プレスリリース
1999
1999年6月3日
関西電力株式会社
美浜発電所3号機の定期検査状況について(A-主蒸気管系統の油圧防振器損傷の原因と対策)
美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉、定格出力82万6千キロワット)は、平成11年4月21日から第17回定期検査を実施中のところ、平成11年5月26日10時20分頃、原子炉冷却系統耐圧漏えい試験後の主蒸気管および蒸気発生器内の水抜き作業中において、主蒸気管に水撃作用が生じました。
この水撃作用によって、A-主蒸気管系統に設置されている油圧防振器の損傷等が認められました。
なお、この事象による環境への放射能の影響はありません。
[平成11年5月27日 記者発表済]
- 1.調査結果
これまでの調査の結果、水撃作用はAおよびC-主蒸気管系統で発生しており、A-主蒸気管系統の油圧防振器9本の連結用ネジ部が折損するとともに、配管振れまわり防止用支持構造物2箇所の緩衝材の一部等に変形が認められました。
A-主蒸気管系統の溶接部や主蒸気管からの分岐配管取出部、支持金具等について詳細な点検や健全性評価を行った結果、異常のないことを確認しました。
また、C-主蒸気管系統についても異常がないことを確認しています。 - 2.原因
今回の主蒸気管内の水抜き時には、蒸気発生器内の高温水の蒸発を抑制し、水撃作用を防止するため、窒素による加圧を実施することとしていましたが、窒素加圧が行われなかったため、主蒸気管内圧が低下しました。
主蒸気管内圧の低下に伴い、蒸気発生器内の高温水が蒸気となり、主蒸気管内水に蒸気泡となって侵入し、主蒸気管内の低温水で急激に冷却され凝縮したことにより、水撃作用が発生したものと推定されました。
この結果、水撃作用に伴う過大な力が油圧防振器にかかり、連結用ネジ部が折損し、さらに主蒸気管が移動し、主蒸気管に取り付けられている緩衝材と振れまわり防止用支持構造物が接触して緩衝材等が変形したものと推定されました。
窒素加圧が行われなかった原因は、中央制御室で加圧操作を指示した運転員から現地で操作を行う運転員への加圧指示が通話装置が聞き取りにくかったこと等により適切に伝わらなかったこと、および、その後の相互確認がなされなかったことから中央制御室の運転員は加圧操作が行われていたものと思い込んだためでした。
また、操作手順や内容が、具体的に記載されていない手順書となっていました。 - 3.対策
- (1)損傷の認められた油圧防振器、変形の認められた配管振れまわり防止用支持構造物の緩衝材等は、新品に取り替えることとしました。
- (2)運転操作に当たっては、操作指示者と操作者が相互に確認し合うという運転操作の基本動作の再徹底を図るため、次の対策を実施します。
- 本事例の検討会の実施
- 基本動作に関する研修の実施
- 当直の日々のミーティングにおける相互確認と復唱復命の徹底
- (3)運転操作を確実に実施するために手順書について、具体的な操作手順まで記載し、確認できるよう充実を図ります。
今回、通報連絡が適確になされなかったこと及び原因が操作実施時の連絡、確認が不十分であったことに対し、一般のみなさまに多大なご心配をおかけしましたことを深く反省し、お詫びいたします。
また、本日、通産省ご当局から通報連絡の徹底のご指示を受けるとともに、福井県ご当局から通報連絡の徹底とヒューマンエラーの再発防止等について申し入れがあり、今後このようなことがないよう、確実に対策を実施してまいりたいと考えております。
なお、6月10日頃に運転を再開する予定です。
以 上
基準1 | 基準2 | 基準3 | 評価レベル |
評価対象外 | 評価対象外 |
<参考資料>