プレスリリース

1999年6月11日

美浜発電所3号機 第17回定期検査の実施状況

  • 1.今回の定期検査を利用して実施した主な工事等
    • (1)1次冷却材ポンプ供用期間中検査

       1次冷却材ポンプの供用期間中検査として3台ある1次冷却材ポンプのうち、A-1次冷却材ポンプについて、主フランジボルト、締めつけ部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検しました。

    • (2)余熱除去系、格納容器スプレイ系配管接続工事

       アクシデントマネジメント対策(*1)として、炉心損傷を防止するため非常用炉心冷却系(ECCS)の再循環注入モード(*2)による長期的な炉心冷却方式の多様化を想定し、格納容器スプレイポンプを用いた再循環も可能となるよう、余熱除去(低圧注入)ポンプ出口配管と格納容器スプレイポンプ出口配管を接続しました。

      *1:アクシデントマネジメント対策
      設計で考慮していた事故の範囲を大きく超え、炉心の損傷に至るような過酷事故(シビアアクシデント)に備え、現状の設備を有効に活用してその発生防止や発生後の影響を緩和することを考慮した対策。
      *2:非常用炉心冷却系の再循環注入モード
      1次冷却材喪失事故時、非常用炉心冷却系により燃料取替用水タンクのホウ酸水を原子炉内に注入するが、燃料取替用水タンク水位が低下した際には、格納容器再循環サンプに溜まった冷却水を余熱除去ポンプ等により原子炉に再注入すること。
    • (3)原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事

       海外における原子炉冷却系統設備の損傷事例等に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備の小口径配管の一部について、材質等を変更した新しい配管に取り替えました。

  • 2.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
     蒸気発生器伝熱管全数(10,146本)について、その健全性確認のため、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。
  • 3.燃料集合体の検査結果  燃料集合体の外観検査を実施した結果、燃料集合体に異常は認められませんでした。
     また、燃料集合体157体のうち48体を取替えました。
    [取替用燃料集合体すべてが新燃料集合体]
  • 4.A-主蒸気管系統の油圧防振器損傷について  平成11年5月26日10時20分頃、原子炉冷却系統耐圧漏えい試験後の主蒸気管および蒸気発生器内の水抜き作業中において、主蒸気管に水撃作用が生じ、これによりA-主蒸気管系統の油圧防振器9本の連結用ネジ部が折損するとともに、配管振れまわり防止用支持構造物2箇所の緩衝材の一部等に変形が認められました。
     調査の結果、今回の主蒸気管内の水抜き時には、蒸気発生器内の高温水の蒸発を抑制して水撃作用を防止するために窒素による加圧を実施することとしていましたが、中央制御室の運転員から現地で操作を行う運転員への加圧指示が、通話装置が聞き取りにくかったこと等により適切に伝わらなかったこと、およびその後の相互確認がなされなかったことから、中央制御室の運転員は加圧操作が行われていたものと思いこんで水抜きを開始したために、水撃作用が発生したものと判明しました。
     また、手順書にも操作手順や内容が具体的に記載されていませんでした。
     対策として、損傷の認められた油圧防振器、振れまわり防止用支持構造物の緩衝材等を新品に取り替えました。また運転操作に当たっては、操作指示者と操作者が相互に確認し合うという運転操作の基本動作の再徹底を図るとともに、手順書については具体的な操作手順まで記載し、確認できるよう充実を図りました。
  • 5.次回定期検査の予定
     平成12年夏頃

以 上

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