プレスリリース

1999年3月15日

高浜発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について

 1.今回の定期検査を利用して実施した主な工事等
 (1)1次冷却材ポンプ供用期間中検査
  1次冷却材ポンプの供用期間中検査として3台ある1次冷却材ポンプのうち、C-1次冷却材ポンプについて、主フランジボルト、締めつけ部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検を行い、異常のないことを確認しました。

 (2)余熱除去系、格納容器スプレイ系配管接続工事
  アクシデントマネジメント対策(*1)として、炉心損傷を防止するため非常用炉心冷却系(ECCS)の再循環注入モード(*2)による長期的な炉心冷却方式の多様化を想定し、格納容器スプレイポンプを用いた再循環も可能となるよう、余熱除去(低圧注入)ポンプ出口配管と格納容器スプレイポンプ出口配管を接続しました。
 
  *1;アクシデントマネジメント対策
        設計で考慮していた事故の範囲を大きく超え、炉心の損傷に至るような
     過酷事故(シビアアクシデント)に備え、現状の設備を有効に活用して
     その発生防止や発生後の影響を緩和することを考慮した対策。

  *2;非常用炉心冷却系の再循環注入モード
     1次冷却材喪失事故時、非常用炉心冷却系により燃料取替用水タンクのホ
     ウ酸水を原子炉内に注入するが、燃料取替用水タンク水位が低下した際に
     は、格納容器再循環サンプに溜まった冷却水を余熱除去ポンプ等により原
     子炉に再注入すること。

 (3)1次冷却材ポンプ軸シール点検調査
  平成11年1月7日より、BおよびC-1次冷却材ポンプの第3軸シールを通過する水量が通常状態よりも若干多くなったことに鑑み、当該軸シール部を含む1次冷却材ポンプ全台(計3台)の軸シールを分解点検調査しました。
 その結果、BおよびC-1次冷却材ポンプの第3軸シールリングの摺動部に通常より若干多めの付着物が認められました。これは、冷却材ドレンタンクの圧力が上昇し、同シールリングをわずかに押し上げ、それに伴いスタンドパイプに保有していた水が第3軸シールを通過し、その際スタンドパイプ内面の付着物が離脱して、同シールリングの摺動部に付着し、シールリングの追従性が若干低下したものと考えられます。
 これは、当該第3軸シールの機能を損なうものではありませんが、念のため、今定期検査において、1次冷却材ポンプ全台(計3台)の第3軸シールを新品に取り替えるとともに、スタンドパイプ内面の洗浄を実施しました。なお、スタンドパイプ内面の洗浄については、今後全てのプラントにおいて定期検査の都度実施するものとします。
 当該第3軸シール以外の軸シール(A-1次冷却材ポンプの全ての軸シール、BおよびC1次冷却材ポンプの第1、第2軸シール)については、点検の結果異常は認められませんでした。
 
  冷却材ドレンタンク:格納容器内に設置され、通常運転中は主に1次冷却材ポン
            プの軸シール水の一部を回収するタンク。

  スタンドパイプ  :1次冷却材ポンプの軸シール水量の管理および第3軸シー
            ルの水潤滑の確保のためのパイプ。
            第3軸シールを通ったスタンドパイプの保有水は冷却材ド
            レンタンクに回収される。

  2.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果

 
  蒸気発生器伝熱管全数(10,146本)について、その健全性確認のため、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。
 
(参考)各蒸気発生器の伝熱管数:Aループ 3,382本
                               Bループ 3,382本
                               Cループ 3,382本
 3.燃料集合体の検査結果
 
 燃料集合体の外観検査を実施した結果、燃料集合体に異常は認められませんでした。
 また、燃料集合体157体のうち53体を取替えました。
  [うち52体が新燃料集合体]

  4.次回定期検査の予定

      平成12年春頃

 以 上  

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