プレスリリース

1999年1月22日

大飯発電所2号機の原子炉起動および調整運転の開始について

1.今回の定期検査を利用して実施した主な工事等
(1)原子炉容器上部ふた取替工事
 中長期的な保守性、経済性等を総合的に勘案し、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、既設の原子炉容器上部ふたを撤去し、新しい型の原子炉容器上部ふたに取替えました。

(2)1次冷却材ポンプ供用期間中検査
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として4台ある1次冷却材ポンプのうち、D-1次冷却材ポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検を行い異常のないことを確認しました。

(3)余熱除去系、格納容器スプレイ系配管接続工事
 アクシデントマネジメント(AM)対策として、余熱除去系の再循環ができなかった場合に、格納容器スプレイポンプを用いた炉心への再循環経路を確保するため、余熱除去(低圧注入)ポンプ出口配管と格納容器スプレイポンプ出口配管を接続しました。

(4)発電機負荷開閉装置設置工事
所内電源の信頼性向上対策として、発電機と主変圧器の間に、発電機負荷開閉装置を設置しました。

(5)充てん/高圧注入ポンプおよび充てんポンプ取替工事
 保守性の向上の観点から、現在取り付けられている充てん/高圧注入ポンプ(2台)および充てんポンプ(1台)とモータ全数(全3台)を取り替えました。
   なお、搬出・搬入するために、ポンプ室生体しゃへい壁に仮開口部を設置し、作業後復旧しました。

(6)アイスコンデンサ氷取替工事
定期検査時のアイスコンデンサ氷補充作業の効率化を図るため、氷をブロック化するとともに、氷に昇華を抑制するフィルムを装着しました。

*アイスコンデンサとは
アイスコンデンサは、国内では大飯発電所1、2号機にのみ採用されており、1次冷却材喪失事故時に格納容器内に放出される蒸気をアイスコンデンサ内に保有している氷により凝縮し、格納容器内圧の上昇を抑制する機能を有する設備。

2.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果

 
 蒸気発生器伝熱管全数(13,528本)について、その健全性確認のため、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。
3.燃料集合体の検査結果
 
燃料集合体の外観検査を実施した結果、燃料集合体に異常は認められませんでした。
 また、燃料集合体全数193体のうち85体を取替えました。
  [取替用燃料集合体のうち72体は、新燃料集合体]
4.原子炉容器キャノピーシール部からの漏えい
 
 平成10年8月29日から8月31日にかけて原子炉格納容器の内部点検を実施したところ、5本ある原子炉の炉内計装用ハウジングの内1本の下部キャノピーシール部近傍に、1次冷却水から析出したと思われるほう酸が付着していることが認められ、当該部の点検調査の結果、9月3日、炉内計装用温度計ハウジングの下部キャノピーシール部に外面長さ約1.5mmの割れが確認されました。
 原因は、建設当初のキャノピーシール溶接の熱影響と第4回定期検査時の補修溶接による熱影響が重なり合ったことにより、内面から応力腐食割れが発生したものと推定されました。
 対策として、当初の計画通り、今回の定期検査において新しい原子炉容器上部ふたに取り替えました。新しい原子炉容器上部ふたは、制御棒駆動装置ハウジング等を耐食性に優れた材質のものとしているとともに、キャノピーシールをなくした構造としております。

[平成10年9月3日、10月2日、11月16日 記者発表済]  

5.B-余熱除去ポンプ出口配管ドレン弁取付部の割れ
 
 平成10年11月30日に2台ある余熱除去ポンプのうちB-余熱除去ポンプ出口配管のドレン弁付近の床面に少量の水溜まりが発見され、その上部にある同ドレン弁の取付部近傍から、僅かな1次冷却水漏れを確認しました。
 当該部の調査の結果、12月1日にドレン弁の取付部近傍の管台溶接部から余熱除去系統配管に渡った割れ(外表面長さ約154mm)が確認されました。
 原因は、前回の定期検査で当該ドレン管台の改造工事を実施したことにより、ポンプの運転に伴う流体脈動と共振し、疲労による割れが発生したものと推定されました。
 対策として、当該部および類似のA-余熱除去ポンプ出口のドレン配管について共振による振動が発生しないよう剛性を高めた管台、ドレン弁およびドレン配管と取り替えました。
 また、ドレン弁配管の設計時の振動解析については、設計管理の基準の整備を図っていくこととしました。

[平成10年12月1日、12月17日 記者発表済]  

6.次回定期検査の予定

    平成12年冬頃

以 上  

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