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高浜発電所だより

高浜発電所だより 第128号 2020年4月

高浜発電所長 木島 和夫
高浜発電所長
木島 和夫

 高浜町の皆さまには、日頃より高浜発電所の運営にご理解、ご支援を賜り、心より感謝申し上げます。

 当社は3月30日、当社の役員等が金品等を受け取っていた問題につきまして、経済産業大臣に業務改善計画を提出しました。これは、先日、会社から独立した第三者委員会から受領した再発防止にかかる提言を、厳粛かつ真摯に受け止め、新たに社長に就任した森本のもと設置した「経営刷新本部」において議論を重ね、「企業風土の変革」、「ガバナンス体制の再構築」、「コンプライアンス機能の強化」、「発注業務等の適切性と透明性の確保」の4点を柱に、具体的な施策の方向性を取りまとめたものです。今後、この改善計画に基づき、具体的施策を決定のうえ確実に実行してまいりますが、高浜発電所としましても、信頼回復に向けてしっかり対応してまいります。

 また、3月13日、協力会社作業員の方の死亡事故を発生させてしまいました。高浜町の皆さまに大変なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。今回の事故の原因としましては、作業状況から、トラックの運転手は車両の誘導がないにもかかわらず、作業エリア内へ車両を後退させた結果、車両の後方に被災者の方がいることに気づかず、被災者の方を轢いてしまったものと推定いたしました。この状況を踏まえ、トンネルの掘削工事を行う現場作業において、新たに誘導員を配置するなどの具体的な対策を実施・徹底してまいります。また、今回の労働災害の重大性に鑑み、一旦立ち止まり、すべての工事で安全確認を実施いたしました。その上で、協力会社の意見も踏まえ、要員配置や作業期間の調整に余裕を持たせるため、全体工程を見直しました。当社は、これらの再発防止対策を取りまとめ、3月31日、福井県ならびに高浜町に報告し、公表した上で、準備が整ったものから順次、工事を再開しております。

 金品問題を受けまして、当社は、「今回生まれ変われなければ、明日の関西電力はない」という覚悟と、全く新しい関西電力を創生していくとの不退転の決意で経営刷新に取り組んでまいります。高浜発電所としましても、この決意を胸に刻みながら、発電所で働く仲間に二度とこのような痛ましい事故を起こすことのないよう、今一度、発電所で働く一人ひとりが、「安全最優先」を肝に銘じて、安全確保に取り組み、高浜町の皆さまの信頼回復に全力を尽くしてまいる所存です。

高浜発電所1、2号機 安全対策工事における協力会社作業員の方の
労働災害(死亡事故)の原因と対策

再発防止対策等について

(発生の状況)
  • ○3月13日、トンネル奥で掘削作業の準備を監視していた作業員の方が背後から後退してきた火薬運搬用のトラックに轢かれ、病院に救急搬送されましたが、同日、お亡くなりになられました。
(作業状況)

 現場周辺にいた作業員からの聞き取り結果などから、以下の状況が判明しました。

  • ○被災者の方は、作業区画内の道路中央付近でトラックに背を向けて掘削壁面の穴あけ作業を見ていたと推定。
    また、発破作業など騒音環境のために耳栓をしており、音が聞き取りにくい状況であったと推定。
  • ○トラック※1の運転手は、誘導員がいなくても作業エリア※2内に進入しても良いものと思い込み、車両を後退させた。
  • ※1 荷台には火薬保管用のコンテナがあり、ルームミラーやサイドミラーから車両後方が確認できない死角の多い車両
  • ※2 立入禁止エリア
(原因)
  • ○トラックの運転手は、車両の誘導がないにもかかわらず、作業エリア内へ車両を後退させたことから、車両の後方死角に被災者の方がいることに気付かず、被災者の方を轢いた。

作業現場 トンネル縦断図

(対策)

 トンネルの掘削工事を行う現場作業においては、以下の対策①から③を実施。

  • ① 車両後退においては、新たに誘導員を配置
  • ② 騒音環境での車両進入を警告するセンサー・パトライト(拡声器付き)を視認できる位置に設置
  • ③ 車両の死角をカバーするバックモニターを活用

労働災害発生の傾向の分析と対応

  • ○労働災害発生防止のための抜本的対策を検討するため、各発電所の工事(特重工事、安全対策工事、廃炉工事他)について、現場状況等の確認、最近の労働災害の傾向分析および協力会社とのコミュニケーションを実施しました。
(最近の労働災害の傾向)
  • 土木建築工事に関係する労働災害が多く、その原因は、「基本動作の遵守」からの逸脱が共通している。また、特に工事量の多い高浜発電所で多数の労災が発生している。
  • 対策として、「労働安全コンサルタント」の資格を有する安全技術アドバイザー1名を新たに高浜発電所専属として配置し、土木建築工事を重点的に見回り、現場指導を行います。
  • ※労働安全コンサルタントは、厚生労働大臣が認めた労働安全のスペシャリストとして、労働者の安全水準の向上のため、事業場の診断・指導を行う国家資格(士業)

協力会社とのコミュニケーションを踏まえた全体工程の見直し

 安全対策工事、特重工事等の大規模工事がある中、協力会社の意見を踏まえ、今後の作業変更等を想定し、要員配置や作業期間の調整に余裕を持たせるため全体工程を見直しました。

全体工程図

献花台

 高浜発電所において、発電所構内にある「鎮魂の碑」に献花台を設置しました。
 お亡くなりになられました被災者の方に哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の方に寄り添いながら誠心誠意尽くしてまいります。

電気事業法に基づく業務改善計画の提出について

 当社の役職員が、社外の関係者から金品等を受け取っていた問題等により、高浜町の皆さまからの信頼を裏切り、多大なるご迷惑をおかけしていることについて、深くお詫び申し上げます。

 当社は、2020年3月に、第三者委員会から、今回の事案に係る事実関係、原因究明、再発防止の提言などを取りまとめた調査報告書を、また、経済産業省から、電気事業法に基づく業務改善命令を受領しました。当社は、報告書ならびに本命令を厳粛かつ真摯に受け止め、新たに設置した「経営刷新本部」において、再発防止策を取りまとめ、3月30日に業務改善計画を策定しました。今後、新たな経営体制のもとで、具体的な施策を決定のうえ確実に実行してまいります。

 業務改善計画においては、今後、再発防止に責任をもって取り組むにあたり、経営責任ならびに役職員の責任の所在の明確化を図っております。また、第三者委員会の調査報告書において、役員退任後の嘱託等の報酬について、正当性が認められないとのご指摘をいただきました。当社としては、このご指摘を厳粛かつ真摯に受け止め、支給済みの嘱託等報酬の全額回収を図ることとしました。今後、役員退任後の嘱託等の業務委嘱については、取締役会で決定することで、客観性を高め、再発防止に努めてまいります。

再発防止に向けた業務改善計画の主な内容

◎企業風土の変革
  • ●不退転の決意で改革を断行していくために、「常にユーザー目線で考え、行動し続けること」や「誠実で透明性の高い開かれた事業活動を継続していくこと」などを宣誓します
  • ●「ユーザー目線」でのコンプライアンス意識を醸成するために、コンプライアンス推進に係る基本方針等を網羅的に見直します
  • ●内向きの企業体質を是正するために、コンプライアンスに係るトレーニング・研修を強化し、コンプライアンスを重視する健全な組織風土の醸成に取り組みます
◎ガバナンス体制の再構築
  • ●執行と監督が明確に分離され、外部の客観的な視点を重視した実効的なガバナンス体制を構築し、取締役会の監督機能を強化するために、指名委員会等設置会社への移行を検討します。
    また、取締役会の議長は、社外出身者の取締役会長が担います
  • ●原子力事業本部を健全なガバナンスの効いた組織にするために、コンプライアンスを所管する本部長代理を設置します。
    また、監査機能を強化するために、常駐する監査特命役員を任命します
◎コンプライアンス機能の強化
  • ●コンプライアンスに係る監督機能を強化するために、社長等執行から独立した「コンプライアンス委員会」を新設します
  • ●コンプライアンスに係る推進機能を強化するために、執行側に「コンプライアンス推進室」を新設します
  • ●グループ全体のコンプライアンス機能の強化を図るために、「コンプライアンス委員会」と「コンプライアンス推進室」の双方が積極的に連携します
◎発注業務等の適切性と透明性の確保
  • ●工事の発注・契約等に係る牽制機能を強化するために、一部を除き契約権限を調達本部に移管します
  • ●工事の発注・契約手続き等の透明性を確保するために、外部の専門家等で構成される「調達等審査委員会」を新設します
  • ●競争発注を形骸化させないために、特定の個人や企業に対してのみ便益を供するような、工事の発注・契約等に係る事前情報提供等を禁止します

業務改善計画の詳細と今後の取組みの進捗状況を、当社ホームページでご報告いたします。

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