDF(MOX Demonstration Facility)工場において、
            高浜4号機用MOX燃料8体の加工を開始した。

     12月 9日 BNFLのMDF工場において、高浜3号機用MOX燃料8体
            の加工を開始した。

     12月17日 高浜4号機用MOX燃料8体の加工を完了した。

 平成11年7月19日 高浜4号機用MOX燃料輸送船が、英国バロー港を出港した。

      8月20日 BNFLが、高浜3号機用MOX燃料のペレット外径検査
            データに不審な点があることに気付き、調査を開始した。

      9月11日 BNFLより三菱重工業にデータ疑義に関するFAX連絡が
            あったが、土曜日であったため、三菱重工業が受信を確認
            したのは、9月13日(月)の朝であった。

      9月13日 当社から通産省に対して、高浜4号機用MOX燃料8体に
            ついての輸入燃料体検査申請を行った。
            三菱重工業より当社に、BNFLよりデータ疑義の連絡が
            あった旨の連絡があった。当社よりBNFLに直接、状況を
            確認した。

      9月14日 当社より通産省、運輸省、福井県、高浜町に不正ロットが
            高浜3号機用に11ロット発見されたことを連絡した。
            通産省、福井県、高浜町より調査し、報告するよう指示を
            受けた。
            当社よりBNFLに調査員を派遣した。当社より、「高浜3
            号機用MOX燃料の製造時品質管理データの一部に不具合が
            あったとの連絡を受けた。輸送途上にある高浜4号機向け
            MOX燃料については調査中。」とのプレス発表を行った。

      9月16日 当社及び三菱重工業の社員からなる調査団をBNFLに派遣
            した。(9月26日まで)

      9月21日 当社より通産省、福井県、高浜町に状況報告を行った。当社
            より、「現在までに高浜3号機用には22ロットのデータ
            流用が発見され、高浜4号機用にはデータ流用は認められ
            ない。」とのプレス発表を行った。

      9月24日 中間報告書をとりまとめ、当社から通産省、福井県、高浜町
            に報告した。当社より、「高浜4号機用1ロットについては、
            過去のデータとの一致数がやや多いが、検査員に対する
            事情聴取、実際の加工工程との比較等の調査の結果、データ
            流用等の不正はなく、高浜4号機用MOX燃料について
            は他の検査データも含めて不正はないと判断。一方、高浜
            3号機用MOX燃料のペレット外径検査データについて
            22ロットにデータ流用が認められ、その他の検査データに
            ついては、引き続き調査を進める。」とのプレス発表を行った。

      9月28日 福井県議会、高浜町議会に中間報告書の説明を行った。

     10月 1日 MOX燃料輸送船が高浜発電所港に到着し、高浜4号機用
            MOX燃料8体を受け入れた。

     10月 4日 MOX燃料8体の発電所使用済燃料貯蔵ピットにおける保管
            を開始した。

     10月 7日 MOX燃料8体の発電所保管を完了した。

     10月20日 当社はBNFLから、英国原子力施設検査局(NII)が
            高浜4号機用のP783及び高浜3号機用のP1039に
            関心をもっていることを聞いた。しかしながら、BNFLでの
            評価の結果、P783に不正はない旨の連絡を受けた。
            なお、P1039については、当社の調査において、既に
            不正なしとの判断に至っていた。このため、本件については
            通産省、福井県、高浜町への報告は行わなかった。

     11月 1日 最終報告書をとりまとめ、当社から通産省、福井県、高浜町
            等に報告した。中間報告書の内容に加えて、「検査データに
            不正があったのは高浜3号機用MOX燃料の内22ロット
            のペレット外径データのみであること、不正があった22
            ロットが含まれている集合体4体は新たに作り直すこと、
            また不正のあったペレット及びそのペレットを含む燃料棒
            についても作り直すことならびに再発防止の検討結果。」
            を当社よりプレス発表した。
            通産省から再発防止の徹底の指示を受けた。

     11月 2日 福井県議会にて最終報告書を説明した。

     11月19日 高浜町議会にて最終報告書を説明した。

     12月 2日 高浜発電所にて通産省の検査官による輸入燃料体の現地検査
        ~8日 を受検

     12月 9日 午前中、当社は、通産省よりNIIがP783につき統計的
            疑義を持っているとの情報を得たので確認するよう連絡を
            受けた。

     12月10日 BNFLから当社に対し、NIIではP783が”通常で
            ない”ロットとされているが、BNFLは”通常でないロット
            ではない”と確信している旨の連絡があった。

     12月11日 P783の評価の結果、当社から通産省にP783に不正は
            ないと判断する旨の報告を行った。
            通産省より調査員をBNFLに派遣するよう指示があった。

     12月12日 当社からP783の調査結果を福井県、高浜町に報告した。
            関西電力調査員2名をBNFLに派遣した。

     12月16日 BNFLより、高浜4号機用MOX燃料ペレットのP814
            に新たに不正が発見された旨の連絡があった。
            P814に新たなデータ流用が発見されたこと等を考慮して、
            通産省、福井県、高浜町に、高浜4号機用MOX燃料8体
            全数の使用を中止する旨の報告を行うとともに、輸入燃料
            体検査申請を取り下げ、同内容についてプレス発表を行った。
            また、通産省から再調査を行い、報告するよう指示を受けた。

     12月17日 福井県及び高浜町から徹底した品質管理体制の構築に対して
            要請を受けた。

     12月20日 高浜町全員協議会にて、P814に新たなデータ流用が発見
            されたこと等を考慮して、高浜4号機用MOX燃料8体全数
            の使用を中止することとした旨の説明を行った。

     12月24日 BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会の準備会合を開催
            した。

 平成12年1月 5日 BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会第1回ワーキング
            グループを開催した。

      1月11日 BNFL製MOX燃料問題調査検討委員会第1回会合を開催
            した。

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