プレスリリース

2005年2月17日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1. 運転状況について(平成17年2月16日現在)
発電所 電気出力(kW) 運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 停止中
H17.2.4 湿分分離加熱器加熱蒸気室ドレン抜き栓からの水の滴下に伴う停止。
H17.2.14~ 補修作業準備中。
「湿分分離加熱器ドレンタンク上部保温部からのわずかな蒸気漏れに伴う出力降下について」詳細は2-(1)のとおり。
2号機 50.0万 第22回 定期検査中(H17.1.9~3月下旬予定) 「格納容器内における溶接火花によるゴミ袋からの発煙について」詳細は3のとおり。
3号機 82.6万 事故停止中[第21回定期検査中]
H16.8.9 2次系配管破損事故により停止。(引き続き、H16.8.14~ 第21回定期検査)
H17.1.5~ 定期検査作業中。
 
2次系配管の点検状況について」 詳細は2-(2)のとおり。
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中 平成17年2月10日「協力会社社員の管理区域内での負傷」発生。詳細は3のとおり。
2号機 82.6万 第22回 定期検査中(H16.12.18~H17.3月中旬予定)
原子炉起動H17.2.15、(調整運転開始 H17.2.17)
「燃料装荷作業中における燃料装荷位置の誤りについて」詳細は3のとおり。
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中
「加圧器安全弁出口温度上昇に伴う原子炉手動停止について」詳細は2-(1)のとおり。 
2号機 117.5万 運転中 平成16年12月5日から、復水器細管(伝熱管)漏えいの疑いに伴う監視強化中です。復水ポンプ出口酸導電率等の指示値に有意な変化が認められた場合、予防保全として出力を低下させ、復水器細管の点検、補修を実施します。 (平成16年12月6日、17日、平成17年1月18日お知らせ済)
3号機 118.0万 運転中(H17.2.8本格運転再開)
4号機 118.0万 運転中  平成17年2月14日「A高圧注入ポンプ燃料取替用水ピット側入口電動弁」の地絡が発生。詳細は2-(2)のとおり。

2.保全品質情報について(平成17年1月分)

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象


(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 1月12日(運転中)
件  名 加圧器安全弁出口温度上昇に伴う原子炉手動停止について (添付図-1
事象概要
および
対 策 等

 運転中、1月9日から10日にかけて、C-加圧器安全弁の出口温度が、通常範囲(~約70℃程度)から上昇し、1月10日18時頃には通常範囲内に戻りました。 その後、監視強化を継続していましたが、1月12日昼ごろに当該出口温度が再度、通常範囲を超えて緩やかな上昇傾向にあったことから、当該安全弁の点検等を行うため、1月13日17時55分から出力降下を開始し、14日1時に発電を停止、同日2時09分に原子炉を停止しました。
  調査の結果、当該弁の各部品のはめ込み状態等に異常はありませんでしたが、シート面の一部に漏えい跡が確認されたことから、原因は、シート面に異物が付着したため微少な漏えいが発生し、当該弁の出口温度が上昇したものと推定されました。
  対策として、当該弁のシート面の手入れを行い、復旧することとしました。
  また、加圧器安全弁機能検査前には、異物防止対策を徹底することとしました。

(平成17年1月11日12日18日 お知らせ済)

 その後、当該弁の組立て後、漏えい確認、設定圧力確認を実施し、当該弁の健全性を確認した上で、1月21日に原子炉を起動し、翌22日に発電を再開しました。

発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 1月20日(運転中)
件  名 湿分分離加熱器ドレンタンク上部保温部からのわずかな蒸気漏れに伴う出力降下について (添付図-2) 
事象概要および対 策 等

 運転中、1月20日10時頃、当社運転員の巡回点検において、湿分分離加熱器ドレンタンク上部の保温接合部付近で、わずかな蒸気漏れを確認しました。
  このため、同日、13時30分から出力降下を開始し、20時には電気出力を約10%にして、当該タンクを隔離し、漏えいを停止した上で、保温材を取り外し、点検を実施したところ、計器用取付管台の閉止栓の溶接部で2箇所に約1mmφの微小な穴が認められました。
  原因調査の結果、当該タンク据付時において、現地の手持ち材料(棒状とリング状の鋼材)により製作された閉止栓を取り付けたことや、作業員の溶接施工時の体勢が適切でなかったため、当該タンク内面から溶接外表面近傍まで、それぞれの溶接欠陥がつながった状態となっていたと考えられます。
  その後、プラントの起動、停止による圧力変動により、溶接外表面の最も薄くなった部分で開口し、漏えいに至ったものと推定されました。
  対策として、当該閉止栓を標準の一体型構造のものに取り替えることとしました。
  なお、溶接施工にあたっては、より溶接性の高い溶接方法を用いるとともに、溶接の健全性を確認するため、磁粉探傷検査により溶接金属内の欠陥の有無を確認します。

※:磁粉探傷検査(MT)
   溶接部を磁化して、磁粉を溶接部の表面に散布し、傷、割れなどに吸着されてできる磁粉模様により傷を検出する方法。磁粉探傷検査は、表面だけでなく、表面近くであれば内面に存在する傷等も検出が可能である。

(平成17年1月20日21日25日 お知らせ済)

 閉止栓取り替え完了後、同閉止栓の健全性を確認した上で、1月26日出力上昇を開始し、翌27日に定格熱出力一定運転に復帰しました。


(2) (1)に至らない軽微な事象(平成17年1月分)
発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第21回定期検査中
件  名  2次系配管の点検状況について (添付図-3)
事象概要
および
対 策 等

  2次系配管破損事故の当該プラントであることを勘案し、現在、「原子力設備2次系配管肉厚の管理指針(PWR)」における全ての対象箇所の点検(肉厚測定)を実施中です。
  1月末までに、点検予定箇所(5,559箇所)のうち、2,379箇所(12月末までの798箇所を除く)の点検を実施しており、肉厚測定の結果、計算必要厚さを下回る部位が10箇所確認されました。
  その他の箇所については計算必要厚さを満足していることを確認しています。
  なお、計算必要厚さを下回っていることが確認された10箇所については、今定期検査中に取り替えることとします。

(平成17年2月14日お知らせ済)


(2) (1)に至らない軽微な事象(平成17年2月分)
発電所名  大飯発電所4号機 発 生 日 2月14日(運転中)
件  名  A高圧注入ポンプ燃料取替用水ピット側入口電動弁の地絡について (添付図-4)
事象概要
および
対 策 等

 運転中、2月14日、定期的に実施している安全注入系統弁開閉確認として、A高圧注入ポンプ燃料取替用水ピット側入口電動弁※1 (以下「当該電動弁」)の開閉操作を行っていたところ、10時46分に「非常用母線※2 (3-4A1、4A2、3-4B1、4B2)地絡」警報が発信するとともに、CRT※3 に「3-4A1母線地絡」が表示したことを運転員が確認しました。
  警報は発信したものの、非常用母線(3-4A1、4A2、3-4B1、4B2)の電圧は確保されており、プラントの運転等に支障はありませんでした。
  また、当該電動弁は正常に動作しており、高圧注入系の機能にも支障はありませんでした。
  再現性確認のため再度当該電動弁の開閉操作を行った結果、同様の「非常用母線地絡」警報発信、CRTには「3-4A1母線地絡」の表示を確認しました。また、これらの警報発信時には、非常用母線から受電している他の機器の操作は実施していないことから、当該電動弁の電気系統に不具合があるものと推定しました。
  当該電動弁の詳細点検を行うため、2月14日18時45分に当該電動弁を「開」状態で電源を開放(駆動電源を「切」)しました。これにより、保安規定に定める運転上の制限を満足しない状態となりました。
  その後、当該電動弁電動機(モーター)の絶縁抵抗測定等の点検を行った結果、電動機内にある電磁ブレーキ用コイルのリード線3本のうち1本の被覆が削れ、素線が露出していることが確認され、これにより地絡※4 に至ったものと推定されました。
  対策として、当該電動弁の電磁ブレーキを含む電動機を予備品に取り替え、電源を投入し、健全性を確認しました。これにより、2月15日4時30分に、保安規定に定める運転上の制限を満足する状態に復帰しました。なお、本事象による環境への影響はありません。

※1 高圧注入ポンプ燃料取替用水ピット側入口電動弁
  事故時に高圧注入ポンプおよび余熱除去ポンプの水源を燃料取替用水ピットから、再循環サンプへ切り替えるための電動弁。
※2 非常用母線
  予備変圧器、所内変圧器または、ディーゼル発電機から受電し、安全系機器等に電力を供給するための母線。
※3 CRT(カソード・レイ・チューブ)
  運転操作に必要な情報を集中的にブラウン管上に表示する装置。
※4 地絡
  絶縁物の不良等により電線と大地間との絶縁が低下し、電線から大地へ電流が流れる状態。

3.その他
発電所名  美浜発電所2号機 発 生 日 第22回定期検査中
件  名  格納容器内における溶接火花によるゴミ袋からの発煙について 
事象概要
および
対 策 等

 定期検査中、1月26日14時40分頃、原子炉格納容器内で配管支持構造物の溶接作業を行っていたところ、溶接の際に発生する火花が作業箇所の下(床面)に置いていたゴミ袋(ビニール製)に落下し、ゴミ袋から発煙しているのを当社の保修員と協力会社作業員が発見しました。直ちにこの作業員がゴミ袋を足で踏み、それ以上の進展はありませんでした。(火災報知器は発報しておりません)
  床面は2枚の防火シートで養生していましたが、落下した溶接の火花の一部が、床面防火シート間の隙間または、防火シートと格納容器壁との隙間から入ったことにより、シート下にあったゴミ袋の発煙に至ったものと推定されました。
  なお、負傷者は発生しておりません。

(平成17年1月26日 お知らせ済)

発電所名  高浜発電所2号機 発 生 日 第22回定期検査中
件  名  燃料装荷作業中における燃料装荷位置の誤りについて (添付図-5) 
事象概要
および
対 策 等

 定期検査中、1月30日から、燃料集合体を原子炉の炉心へ順次装荷する作業を行っていましたが、2月1日8時33分、114体目の燃料集合体を所定の位置(L-9)※1 に装荷した際、隣の空いているべき位置(L-8)に燃料集合体が装荷されていることを確認しました。このため作業を中断し、既に装荷した燃料集合体全数の位置を確認した結果、113体目の燃料集合体が、本来計画していた装荷位置(L-11)とは異なる位置(L-8)に装荷されていることを確認しました。なお、原子炉の安全上の問題はありません。
  当該(113体目)燃料集合体の装荷作業時の状況を調査した結果、クレーンを走行位置Lまで移動させた後、作業指示者は、クレーンの横行位置を11とし、8mm微調整※2 するとの指示を出したが、クレーン操作者が横行位置(11)と微調整量(8mm)の数字を混同し、横行位置8にクレーンを移動させていたことが判明しました。
  また、クレーン操作者と作業指示者は、クレーン移動後に位置確認のため炉心アドレスモニタ※3 を確認した際、微調整量(8mm)の確認に注意が集中し、装荷位置の再確認を行わなかったため、装荷位置の間違いに気づきませんでした。
  対策として、作業指示者、クレーン操作者に加え、クレーン操作に携わっていない作業員も、クレーン移動後の燃料集合体装荷位置確認を行うとともに、作業時に使用するチェックシートを、クレーン移動後の燃料集合体装荷位置を記入する様式に改善することで、確実な位置確認を行うこととしました。
  また、指差呼称、復命復唱等の基本ルールの再徹底を図りました。
  なお、今定期検査における装荷作業は、157体(全数)の燃料集合体について、正しい位置に装荷されていることを確認し終了しております。

※1 燃料集合体の装荷位置:
  クレーン走行方向(A~R)の位置と、クレーン横行位置(1~15)の組み合わせで、原子炉炉心での燃料集合体位置を示す。
※2 微調整:
  燃料集合体を炉心に装荷するためにクレーンを移動するにあたり、クレーンを停止させる位置を微調整することで、燃料集合体を炉内に吊り降ろす位置が、装荷位置の中心位置に着底するようにしている。
※3 炉心アドレスモニタ:
  クレーンが移動するレール近傍に取り付けてある位置表示目盛をTVモニタで映し、クレーンの位置を確認している。

(平成17年2月14日 お知らせ済)

発電所名  高浜発電所1号機 発 生 日 2月10日(運転中)
件  名  協力会社社員の管理区域内での負傷について
事象概要
および
対 策 等

 運転中、2月10日14時15分頃、原子炉補助建屋内(管理区域内)において室内の壁の塗装準備作業を実施していた協力会社社員が、塗装範囲の区画用養生テープを貼るため、脚立3段目まで上がり脚立を跨ぐ格好で踏板に足を置いて作業を行っていました。
  その後、養生テープを貼る位置を確認する際、バランスを崩し、右足が3段目の踏板から外れ、約0.8m下の床面に転倒し、右足首を負傷しました。
  このため、同日14時45分頃、放射性物質による汚染等がないことを確認した上で、管理区域から退出し、病院において診察を受けたところ、右足関節粉砕骨折および右腓骨骨折により、手術の必要があるとの診断を受けました。(診断の結果、約3ヶ月の休業・加療を要する見込み)

 現在、入院先において治療中です。

以 上

プレスリリース