プレスリリース

2007年9月14日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成19年9月13日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 第22回 定期検査中
H18年11月1日〜9月下旬までの予定(調整運転中)
 
2号機 50.0万 第24回 定期検査中
H19年7月20日〜11月下旬までの予定
【新 規】
「原子炉補助建屋での水漏れについて」
詳細は3(1)のとおり
3号機 82.6万 運転中  
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 第24回 定期検査中
H19年8月17日〜11月上旬までの予定
 
3号機 87.0万 運転中
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中 【お知らせ済み】
「1次冷却材ポンプ封水注入フィルタからの水漏れの原因と対策について」
詳細は2(1)のとおり

【原因対策は新規】
「B−非常用ディーゼル発電機シリンダ冷却水の漏えいに伴う待機除外について」
詳細は2(2)のとおり
2号機 117.5万 運転中 【新   規】
「大飯発電所1,2号機復水処理建屋での協力会社作業員の負傷について」
詳細は3(1)のとおり
3号機 118.0万 運転中
4号機 118.0万 運転中  


2.保全品質情報について
※:

保全品質情報
 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象



(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 9月3日
件  名 1次冷却材ポンプ封水注入フィルタからの水漏れの原因と対策について  
(添付図1参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の9月3日、当社社員が体積制御タンク水位の低下を確認するとともに、加圧器水位についてもわずかに低下傾向にあることを確認しました。
 直ちに関連パラメータを確認したところ、原子炉補助建屋の床ドレンタンク水位の上昇が確認されたため、同建屋内を点検した結果、1次冷却材ポンプのA−封水注入フィルタ※1付近から漏水していることが判明しました。
 このため、B−封水注入フィルタに切り替えるとともに、A−封水注入フィルタの入口弁と出口弁を閉止し、同日23時39分に漏水は停止しました。今後の運転に万全を期す観点から、原子炉を手動停止し、漏えいが発生したA−封水注入フィルタの点検を行うこととしました。
 漏えいした水は補助建屋の床ドレンタンクに回収しており、漏水量は約3.4m(放射能量は約6.8×10Bq)と推定されます。
 また、今回の漏水に伴い、プラント排気筒ガスモニタの指示値が通常値に比べわずかに上昇(約870cpm→約900cpm)※2しましたが、これによる環境への放出放射能量は、約1.4×10Bqと評価され、保安規定に基づく年間の放出管理目標値(3.9×
1015Bq/年)に比べ、200万分の1以下であることを確認しています。
 なお、発電所敷地内および周辺のモニタリングポストの指示値は平常と変わりなく、環境への影響はありません。


  ※1: ポンプ内の水が主軸に沿ってポンプ外部に流出しないようにシール水を注入しているが、その水を浄化するもの。
  ※2: 大飯1号機においては、注意警報値3000cpm、高警報値20000cpm


 9月4日に出力降下を開始し、同日に発電を停止、9月5日に原子炉を停止した後、漏水が確認されたA−封水注入フィルタの詳細調査等を実施しました。

1.調査結果
(1)漏えい部の調査結果
  当該フィルタは、上部にフランジタイプの蓋が取り付けられた円筒形容器で、フランジ合わせ面の溝にOリング(ゴム製で断面が円形のリング状パッキン)を装着し、3本のボルトで蓋を締め付けて漏れを防止しています。
  外観観察の結果、容器表面の一部に漏れ跡が確認され、Oリングが破断してフランジ合わせ面からはみ出していることが認められました。また、発泡材を用いた漏えい試験で、フランジ合わせ面からの漏えいが確認されました。
  フランジ合わせ面の隙間測定を行ったところ、漏えい部位で最大0.35mmの隙間が認められましたが、その他の部位ではほとんど隙間が認められず、フランジ部の締付けが不均一(片締め)となっていたことが確認されました。

(2)フィルタ取替状況の調査結果
  当該フィルタについては、7月30日にフィルタ取替作業が行われていますが、その作業状況を調査したところ、協力会社作業員は3本のボルトを交互に段階的に締め付け、目視で片締めのないことを確認した後、系統圧力をかけて漏えい試験を実施していました。
  その後、出入口弁を閉じて待機状態としていましたが、9月1日にB−フィルタから当該フィルタへの切替えを行い、通水を開始しました。

2.推定原因
  7月30日のフィルタ取替作業において、フランジ部が片締めとなっていたため、当該部において十分な締付け量が確保されていませんでした。
  このため、9月1日の当該フィルタへの通水開始に伴い、当該部において、系統圧力によりOリングが徐々に外側(フランジ端面方向)に押し出され、Oリングの伸びの限界を超えて破断し、漏えいが発生したものと推定されました。
  なお、片締めとなった原因については、フィルタ取替作業手順書に片締めの確認方法が明記されておらず、適切な締付管理ができていなかったことによるものと考えられます。

3.対 策
  当該フィルタおよびB−フィルタについてOリングを新品に取替えます。取替えにあたっては、片締めにならないよう、隙間ゲージによるフランジ部の隙間管理を実施します。
  今回の封水注入フィルタと同様の1次系水フィルタのフランジ合わせ面について、隙間確認を行い、片締めが確認された箇所については再度締付けを行いました。
  Oリングを使用する容器等のフランジ部における取替作業手順書に、隙間ゲージによるフランジ部の隙間管理を実施することを明記します。
  本事象を協力会社作業員に周知徹底しました。また、本事象を原子力発電所請負工事に関する心得集に事例追加することとしました。

 当該フィルタおよびB−フィルタのOリングを新品に取替えた後、9月8日に原子炉を起動し、同日に発電を再開しました。

[平成19年9月4日7日 お知らせ済み]




(2)(1)に至らない軽微な事象
発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 8月10日
件  名 B−非常用ディーゼル発電機シリンダ冷却水の漏えいに伴う待機除外について 
(添付図2参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の8月10日、2台ある非常用ディーゼル発電機のうちB号機の定期負荷試験※1を実施していたところ、シリンダ冷却水フランジ部から水漏れが確認されました。
 漏えい箇所を確認した結果、フランジ部のパッキンに損傷が確認され、B号機の機能に影響があることから、保安規定の運転上の制限※2を満足していないものと判断し、待機除外※3としました。同日、当該部のパッキンを新品に取り替え、翌11日に再度定期負荷試験を行い健全性を確認し、待機状態に復旧し保安規定の運転上の制限を満足した状態に復帰しました。
 なお、本事象による環境への放射能の影響はなく、プラントの運転にも影響はありません。


  ※1:   定期負荷試験
  非常用ディーゼル発電機の機能の健全性を確認するための試験である。(1回/月)
  ※2:   保安規定の運転上の制限
  運転中は、非常用ディーゼル発電機が2台動作可能であることが求められている。
  ※3:   待機除外
  通常、いつでも起動できる状態(待機状態)にある機器を起動できない状態とすること。


8月15日お知らせ済み]

 漏えい箇所について確認した結果、パッキンに経年変化によるひび割れ等が確認されており、また、その後の詳細調査の結果、パッキンを固定するフランジ部を取付ける際に片締めとなり、当該部破損箇所は締付け力が不十分な状態であったことが確認されました。

 これらのことから今回の事象の原因は、フランジ部が片締めとなっていたため、当該部破損箇所の締付け力が不十分な状態であったことに加え、長期間の締付けによってパッキンの反発力(締付け力)が低下したことにより、パッキン接触面の摩擦力が低下し、当該部のパッキンが水圧によってフランジ外側へと押し出されました。また、パッキンが押し出された箇所において外気との接触による硬化およびき裂の進展が繰り返され、最終的にパッキンが破断し、シリンダ冷却水が漏えいしたものと推定されました。

 対策として、締付け不足が発生しないよう、パッキンの取付け時の締付け量について数値管理を行うこととし、作業手順書に反映します。また、長期間の締付けによる締付け力の低下を考慮しパッキンの取替え周期について検討します。




3.その他情報
(1)不具合情報
発電所名  大飯発電所1,2号機 発 生 日 9月10日
件  名 復水処理建屋での協力会社作業員の負傷について (添付図3参照)
事象概要
および
対 策 等
 9月10日、大飯発電所1,2号機復水処理建屋1階面の機器搬出入口において配管点検の準備作業中、トラックの荷台からスチールバンドで固縛した足場板20枚(約140kg)を、3階面までクレーンで吊り上げる作業を実施していたところ、吊り上げ途中で荷崩れを起こし、足場板がトラック荷台に落下しました。
 その際、落下した衝撃で固縛していたスチールバンドが切れ、足場板の一部が跳ね上がり、トラックの荷台にいた作業員の1人に当たり、左足、右肩および腰を負傷しました。
 原因は、吊上げ作業の際、玉掛作業員が吊荷の拘束力が弱い「半掛け(吊荷に回して掛ける方法)」により玉掛けを行い、吊上げ途中に吊荷が若干傾いていることに気づいたものの、問題ないと判断し作業を続行したため、足場板が徐々にバランスを崩し落下したものと推定されました。
 対策として、吊荷の拘束力が強い「目通し(吊荷を絞り込むように掛ける方法)」等による玉掛けを実施することを社内ルールに明記します。また、今回の事例について協力会社に周知・徹底を行います。




発電所名  美浜発電所2号機 発 生 日 第24回定期検査中(9月13日)
件  名 原子炉補助建屋での水漏れについて (添付図4参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の9月13日、協力会社作業員が原子炉補助建屋EL4.0mフロアの開口部(グレーチング)から水が滴下していることを確認しました。このため、直ちに原子炉補助建屋内で実施していた1次系純水タンクとほう酸タンクの残水を床ドレン系統に排水する作業を中止しました。
 また、現場を確認したところ、開口部周囲の側溝内に水が溜まっていたことから、側溝から水があふれ、開口部から滴下したものと推定されました。
 漏えい量は、床の水溜りの大きさとサンプタンクの水位変化から約130リットルと評価され、放射能量は約2.8×10Bqと推定されました。
 漏えいした水は全て回収しており、外部への漏えいはなく、環境への放射能の影響はありません。
 側溝の排水用配管が床ドレン系統に接続されていることから、床ドレン系統配管内を目皿からのぞいたところ、水が溜まっていることが確認されました。このため、床ドレン系統の水の流れが悪いものと考えられ、現在、配管内の調査を実施中です。



(2)その他情報(工学的安全施設の予防保全作業)

   なし


  保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
  当社ホームページ(http://www.kepco.co.jp/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
  日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

プレスリリース