プレスリリース

2007年12月14日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成19年12月13日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 湿分分離器ドレンタンク水面計取出しフランジからの蒸気漏れ事象が発生したため、12月6日に原子炉を停止しましたが、12月13日に原子炉を起動し、同日臨界に達しました。
12月14日発電再開予定
湿分分離器ドレンタンク水面計取出しフランジからの蒸気漏れの原因と対策について
詳細は2(2)のとおり
12月10日お知らせ済み】
定期的な希ガス放出時の警報発信の原因と対策について
詳細は2(2)のとおり
12月10日お知らせ済み】
2号機 50.0万 第24回 定期検査中
H19年7月20日〜未定
 
3号機 82.6万 運転中  
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 第24回 定期検査中
H19年8月17日〜未定
蒸気発生器入口管台溶接部での傷の調査状況について
詳細は2(1)のとおり
12月7日お知らせ済み】
3号機 87.0万 第18回 定期検査中
H19年11月23日〜H20年4月上旬予定
 
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中
B−非常用ディーゼル発電機シリンダ冷却水の漏えいに伴う待機除外について
詳細は2(3)のとおり
【その後の状況をお知らせ】
2号機 117.5万 第21回 定期検査中
H19年9月30日〜H20年1月上旬予定
12月14日調整運転開始予定
2次系主給水配管曲がり部の減肉の原因と対策について
詳細は2(1)のとおり
11月22日お知らせ済み】
炉物理試験の復旧操作における警報の発信について
詳細は2(2)のとおり
【事象概要等をとりまとめましたのでお知らせ】
3号機 118.0万 運転中  
4号機 118.0万 運転中  


2.トラブル等情報について

(1) 法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)
発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 第21回定期検査中(11月7日)
件  名 2次系主給水配管曲がり部の減肉の原因と対策について   (添付図1参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中、2次系配管点検の一環として、主給水隔離弁から蒸気発生器までの主給水配管について超音波による肉厚測定を実施した結果、11月7日、4系統ある主給水配管のうち1系統のC−主給水隔離弁下流の配管曲がり部の肉厚が10.9mm(実測最小値)で、技術基準に定められた計算必要厚さ(15.7mm)を下回っていることを確認しました。
 当該以外の3系統(A、B、D)の主給水隔離弁下流の配管曲がり部については、今回の定期検査で実施した肉厚測定の結果、計算必要厚さを上回っていることを確認しています。
 なお、本事象による環境への放射能の影響はありません。

1.調査結果
(1)減肉状況の調査
  超音波による肉厚測定で減肉状況を確認したところ、主給水隔離弁下流側の直管部と曲がり部との溶接部近傍で最も減肉していました。
  減肉が認められた曲がり部の下流側を切断し、内面を目視点検した結果、割れ等の異常は認められませんでした。拡大観察の結果、減肉部で流れ加速型腐食(FAC)特有の鱗片状模様が認められました。また、直管部でもわずかに鱗片状模様が認められました。
  配管内を流れる高温水の状態を解析した結果、主給水隔離弁で流れに乱れが生じ、乱れは曲がり部まで継続していました。
(2)過去の点検実績
  主給水隔離弁下流の配管曲がり部は、当社の2次系配管肉厚の管理指針(以下「管理指針」という)では減肉点検対象外(その他点検部位)でしたが、平成2年の第8回定期検査で当該部の肉厚測定を実施し、実測最小値は20.5mm、余寿命は27.2年と評価しました。
  平成16年7月、大飯1号機の同一部位で計算必要厚さを下回る事象が発生したことから、管理指針を改正し、主給水隔離弁下流の配管曲がり部を減肉点検対象(主要点検部位)に変更しましたが、大飯2号機では過去に点検実績があったことから、当該部の肉厚測定を行いませんでした。
  平成16年8月に発生した美浜3号機二次系配管破損事故を受けて、当社は管理指針を改正しました。主な改正内容は、主要点検部位は10年以内に3回の肉厚測定を実施すること(改正時期:平成16年12月)、測定時期が10年以上前の主要点検部位は至近の定期検査で点検すること(改正時期:平成19年3月)等です。
  これらの改正を受け、今回の定期検査で当該部の肉厚測定を行いました。
(3)運転パラメータ等の調査
 前回肉厚測定を行った第8回定期検査以降の運転期間中の主給水の流量、温度、圧力、pH、溶存酸素濃度、電気伝導率を確認したところ、有意な変化は認められませんでした。

2.推定原因
 主給水隔離弁(玉型弁)下流側に生じる流れの乱れにより、当該部でFACによる減肉が発生、進展し、計算必要厚さを下回ったものと推定されました。
 また、管理指針を改正するたびに当該部の点検時期を見直してきましたが、今回の当該部の点検では平成2年の点検時の余寿命で評価しており、結果的に計算必要厚さを下回る前に点検が実施されませんでした。
 なお、最新の知見を反映した現在の管理指針では、同様の事象の発生は防止できると考えています。

3.対 策
  当該部を同寸法、同材料の新品に取り替えます。また、信頼性向上の観点から、主給水隔離弁(玉型弁)下流の曲がり部を耐食性に優れた低合金鋼に取り替えることを計画します。
  点検時期が10年以上前の主要点検部位については、管理指針に基づき今回の定期検査で全て点検し、当該部を除いて計算必要厚さを満足していることを確認しました。
  念のため、点検回数が3回に達していない主要点検部位については、以下のように点検を実施します。
   
至近2回の定期検査で未点検の部位については、今回の定期検査で点検を実施。
今回の定期検査完了時点で点検回数が3回に達しない部位は、今後3定期検査を超えない範囲で順次点検を実施。

11月7日22日 お知らせ済み]




発電所名  高浜発電所2号機 発 生 日 第24回定期検査中(12月4日)
件  名 蒸気発生器入口管台溶接部での傷の調査状況について   (添付図2参照)
事象概要
および
対 策 等
 美浜2号機の蒸気発生器入口管台溶接部(600系ニッケル基合金使用)で傷が確認されたことを踏まえ、3台ある蒸気発生器の入口管台溶接部内面の渦流探傷試験(ECT)※1を行ったところ、A−蒸気発生器入口管台溶接部で3箇所、B−蒸気発生器入口管台溶接部で2箇所、C−蒸気発生器入口管台溶接部で4箇所の有意な信号指示(最大長さ A:7mm、B:7mm、C:14mm)を確認しました。
 このため、AおよびB−蒸気発生器入口管台溶接部の5箇所について、傷の深さを確認するため超音波探傷試験(UT)※2を行った結果、12月4日、B−蒸気発生器入口管台溶接部(管台部の厚さ:約79mm)の1箇所で深さが約6mmあり、電気事業法に基づく工事計画認可申請書に記載の75mmを下回ると評価され、残りの4箇所についてはUTにおける有意な信号指示は認められませんでした。
 その後、C−蒸気発生器入口管台溶接部の4箇所について、傷の深さを確認するためUTを行った結果、C−蒸気発生器入口管台溶接部(管台部の厚さ:約79mm)の2箇所で深さが約6mmおよび約8mmの信号指示が確認され、これらは電気事業法に基づく工事計画認可申請書に記載の75mmを下回ると評価されました。
 なお、残りの2箇所についてはUTにおける有意な信号指示は認められませんでした。
 この結果を踏まえ、原因調査のため金属組織観察等の点検を行います。
 今後の定期検査工程については現時点では未定です。


  ※1: 渦流探傷試験(ECT)
材料表面に渦電流を流して、材料に発生する電磁誘導の変化から検査対象の傷を検出する方法。
  ※2: 超音波探傷試験(UT)
構造物に入射した超音波が欠陥に当たって跳ね返ってくる反響を観測することにより、欠陥の形態、形状、寸法を測定する方法。

12月4日7日 お知らせ済み]




(2)安全協定の異常時報告事象
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 12月5日
件  名 湿分分離器ドレンタンク水面計取出しフランジからの蒸気漏れの原因と対策について  (添付図3参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中のところ、12月5日、巡視点検中の当社運転員が、タービン建屋1階にある湿分分離器ドレンタンク※1水面計取出しフランジ付近※2からわずかな蒸気漏れを発見しました。
 当該フランジを確認したところ、パッキン部分からの漏えいと判断されたため、当該フランジのボルトを増し締めしましたが、蒸気漏れは停止しませんでした。
 漏えい量はわずかであり、増加傾向はなく、プラントの運転や安全性に影響を及ぼすものではありませんが、計画的に原子炉を停止し、当該フランジの点検・補修を行うこととしました。
 なお、漏れた蒸気は放射性物質を含まない2次系の蒸気であり、この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。

 12月6日に原子炉を停止した後、蒸気漏れが確認されたフランジの点検を実施しました。


1.点検結果 
(1)フランジ分解前点検結果
  湿分分離器ドレンタンクと水面計とは、上部と下部の2つの配管でつながっており、この2つの配管のフランジを点検しました。上部フランジ(蒸気漏れが発生した側)は、最大約3.6mm、上下方向(水面計側フランジが上側)にずれていました。また、面間寸法(水面計側フランジ面とタンク側フランジ面との間隔)は4.2mm〜5.0mmと、計測部位によって異なり、若干片締め傾向(上側の隙間の方が大きい)が認められました。下部フランジは、最大約2.0mm、左右方向にずれていました。また、面間寸法は4.3mm〜5.8mmで若干片締め傾向(下側の隙間の方が大きい)が認められました。
(2)フランジ分解後点検結果
  フランジ面の傾き(平行度)を確認したところ、水面計側フランジはほぼ平行でしたが、タンク側フランジは、上部フランジが約0.6°上向き、下部フランジは約1°下向きの状態でした。
  上部フランジの水面計側シート面において、0°(上側)付近に、シート部を貫通し漏えい経路となった、幅約1.5mm、深さ約1.5mmの溝と、未貫通の溝が認められました。溝の表面観察の結果、貫通溝は蒸気によって削られたと見られるなめらかな様相がみられ、未貫通の溝には、腐食によると思われる酸化物が認められました。
(3)当該フランジの保守経歴の調査
  当該フランジは、第21回定検時に水面計点検のため取り外され、パッキンを取替えていました(水面計点検頻度は3定検に1回)。当時の作業員に聞き取りした結果、タンク側フランジのずれが大きく、フランジを締付けるボルトが締めにくかったとの証言がありました。
(4)モックアップ試験 
  当時の水面計取付け作業を模擬するため、当該タンクのフランジに、同寸法の水面計取り付け作業の再現試験を行いました。その結果、タンク側フランジのずれが大きいことに加え、干渉物が多いことなどから、作業性が悪く、パッキンの圧縮量は、上部フランジ部の0°付近については、不十分となることがわかりました。


2.推定原因
 湿分分離器ドレンタンクの水面計(剛構造)のフランジの取付け時、タンク側フランジ面が傾いていたため、パッキンの締付けが上部フランジ部の0°付近で不足していたこと、およびフランジシート面に微小な傷または腐食が存在していたため、その傷または腐食部分に蒸気が進入し、腐食が進行し、運転中に蒸気漏れに至ったものと推定されました。


3.対 策
(1) 当該部については、タンク側フランジを上部、下部とも取替え、面ずれ、面開きを修正します。また、水面計側フランジは水面計と一体で取り替えます。フランジ締付けに当たっては、隙間管理(パッキン圧縮量管理)を確実に行います。
(2) 今後の水面計分解点検においては、フランジの傾きを確認し、必要によりフランジの取替えを行います。
(3) 今回の事象において、作業性の問題点が共有されなかったことを踏まえ、協力会社への聞き取り調査を行い、情報共有を強化することで、設備改善につなげていくこととします。


  ※1: 高圧タービンから出た蒸気が、湿分分離器で加熱・湿分除去された際に生じる凝縮水が流入するタンクで、同タンクに流入した凝縮水は給水系統に流入する。
  ※2: ドレンタンクの水位を確認できるよう、ドレンタンク脇に水面計を設置している。
水面計とドレンタンクとは、上部と下部の2つの配管でつながっており、上部配管はタンク気相部から下部配管はタンク液相部からそれぞれ空気(蒸気を含む)と水を取出し水位を表示している。この配管を水面計取り出し配管といい、フランジとは、配管の継手部のことをいう。

12月5日10日 お知らせ済み]




発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 12月6日
件  名 定期的な希ガス放出時の警報発信の原因と対策について (添付図4参照)
事象概要
および
対 策 等
 美浜発電所1号機は、湿分分離器ドレンタンク水面計取出しフランジ付近からの蒸気漏れの点検および補修のために原子炉を停止した後、定期的な放射性気体廃棄物(希ガス)の管理放出作業として、12月6日から、D−ガス減衰タンク※1に貯留している希ガスを補助建屋排気筒から放出する作業を実施していたところ、「プロセスモニタ計数率注意警報」が発信しました。
 直ちに関連パラメータを確認したところ、補助建屋排気筒ガスモニタの指示値が上昇(通常値約850cpmが約4,200cpmに上昇、警報設定値は2,000cpm)していることが確認されたため、放出作業を停止した結果、モニタの指示値は低下し、通常値に戻りました。その後、補助建屋排気筒ガスモニタの指示値は、通常値で安定しています。
 補助建屋排気筒ガスモニタの指示値から、希ガスの放出放射能量は約8.3×10Bqと評価され、保安規定に基づく放出管理目標値(2.1×1015Bq/年)に比べ約250万分の1以下と十分低く、周辺環境等への影響はありません。
 なお、本事象による発電所周辺モニタリングポスト等の指示値に有意な変化は認められませんでした。


  ※1  原子力発電所の運転に伴い発生する放射性気体廃棄物(希ガス)の放射能を減衰させるために、一時的に希ガスを貯留するタンク(全4台)。放射能が減衰したことを確認し、定期的に希ガスの管理放出を行う。


1.点検結果 
(1)放射能濃度の評価結果
  D−ガス減衰タンクに貯留している希ガスは、98日間減衰(通常:30日以上減衰)されており、減衰期間には特に問題はありませんでした。また、希ガス放出前のD−ガス減衰タンクの放射能濃度分析も手順どおり実施し、十分に放射能濃度が落ちていることを確認(測定結果:8.58×101Bq/cm3)しており、事象発生後に再度分析した結果、前日の分析結果とほぼ同値であり(7.34×101Bq/cm3)、問題はありませんでした。
(2)放出手順・弁の操作方法の確認結果
  希ガスの放出は手順書に基づき実施しており、放出手順や弁の操作方法に問題はありませんでした。
(3)ガス減衰タンク放出系統設備の点検結果
  D−ガス減衰タンクの希ガス放出操作時において、シート漏れが起こった場合に希ガスが補助建屋排気筒に放出される可能性のある弁3台を点検した結果、1台の弁(「ガス減衰タンク分析ライン止め弁」※2)については、圧力をかけると漏えいが起こることが確認され、当該弁の分解点検の結果、弁のシート面に2箇所の漏えい痕が確認されました。また、漏えい痕の1箇所には、金属光沢のある異物が認められました。なお、他の弁2台については、異常は認められませんでした。
  異物の成分分析を実施した結果、ステンレス鋼(SUS316同等の成分)であることを確認しました。当該弁の上流側の配管継手を観察した結果、ナットのネジ部に配管継手のボルトナットの摩耗粉(SUS316)と思われるもの(長さ約1mm、厚さ約0.2mm)が認められました。


  ※2  D−ガス減衰タンクの放出操作中、体積制御タンクの気相部のガスをガス分析器に通気していたが、この系統とガス減衰タンク放出系統は、ガス減衰タンク分析ライン止め弁を介してつながっている。このため当該弁がシート漏れした場合、希ガスが補助建屋排気筒に放出される。


2.推定原因
  これらの点検結果から、ガス減衰タンク分析ライン止め弁の上流側の配管継手のボルトナットの摩耗粉が当該弁のシート部に付着してシート漏れが発生し、比較的高濃度の体積制御タンクの希ガスが、ガス減衰タンク放出系統に充満しました。その状態でガスの放出操作を行ったため、まず、充満していた体積制御タンクの希ガスが補助建屋排気筒から放出されたものと推定されました。
  さらにこの放出に伴って、ガス減衰タンク放出系統の配管内の圧力が低下することにより、体積制御タンクの希ガスが、D−ガス減衰タンクから放出されたガスとともに補助建屋排気筒から放出されたため、補助建屋排気筒のモニタの指示値が上昇し、計数率注意の警報が発信したものと推定されました。


3.対 策
  シート部の漏えいが確認されたガス減衰タンク分析ライン止め弁を取替えます。
  今後は、当該ライン止め弁の上流側に設置している手動弁を常時閉じておくこととで、ガス減衰タンク分析系統とガス減衰タンク放出系統とを、2台の弁で2重に隔離することとし、これを所則に反映することとします。

12月6日10日 お知らせ済み]




発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 12月13日
件  名 炉物理試験の復旧操作における警報の発信について   (添付図5参照)
事象概要
および
対 策 等
 大飯発電所2号機は、定期検査の最終段階である調整運転開始に向けて、12月12日に原子炉を起動、翌13日に臨界とし、原子炉出力1〜2%で炉物理試験※1を実施しました。その後、原子炉出力を0%に戻すため、16時46分〜53分にかけて制御棒の挿入操作を行ったところ、17時05分に、警報※2が発信しました。
 警報発信時の状況を確認したところ、原子炉容器入口と出口の1次冷却材の平均温度(289.1℃)が警報設定値(289.4℃)を下回っていました。
 調査の結果、設備に異常は認められず、制御棒の挿入操作間隔が若干短かったことにより1次冷却材平均温度の低下が通常より大きくなり警報発信に至ったものと考えられます。
 今後、1次冷却材平均温度の低下量を見込んだ制御棒挿入間隔を適切に評価し、要領書に反映します。
 本事象を受け、本日予定していた調整運転の開始を明日に変更しました。
 なお、本警報は、本来、主蒸気管が破断した場合の蒸気の流出に伴う1次冷却材平均温度の低下を検知するものですが、今回の警報発信は制御棒操作に伴って発信したものであり、蒸気漏れは発生しておりません。
 本事象による周辺環境への影響はありません。


  ※1: 炉物理試験
本検査は原子炉が臨界に達した後、制御棒の挿入・引き抜き、1次冷却水(ほう酸水)中のほう素濃度の希釈・濃縮および1次冷却系統の温度変化を与えることにより、制御棒、ほう酸水の効果や、原子炉内の出力分布の状態等を確認する試験。
  ※2: 「1次冷却材平均温度低低パーシャル主蒸気隔離&安全注入」警報
主蒸気管が破断した場合、蒸気の流出により1次冷却材温度が低下し、原子炉に正の反応度が投入されることから、4ループのうち2ループでの「1次冷却材平均温度低低」信号と4ループのうち2ループでの「主蒸気流量高」信号の一致により、主蒸気管破断が発生したことを検知し、「主蒸気隔離信号」と「非常用炉心冷却設備(ECCS)作動信号」を発信、主蒸気隔離弁を閉止するととものにECCSを作動させ、事故の収束を図る。
今回は、2つの動作要素のうち、「1次冷却材平均温度低低」の信号が発信されたものである。




(3)保全品質情報等
発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 8月10日
件  名 B−非常用ディーゼル発電機シリンダ冷却水の漏えいに伴う待機除外について 
 (添付図6参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の8月10日、2台ある非常用ディーゼル発電機のうちB号機の定期負荷試験※1を実施していたところ、シリンダ冷却水フランジ部から水漏れが確認されました。
 漏えい箇所を確認した結果、フランジ部のパッキンに損傷が確認され、B号機の機能に影響があることから、保安規定の運転上の制限※2を満足していないものと判断し、待機除外※3としました。同日、当該部のパッキンを新品に取り替え、翌11日に再度定期負荷試験を行い健全性を確認し、待機状態に復旧し保安規定の運転上の制限を満足した状態に復帰しました。
 調査の結果、フランジ部が片締めとなっていたため、当該部破損箇所の締付け力が不十分な状態であったことに加え、長期間の締付けによってパッキンの反発力(締付け力)が低下したことにより、パッキン接触面の摩擦力が低下し、当該部のパッキンが水圧によってフランジ外側へと押し出されました。また、パッキンが押し出された箇所において外気との接触による硬化およびき裂の進展が繰り返され、最終的にパッキンが破断し、シリンダ冷却水が漏えいしたものと推定されました。
 対策として、締付け不足が発生しないよう、パッキンの取付け時の締付け量について数値管理を行うこととし、作業手順書に反映します。また、長期間の締付けによる締付け力の低下を考慮しパッキンの取替え周期について検討します。


  ※1: 定期負荷試験
非常用ディーゼル発電機の機能の健全性を確認するための試験である。(1回/月)
  ※2: 保安規定の運転上の制限
運転中は、非常用ディーゼル発電機が2台動作可能であることが求められている。
  ※3: 待機除外
通常、いつでも起動できる状態(待機状態)にある機器を、点検等のために自動起動できない状態にすること。

[安全協定の異常時報告事象のため、8月15日9月14日 お知らせ済み]

 本事象を踏まえ、今後の運転に万全を期すため、大飯発電所1号機については、既に取替えを実施した当該パッキンを含めた全てのパッキンについて、11月19日から22日の間に、計画的に待機除外としパッキンを取替えました。
 また、他プラントへの水平展開として、大飯発電所1号機と同様にパッキンが長期間使用されていた美浜発電所3号機についても、11月28日から29日の間に、計画的に待機除外としパッキンを取替えました。

以 上

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