プレスリリース
2007
2007年11月22日
関西電力株式会社
大飯発電所2号機の定期検査状況について(2次系主給水配管曲がり部の減肉の原因と対策について)
大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力117万5千キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、第21回定期検査中のところ、2次系配管点検の一環として、主給水隔離弁※1から蒸気発生器までの主給水配管について超音波による肉厚測定を実施した結果、平成19年11月7日、4系統ある主給水配管のうち1系統のC-主給水隔離弁下流の配管曲がり部の肉厚が10.9mm(実測最小値)で、技術基準に定められた計算必要厚さ(15.7mm)を下回っていることを確認しました。
当該以外の3系統(A、B、D)の主給水隔離弁下流の配管曲がり部については、今回の定期検査で実施した肉厚測定の結果、計算必要厚さを上回っていることを確認しています。
なお、本事象による環境への放射能の影響はありません。
当該以外の3系統(A、B、D)の主給水隔離弁下流の配管曲がり部については、今回の定期検査で実施した肉厚測定の結果、計算必要厚さを上回っていることを確認しています。
なお、本事象による環境への放射能の影響はありません。
[平成19年11月7日 お知らせ済み]
1.調査結果 (1)減肉状況の調査 |
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○ | 超音波による肉厚測定で減肉状況を確認したところ、主給水隔離弁下流側の直管部と曲がり部との溶接部近傍で最も減肉していました。 |
○ | 減肉が認められた曲がり部の下流側を切断し、内面を目視点検した結果、割れ等の異常は認められませんでした。拡大観察の結果、減肉部で流れ加速型腐食(FAC)※2特有の鱗片状模様が認められました。また、直管部でもわずかに鱗片状模様が認められました。 |
○ | 配管内を流れる高温水の状態を解析した結果、主給水隔離弁で流れに乱れが生じ、乱れは曲がり部まで継続していました。 |
(2)過去の点検実績 | |
○ | 主給水隔離弁下流の配管曲がり部は、当社の2次系配管肉厚の管理指針(以下「管理指針」という)では減肉点検対象外(その他点検部位)でしたが、平成2年の第8回定期検査で当該部の肉厚測定を実施し、実測最小値は20.5mm、余寿命は27.2年と評価しました。 |
○ | 平成16年7月、大飯1号機の同一部位で計算必要厚さを下回る事象が発生したことから、管理指針を改定し、主給水隔離弁下流の配管曲がり部を減肉点検対象(主要点検部位)に変更しましたが、大飯2号機では過去に点検実績があったことから、当該部の肉厚測定を行いませんでした。 |
○ | 平成16年8月に発生した美浜3号機二次系配管破損事故を受けて、当社は管理指針を改定しました。主な改定内容は、主要点検部位は10年以内に3回の肉厚測定を実施すること(改定時期:平成16年12月)、測定時期が10年以上前の主要点検部位は至近の定期検査で点検すること(改定時期:平成19年3月)等です。 |
○ | これらの改定を受け、今回の定期検査で当該部の肉厚測定を行いました。 |
(3)運転パラメータ等の調査 | |
前回肉厚測定を行った第8回定期検査以降の運転期間中の主給水の流量、温度、圧力、pH、溶存酸素濃度、電気伝導率を確認したところ、有意な変化は認められませんでした。 |
2.推定原因 |
主給水隔離弁(玉型弁)下流側に生じる流れの乱れにより、当該部でFACによる減肉が発生、進展し、計算必要厚さを下回ったものと推定されました。 また、管理指針を改定するたびに当該部の点検時期を見直してきましたが、今回の当該部の点検では平成2年の点検時の余寿命で評価しており、結果的に計算必要厚さを下回る前に点検が実施されませんでした。 なお、最新の知見を反映した現在の管理指針では、同様の事象の発生は防止できると考えています。 |
3.対 策 | |||||
○ | 当該部を同寸法、同材料の新品に取り替えます。また、信頼性向上の観点から、主給水隔離弁(玉型弁)下流の曲がり部を耐食性に優れた低合金鋼に取り替えることを計画します。 | ||||
○ | 点検時期が10年以上前の主要点検部位については、管理指針に基づき今回の定期検査で全て点検し、当該部を除いて計算必要厚さを満足していることを確認しました。 | ||||
○ | 念のため、点検回数が3回に達していない主要点検部位については、以下のように点検を実施します。 | ||||
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以 上
(経済産業省によるINESの暫定評価) | |||||||||
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INES:国際原子力事象評価尺度 |
※1: | 主給水隔離弁 原子炉の過冷却を防止するために、主蒸気管破断事故時等に蒸気発生器への給水を早期に隔離する弁。 |
※2: | 流れ加速型腐食(FAC) 流れの影響で配管内面の腐食が加速される現象。配管曲がり部や弁の下流、オリフィス下流など流れが乱れる部分で発生しやすい。 |