プレスリリース

1998年12月3日

使用済燃料およびMOX新燃料輸送容器のデータ問題に関する検討結果ならびに今後の取り組みについて

  1. 品質管理、技術に係わる対策
     下記の対策については、輸送容器のみならず原子力発電所で使用する安全上重要な機器の製造及び保守作業についても対象とし、同様の問題の再発防止を図っていく。

    (1)材料仕様等に関する関係者との情報交換、技術検討
     特殊な材料や新しい技術を採用する場合には、関係者において材料仕様等の意味や重要性、技術内容等が十分理解されるよう、必要に応じ、材料メーカ、メーカ、電力の間でより一層の情報交換を行うとともに、電力においても必要な技術検討を行っていく。

    (2)下請承認審査の充実
     元請け企業との間で、元請け企業が下請企業を選定する際に以下の項目につき確認することを明確化するとともに、下請企業がさらにその下請企業を選定する際に、必要に応じ同様の確認を行わせることを明確にする。

    • 品質保証計画の策定、品質保証部門の整備状況等品質管理体制に係る事項
    • 製品の製造実績、技術者の配置状況等の技術能力に係る事項

    (3)品質保証監査の充実
     元請け企業に対する監査内容を充実し、下記の事項を確認する。

    • 元請け企業自身で内部監査が行われているか、あるいは外部の監査を受けているか等適切な企業内監査の仕組みが働いていること。
    • 元請け企業が、下請企業に対し適切な品質保証監査を行い、要求している品質に応じ、下請企業の不具合処理等に対する品質管理体制、基準等の整備状況、下請企業自身の内部監査状況等について確認していること。
    • 元請け企業と下請企業との間で責任関係が明確になっていること。

     また、下請企業に対しては、必要に応じ、電力が直接監査を行える旨契約に反映することを検討していく。

    (4)データ確認方法の充実
     材料証明書の確認にあたっては、下記の点を徹底するとともに、これを元請け企業との間で明確にする。

    • 公的規格が定められていない材料については、材料メーカで当該材料の証明書の発行にあたり品質管理部門等の確認を受けていること、発行責任者が明確になっていることを確認する。
    • また、公的規格が定められていない材料で直接性能確認ができない特殊材料については、必要に応じ、元データの確認を行う。

    (5)工程調整の円滑化
     機器の製造工程、発電所の作業工程については、各種検査、監査また現地立会のいろいろな場面を利用し確認しているが、今後は、品質への影響を与えるような無理な工程となっていないか等請負企業等との連絡調整をより円滑に行っていく。

  2. 環境的要因の改善
     上記の品質管理及び技術の観点からの対策に加え、環境的な要因については、単に今回の問題の再発防止にとどまらず、原子力に対する透明性、社会的理解の向上を図っていく観点から、以下の基本的な方針に基づき改善を図っていく。

    (1)モラルの向上
     原子力に携わる企業には高いモラルが求められていることから、これまで以上に、電力内部のみならず、原子力に関係する企業も含めたモラルの向上のため、下記の対応を行う。
    モラルについての周知徹底
     電力はもとより、原子力関連企業に対し、モラルの維持、向上の重要性について周知徹底する。
    モラル教育の充実
     各階層において、モラルについての教育の充実等を図っていくとともに、関係企業にモラル向上の働きかけを行う。

    (2)情報の流れの円滑化
     今回のような問題の再発防止のためには、情報特に不具合発生等の不都合な情報が社内の上下間あるいは請負企業と発注企業間で迅速に伝達される必要があるが、不都合な情報を吸い上げていく仕組みの充実、情報の流れを阻害する要因の抽出と対応策の検討等「ものの言いやすい」環境整備を図っていく。

以 上  

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