え!?関電が鉄道事業?
今年で最後のトロバスに迫る
2018年4月27日掲載

- Q1: 今どんな仕事をやってんの?
- 営業期間中は、駅務助役としてお客さまと直接接しています。冬期については、電気バスへの移行に向けた社内標準の改訂作業を担当していました。
- Q2: これまでの仕事でやりがいを感じたのは?
- ありきたりですが、お客さまから「ありがとう」と言われた時です。
- Q3: 今のお気持ちをどうぞ!
- 黒部ダムに観光に見えられるお客さまは、くろよんは関西電力ということは知っているかもしれませんが大自然の前ではそんな事も忘れてしまうのではないかと思います。
- Q1: 今どんな仕事をやってんの?
- 営業中は運転士としてトロリーバスの運転やお客さまのご案内・誘導を、冬季中は車両整備、点検業務に携わっています。
- Q2: これまでの仕事でやりがいを感じたのは?
- お客さまに「ありがとう」「また来たい」とお声をかけていただいた時です。
- Q3: 今のお気持ちをどうぞ!
- 関電は黒部ダムやトロリーバス事業でも頑張っているんだと全国の皆さんに知っていただけるよう、これからもお客さまに信頼していただけるよう頑張りたい。
- Q1: 今どんな仕事をやってんの?
- 通年扇沢・黒部ダム地区の設備関係の修繕・改良等々、主に土木関係の仕事をしています。
- Q2: これまでの仕事でやりがいを感じたのは?
- 修繕がメインの仕事になるので、テレビ取材等が来た際自分が直した箇所をテレビ越しに見た時、 あぁやって良かったな。。。と。こんな時は大いにやりがいを感じます。
- Q3: 今のお気持ちをどうぞ!
- 長野県は関電のイメージがあまり沸かないが、地震以降お客さまに黒部って関電なんだ。。と言われる事が多くなりましたが、関心が高い分その魅力を全国に広めるチャンスなのではと思ってます。黒部からも違う形でお客さまによいイメージをもって頂ける様がんばりたい。
インバータ制御の音を
聞き分けるマニアの方も…
一見、バスなのに電車みたいな架線つき。架線があるのに線路はなし。「トロバス」ことトロリーバスは、かつて日本の各地で走っていましたが、1972年以降は、立山黒部アルペンルート(関電トンネル+立山トンネル)にしかありません。長野県大町市の扇沢駅から富山県立山町の黒部ダム駅まで、6.1kmの関電トンネルを結ぶトロバスは、黒部ダム観光の足として、1964年8月の運行開始から累計6,000万人のお客さまを運んできました。そのトロバスも2019年4月から電気バスへと変更されることが決定。ラストイヤーを迎えるにあたり、トロバスの運行を担当する黒四管理事務所 運輸課の3人がトロバス愛♡を語り合います。
トロバスの運行ってどんなお仕事なんですか?
- 西澤:
- 4月中旬から11月末までのトロバス営業期間中は駅でお客さま対応をする駅務です。助役としてお客さまと直接ふれあっています。冬季は2019年の電気バスへの移行に向けた業務をしています。トロバスはバスって名前がついてますけど鉄道の一種として区分されているので、鉄道事業法に基づき運行しているんですが、変更後はそうじゃなくなるんで、社内ルールの改訂作業をしています。

- 松尾:
- 今は主に土木関係です。ふもとの扇沢地区と黒部ダム地区にある設備の修繕や改良などを通年にわたって担当しています。技術系には車両と保線のグループがあって、保線のなかでも電気関係と土木関係に分かれてるんですよ。
- 田中:
- 私は運転士です。育児休職明けに復帰して3年目ですね。昨シーズンの冬はトロバスに電気を送る電車線の整備や点検をしていました。この冬は車両の整備や点検をしています。
お仕事は持ち回りなんですか?
- 西澤:
- だいたい経験していきますね。運輸課には50人ほどいるんですが、ほぼ転勤もなく課内で動かしていくので、個人のスキルを上げるためにも一通りは回るようになっていて。
- 松尾:
- 流れとしては、駅務から始めるのが多いですよね。
- 田中:
- 女性は4人なんですが、つい先日、最後の一人も大型二種の試験に合格しました。ただ、運転するにはトロバス=無軌条電車の運転免許も必要なんですよ。
バスと電車、両方の免許が必要なんですね。それにしてもバスの形をしているのに電車の仲間って不思議な乗り物ですよね。
- 田中:
- 屋根の上にはトロバスならではのトロリーポール※が二本伸びてますしね。よく「あれはなんですか?」って訊かれるんですが、あれで電気を集めて走ってるんですよ。そのあたりにも注目していただきたいです。 ※トロリーバスが電車線から電気を受けるために突き出したポール

- 西澤:
- バスの形をしていますがエンジン音はしませんしね。三代目トロバスとして1993年にデビューした今の300型は、VVVFっていうインバータ制御方式なんですが、独特の音が聞こえるんですよ。
- 松尾:
- よく地下鉄の音に似ているって言われますよね。
- 西澤:
- そうそう。人から聞いた話なんですけど、どうやらインバータの音もメーカーによって違うらしくて。以前、走り始めたとき、「これTOSHIBAじゃね?」って会話が聞こえてきて、心のなかで「正解!」と(笑)。そこまで聞き分けるマニアの方がいらっしゃるようです。
それはすごい(笑)。黒部ダムを観光するときのオススメだったり、好きなポイントだったりって、どんなところですか?
- 西澤:
- やはり黒部峡谷の景観ですね。ダムの真ん中ぐらいから下流を見ると、ガッと切り立ったV字型の谷の姿がよくわかります。
- 田中:
- 春夏秋冬、それぞれ山の景色や木々の色が変わるところもいいですよね。
- 西澤:
- 初夏は緑がいいですし、秋も紅葉がきれいですし。初雪の頃には、一番上が白、中腹が紅葉、下が緑の三段紅葉が見られます。
それは見てみたい! 季節を変えて来るのもいいですね。
- 松尾:
- 6月下旬から10月中旬までの観光放水の期間中は、2016年に、新展望広場の下に造ったレインボーテラスにぜひ。近い位置から迫力いっぱいの放水を体感できます。タイミングが合えば、水しぶきにかかる虹もご覧いただけます。虹の出る位置は、太陽や季節によっても変わるんですが、2本見えるときもあるんですよ。

- 田中:
- 虹は午前中だと黒部ダム駅に近いレストハウス側、お昼過ぎだとダムえん堤を向こうにわたった黒部湖駅側から見えやすいです。電力供給のために命をかけて建設されたダムの壮大な姿にも感動していただけるはず。
- 松尾:
- 水の冷たさも感じてほしいですね。破砕帯から湧き出す摂氏4度の水は建設時から変わっていないので…この水をかぶりながらダム建設の作業をされていたのかと思うと、やっぱりすごいなと。黒部ダム地区でも扇沢地区でも飲料水として使っていますので、当時の苦労を肌で感じていただけたらと思います。
わずか80mの破砕帯を突破するのに7カ月もかかったんですよね。7年もの歳月をかけて、のべ1,000万人の方が作業に携わられた世紀の大工事だったと…。
- 田中:
- 慰霊碑もありますが、171名の尊い犠牲により完成していますからね。「涙を流しました」とか「命をかけて造っていただいたので、これからも大切にしてください」といったお客さまの声を頂戴すると、ジーンときます。
「運転、上手だったねぇ」って子どものように(笑)。
日本一の高さと最大級のスケールを誇るダムですから、まずその迫力に感動しますよね。
- 田中:
- 階段を上がって展望台に出た瞬間、「わぁ~!」という歓声をあげられる方も多いので、やっぱりスゴイんだなぁと。
- 松尾:
- 歓声はよく聞こえますよね。「ヤッホー!」と叫ばれる方もいらっしゃいます。ダムだから全然返ってこないんですが(笑)。

でも言いたくなる気持ちはわかりますね(笑)。地域の子どもたちが校外学習で来たりとかもするんですか?
- 田中:
- 昔はあったんですけど、残念なことにもうないんですよ。私が保育園の頃は、来ていたんですが…。
- 西澤:
- うちにも当時の写真が残ってます。
それは寂しいですね。ずっと地元の子に伝えていきたい…。
- 田中:
- 復活させてほしいですね。
- 西澤:
- ぜひ記事に載っけといてください(笑)。
はい(笑)。お仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか?
- 西澤:
- ありきたりかもしれないですけど、お客さまから「ありがとう」ってお言葉をいただけると、やっぱりうれしいですよね。
- 松尾:
- 僕は修繕がメインの仕事になるので、テレビの取材なんかが来て、自分の直したところをテレビ越しに見たとき、「あぁ、やって良かったな」と。ビフォアアフターは伝わらないんですけど、きれいに直すとお客さまが集まったりするので、そういう様子を見ると達成感がありますよ。
- 田中:
- やっぱりお客さまの反応が糧になりますよね。私も「ありがとう」「また来たい」みたいなお言葉で実感します。運転している最中に「女性の運転士さんかっこいい!」と言われることもありますしね。

それはうれしいですね!
- 田中:
- 「女性で大丈夫か?」というお声も多いですけど。
え?
- 田中:
- 最初に、お客さまを車内に誘導してから運転席に行くんですけど、「ああ、この人運転士だったんだ!駅の人かと思った!」と。乗ったあとに「運転できるんだ!」って言われているのが……全部聞こえてきます(笑)。
一同:(笑)
- 田中:
- 「免許はあるのかな~」とか「あんなの免許要らないよ」とか「私だってできる」とか。1便に1回は言われるんで、もう慣れてます(笑)。そばに立っている人から、「自動運転かと思った!」っていうのもしょっちゅう。
- 西澤&松尾:
- あ~。
- 松尾:
- そういうのはよく言われますね。「運転してるんだ!」とか「ゴーカートでしょ?」とか(笑)。
- 西澤:
- 発車してからしばらくしてハンドル切ると、「あ、ハンドル回すんだ!」とは言われますね。
- 田中:
- 架線からトロリーポールで電気を通しているのが、ロープウェイみたいな感じで浮いているように思えるらしくて。カーブを曲がる前のバスを見て、「あ、タイヤで動いてる!」って。駅に着くと、「上手だったねぇ」「できたねぇ」って子どものように誉めていただけたり(笑)。

- 松尾:
- 「上手だったねぇ」までは言われたことないですね(笑)。
- 田中:
- (笑)おばあちゃんたちは、すごく喜んでくださって。乗り込むと「運転士さんキターーー!」みたいに、拍手で迎え入れてくれるんですよね。後ろからのぞきこんで、降りられる際に、「かっこよかったよ!」「これからも安全運転で頑張ってね!」と言われ、みんなに握手を求められたり。励みになりますね。
アイドルじゃないですか!
- 田中:
- 写真もずっと撮られて、「こんなの結婚式以来だな」と思いつつ(笑)。外国の方にも、「一緒に撮ろう」みたいにカメラを向けられることが多いですね。
そのあたり女性ならではなんですかね?
- 西澤:
- 私も写真は言われますね。駅にいるとき、外国の方から「撮ろうよ」みたいな感じで…だいたいはカメラを渡されて、撮るほうですけども(笑)。
(笑)制服も素敵ですもんね。
- 田中:
- 女性用は男性用とポケットの数が違ったり、背中が割れてなかったり、細かいところが違うんですよね。
- 西澤:
- 帽子も違うんです。
- 田中:
- 男性の運転士は赤いラインがシルバーだったり、駅の助役と駅長とで金のラインの本数が違ったりして。お客さまもわかる人は帽子を見て「この人は駅長だ!」とか。
マニアの方も大勢いらっしゃるんですね(笑)。
- 田中:
- 昨年、トロバスが電気バスに変わるって報道したあと、一気に増えましたね。運転席撮らせてくださいってお願いされたり、バスの構造を訊かれたり。ホームで1~2時間ずっと写真を撮り続けている人とか。
- 西澤:
- 歩き回ってらっしゃる方がいたね!
- 田中:
- 電気バスへの切替えの報道で、2017年で終わりだと勘違いされている方が多くて。「もう1年走ります、ぜひまた来てください」と。
- 松尾:
- 僕も3日間ぐらい同じ方を見かけましたね。登山道からちょうど見えるんですけど、そこに隠れてカメラだけ出ていて。

一同:(笑)
- 松尾:
- 「あそこに昨日もいらっしゃったな~何されてるんだろうな~」と思いながら(笑)。人の姿は見えないんです。トロバスが曲がるいい角度を撮るために、登山道からカメラだけ出して…パパラッチかと思いました。
一同:(笑)
愛がすごいですね(笑)。
- 松尾:
- これだけ愛されてると思うとうれしいですね。
大変なのはやっぱり除雪。
“白い悪魔”って呼んでます。
お仕事で大変だったことは?
- 西澤:
- (松尾さんに向かって)やっぱり除雪だよね~。
- 松尾:
- ですね。“白い悪魔”って呼んでます。

かっこいい(笑)。
- 西澤:
- 11月になるとトロバスの始発前に、寒さに堪えながら架線に着いた氷や道路の雪を取り除いていくんですよ。ここ(事務所)の天気と山の天気は全然違うから、「降ってるとまずいし早めに出よう」って話を前もってしておくんです。
- 松尾:
- 11月は8時半が始発なんで、保線の5~8人ほどが6時ぐらいに上がっていって、7時ぐらいから作業をして。
- 西澤:
- 吹雪いているなか作業車に乗って、くだりながら架線を見ていくんですけど…同じ方向からずっと吹きつけられてるから、身体の片側がマヒしてくるんですよ。
- 松尾:
- “あるある”ですね。どんどん痛くなって、指とか足の先とかの感覚がなくなってくる。
聞くだけで寒い…。冬季はほぼ毎日ですか?
- 松尾:
- 気温がマイナスになって天気が悪いときは、基本、出動ですね。ちなみに今日(2月)の黒部ダムの気温はマイナス10℃でした。
- 田中:
- 繁忙期も繁忙期で大変ですよね。朝5時から夜8時まで、飲み物だけで過ごしたこともありました。
えぇ!?
- 田中:
- 朝5時から駐車場整理をして、作業着から制服に着替えて駅の改札や誘導をして、そのまま運転をして、また駅務をして、またまた作業着に着替えて駐車場の電気をつけたり整理をしたり…。そのときたまたま、同じ方に何度もお会いして「お姉さん、さっき改札してたよね。運転もするんだね」って言われて、その後、駐車場にいたら「あれ!?」って(笑)。

「お姉さん、何人いるの!?」ってなりますよね(笑)。
- 田中:
- 「いろいろやるんだね…」って(笑)。疲れましたが、多くのお客さまに「お疲れさま」と声をかけていただきうれしかったです。
そのときの担当は?
- 田中:
- 事務員でしたね。事務の者が駐車場整理に出るので、免許を持っている人は、お昼に総動員になるんですよ。みんなで協力しないと繁忙期は…。
- 西澤:
- 回らないですね。
皆さんオールラウンドプレイヤーなのがかっこいいですね。チームワークが良さそうですし。
- 松尾:
- しんどいと言いながらも、そこの連携力はあるかなぁと。
多いときで1日何人ぐらい来られるんですか。
- 西澤:
- 往復は2でカウントするんですが、シルバーウィークだと延べ2万人ぐらいかな。
- 田中:
- ダムのえん堤の真ん中まで乗車待ちのお客さまが並ばれていました。

それはすごい! そういうときは、トロバスを増発することになるんですか?
- 西澤:
- トンネル内でのすれ違いに制限があってダイヤ通りにしか動かせないんですよ。1時間に2便出しているんですけど、乗車時間が16分で、お客さまを降ろして車内点検すると25分ぐらいになって、間もなく出発の時間になってしまいますんで。
お客さまが多いときはさらに大変ですね…。でも暑さにやられることはないんですよね。
- 田中:
- トンネルのなかは、夏場でも寒いぐらいです。
- 西澤:
- 夏場に1回、半日ぐらいトンネルで作業するときがあって、絶対寒いだろうとツナギにジャンパーを羽織ってネックウォーマーをして…って、フル装備でも寒かったです。
そんなに寒いんですか!?
- 松尾:
- 通年10度ぐらいしかないですね。
- 西澤:
- でも扇沢に戻ってくると、夏場だと20度超えているんで、ギャップでやられます。
- 松尾:
- 業務が終わって家に帰ると地獄です。自分のうちは普通に暑いので…。
そういう努力があってこそ、創業以来、無事故で営業を続けられてるんですもんね。
- 西澤:
- 先輩方が継続されてきた無事故の記録を途切れさせないように…っていう思いは全員がもってますね。
- 松尾:
- 自分が生まれる前からつなげてきた信頼ですからね。崩さないよう、今も安全に対する意識は強いです。トロバスの道路は関西電力の私道にあたりますが、普通の道路と同じくアスファルトも白線もグレーチング(溝蓋)も、ずっときれいな状態というわけではないので…目を配らせてリスク回避するようにしています。
- 西澤:
- お客さまに丁寧に接するのも含めて、安全運行を守るということになるんだろうと。そういった部分も先輩方から引き継いでます。

- 松尾:
- 自然とみんなそういう気持ちになるんじゃないですかね。僕も繁忙期は運転したりするんですが、お客さまにはかなり気を配っています。
すべてが安全でないと無事故にならないですもんね。安全面で大変なときもあるんですか?
- 西澤:
- トロリーポールはバネの力で押し上げているだけなので、何かの拍子で電線から外れちゃうときもあるんですよね。そうなるとまず運転士が降りて着け直して点検しなきゃいけないし、5分弱ぐらいは止まることになります。
その場合は、向こうからくるバスも止めないと?
- 西澤:
- そうですね。一方通行ですれ違えないから、無線を入れて信号まで待ってもらい、さらにタブレットを使って…一番後ろの車の運転士が対向してくる車の運転士に、これが最後ですよって知らせて、二重の安全を担保しています。
そこも連携できているからこそ、無事故が続いているんですね。。
- 西澤:
- もちろんその後は、保線や車両の係員が、バスやトンネルの架線に異常がないか確認しますしね。安全に関するチェックは徹底させています。
トロリーバスの安全運行を守る点検の様子
15台ともクセが違って
1台1台に愛着があります。
トロバスから電気バスへの切り替えが決まったとき、正直どんな気持ちでした?
- 西澤:
- トロバスを使い続けることが難しいことは理解していたんですよ。300型になってからもう20年以上で、部品の修理もしながら長く使ってきたんですが、調達が困難な部品も出てきていて。ただ、もうちょっと先の話かと思っていたので、非常に驚きました。寂しいは寂しいですよね。ここにしかない乗り物ですし。
- 松尾:
- ついにきたかと。不安もありますし。
- 田中:
- 毎日、本当にきれいに整備していて、冬季は細部まで点検補修していたんですよね。修理の大変なところはメーカーさんに出せば、まだ走れるだろうと思っていたんですが…。急に変わるからと言われて、「へ!? あの子はどこへ行ってしまうの!?」と。寂しいですね…本当に珍しいので。

日本最古だったのにねぇ…。そもそも環境汚染を防ぐためにトロバスだったんですよね。
昔の電気バスは充電時間がネックだったのが、今ならまかなえるようになったことが大きいと聞きました。
- 松尾:
- トロバスについてはプロフェッショナルな先輩方がつないできてくれましたけど、電気バスに関しては全員がゼロからなので不安もあります。自分たちでメンテできるところとできないところが出てくるので。どこまでできるか見つけだすのがまず大変かなぁと。
- 西澤:
- バスの分解整備は資格を持っている人間じゃないとできないんでね。そのあたりをどうしていくかが…。
- 松尾:
- トロバス事業も最初は不安要素が多かったでしょうしね。今後も一丸となって、お客さまに喜んでいただけるようにはしていきたいです。
今まで面倒を見られてきたから、その部分から離れるのは複雑ですよね。
かなり愛着もわいてるんじゃないですか。
- 松尾:
- わきますね。いま15台あるんですけど、全部クセが違うんですよ。
へぇ~!
- 松尾:
- ブレーキの感触とかハンドルの重さとか、15台とも違っていて。車両担当のときは運転士から「ここがおかしい」って言われて直したところが何カ所もあるので、1台1台、愛着があります。
名前はつけてないんですか?(笑)
- 松尾:
- それはさすがに(笑)。301、302、303…と呼んでますけど。
- 西澤:
- 俺、302と相性悪いんよな~。トンネルの中で2回も止まってるんで。
運転士さんとの相性もあるんですか!? どの子がカワイイとかありました?

- 田中:
- 乗りやすいのは307 。
- 西澤&松尾:
- そうそう。
満場一致! 人気者ですね!
- 田中:
- (笑)伸びが良いんですよ。
- 西澤&松尾:
- そうそう。
302は一番ダメな子?
- 松尾:
- 301もそうなんですが、構造上、ブレーキを踏みづらいんですよ。ただダメな子ほどかわいいというのもありますし(笑)

型が同じなら構造は一緒かと思っていました!
- 松尾:
- 違うんですよ。ハンドルを持つ位置も違いますし。
- 西澤:
- 1台1台手づくりなんで。
手づくりだったんですか!?
- 松尾:
- 車体は大阪車輌工業さん、中身は東芝さん、シャフト関係は三菱さんと、3社が入っていて。それらを集めて組み立ててもらっていたので。
運転士さんの体型によっても運転のしやすさが変わるんですね。じゃあ余計に寂しいような…。
皆さんにとってトロバスとは何ですかね。
- 西澤:
- う~ん…「絆」ですかねぇ。
- 松尾:
- 先に言われた!(笑)
- 西澤:
- (笑)愛着もありますし、お客さまとの絆もそうですし、歴史もありますしね。「うちのおじいちゃんが黒部ダムの建設に携わっていた」というお客さまが来てくださることもあるので、深い絆を感じます。
- 松尾:
- 似たような言葉ですけど、浮かんだのは「つながり」ですね。扇沢駅周辺には登山口が何か所かあって、登山で駐車場を利用される方もいらっしゃるんですよ。そのなかにバッテリーが上がって困っている方がいらっしゃったので手助けしたところ、後日、お礼の手紙をいただいて、翌年にはトロバスに乗りに来てくださったんです。そのとき僕の名前を覚えてくださっていて、わざわざご挨拶に…。
それは素敵ですね。
- 松尾:
- いろんなつながりをつくってくれたのがトロバスです。
- 田中:
- 「皆さんを笑顔にしてくれる乗り物」ですかね。これまでたくさんの笑顔を見せてくれましたから…。
ラストイヤーにかける思いはどうですか?
- 西澤:
- どれぐらいの方が来てくださるのか、まったく読めないんですが…でもやっぱり一人でも多くのお客さまにお越しいただいて、トロバス最後の思い出を共有したいですね。
- 松尾:
- 最後までトロバスの魅力をPRしていきたいです。ラストイヤーのキャンペーンとしてイベントなんかもたくさん行う予定ですし。
- 田中:
- まずは今までと変わらず、安全運転に努めたい。鉄道マニアのお客さまも大勢来られると思いますし、トロバスが心に残るようなイベントができればと。とにかく皆さんに、笑顔で楽しかったと言って帰っていただきたいですね。

バックナンバー

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(トップドーム設置工事)
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(2号海水管移設工事)
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え!?関電が鉄道事業?
今年で最後のトロバスに迫る
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震災後の需給逼迫を乗り越えろ!
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「そこまでやるんや!」と。
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燃料室 燃料運用G
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