プレスリリース

2007年12月10日
関西電力株式会社

美浜発電所1号機の原子炉手動停止に伴う点検結果について(湿分分離器ドレンタンク水面計取出しフランジからの蒸気漏れの原因と対策)

 美浜発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力34万キロワット、定格熱出力 103万1千キロワット)は、定格熱出力一定運転中のところ、12月5日午前6時頃、巡視点検中の当社運転員が、タービン建屋1階にある湿分分離器ドレンタンク※1水面計取出しフランジ付近※2からわずかな蒸気漏れを発見しました。
 当該フランジを確認したところ、パッキン部分からの漏えいと判断されたため、当該フランジのボルトを増し締めしましたが、蒸気漏れは停止しませんでした。
 漏えい量はわずかであり、増加傾向はなく、プラントの運転や安全性に影響を及ぼすものではありませんが、計画的に原子炉を停止し、当該フランジの点検・補修を行うこととしました。
 なお、漏れた蒸気は放射性物質を含まない2次系の蒸気であり、この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。


  ※1: 高圧タービンから出た蒸気が、湿分分離器で加熱・湿分除去された際に生じる凝縮水が流入するタンクで、同タンクに流入した凝縮水は給水系統に流入する。
  ※2: ドレンタンクの水位を確認できるよう、ドレンタンク脇に水面計を設置している。
水面計とドレンタンクとは、上部と下部の2つの配管でつながっており、上部配管はタンク気相部から下部配管はタンク液相部からそれぞれ空気(蒸気を含む)と水を取出し水位を表示している。この配管を水面計取り出し配管といい、フランジとは、配管の継手部のことをいう。
[平成19年12月5日 お知らせ済み]


 12月5日18時52分より出力降下を開始し、12月6日午前2時17分に発電を停止、午前3時26分に原子炉を停止した後、蒸気漏れが確認されたフランジの点検を実施しました。

1.点検結果 
(1)フランジ分解前点検結果
湿分分離器ドレンタンクと水面計とは、上部と下部の2つの配管でつながっており、この2つの配管のフランジを点検しました。上部フランジ(蒸気漏れが発生した側)は、最大約3.6mm、上下方向(水面計側フランジが上側)にずれていました。また、面間寸法(水面計側フランジ面とタンク側フランジ面との間隔)は4.2mm〜5.0mmと、計測部位によって異なり、若干片締め傾向(上側の隙間の方が大きい)が認められました。下部フランジは、最大約2.0mm、左右方向にずれていました。また、面間寸法は4.3mm〜5.8mmで若干片締め傾向(下側の隙間の方が大きい)が認められました。
(2)フランジ分解後点検結果
フランジ面の傾きを(平行度)を確認したところ、水面計側フランジはほぼ平行でしたが、タンク側フランジは、上部フランジが約0.6°上向き、下部フランジは約1°下向きの状態でした。
上部フランジの水面計側シート面において、0°(上側)付近に、シート部を貫通し漏えい経路となった、幅約1.5mm、深さ約1.5mmの溝と、未貫通の溝が認められました。溝の表面観察の結果、貫通溝は蒸気によって削られたと見られるなめらかな様相がみられ、未貫通の溝には、腐食によると思われる酸化物が認められました。
(3)当該フランジの保守経歴の調査
当該フランジは、第21回定検時に水面計点検のため取り外され、パッキンを取替えていました(水面計点検頻度は3定検に1回)。当時の作業員に聞き取りした結果、タンク側フランジのずれが大きく、フランジを締付けるボルトが締めにくかったとの証言がありました。
(4)モックアップ試験 
当時の水面計取付け作業を模擬するため、当該タンクのフランジに、同寸法の水面計取り付け作業の再現試験を行いました。その結果、タンク側フランジのずれが大きいことに加え、干渉物が多いことなどから、作業性が悪く、パッキンの圧縮量は、上部フランジ部の0°付近については、不十分となることがわかりました。
 
2.推定原因
   湿分分離器ドレンタンクの水面計(剛構造)のフランジの取付け時、タンク側フランジ面が傾いていたため、パッキンの締付けが上部フランジ部の0°付近で不足していたこと、およびフランジシート面に微小な線状の傷または腐食が存在していたため、その傷または腐食部分に蒸気が進入し、腐食が進行し、運転中に蒸気漏れに至ったものと推定されました。
 
3.対 策
(1) 当該部については、タンク側フランジを上部、下部とも取替え、面ずれ、面開きを修正します。また、水面計側フランジは水面計と一体で取り替えます。フランジ締付けに当たっては、隙間管理(パッキン圧縮量管理)を確実に行います。
(2) 今後の水面計分解点検においては、フランジの傾きを確認し、必要によりフランジの取替えを行います。
(3) 今回の事象において、作業性の問題点が共有されなかったことを踏まえ、協力会社への聞き取り調査を行い、情報共有を強化することで、設備改善につなげていくこととします。


 美浜発電所1号機は、今後、当該フランジ等を取替えた後、今週中にも原子炉を起動し、発電を再開する予定です。

以  上

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