2017年に施行されたガス小売全面自由化。そして、電力小売全面自由化や再生可能エネルギーの導入拡大などにより、LNG所要量が大きく変動する可能性が高まりつつある。これまで取り組んできたスポット契約、短期契約、中長期契約を組み合わせた最適なポートフォリオ構築や、価格指標・調達先の多様化に加え、需給変動の調整弁としてLNGトレーディングの重要性が増しているのは明らかだ。そこで、関西電力はガスを含めた本格競争時代に向け、安定的な資源である液化天然ガスの調達と販売の強化へと動き出す。
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世界における主要なLNGマーケットのうち、アジアを含める太平洋エリアでは近年、シンガポールが取り引きの中心拠点になっている。LNGの調達・販売を強化するべく、売主や買主、トレーダーなどが集まる場での情報戦に入り込まなければならない。その一歩目として、関西電力は長期的な関係を持つ英国BP社のグループ会社であるBPシンガポール社との間で、LNG購入に関する売買契約およびLNG事業における戦略的事業協力の関係構築に向けた協定を締結。LNGポートフォリオの充実化を図るほか、LNGトレーディングやLNG船の最適な運用などにおける幅広い協力関係を構築し、LNGビジネス拡大を行った。
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BPシンガポール社との契約締結の次に関西電力が動き出したのは、現地法人の設立だ。なぜなら、日々の情報戦にどれだけ入り込めるかで勝負が決まるからである。関西電力はBPシンガポールとの契約から約2年後、LNG取引が盛んなシンガポールに関西トレーディングシンガポール社を設立。現地で情報収集のためのネットワークを拡げ、直接やりとりをすることでニーズに合った契約を確保していくのが狙いだ。事業環境がめまぐるしく変わる中、LNG調達・販売にかかる柔軟性・機動性は競争力の重要な源泉となるため、関電トレーディングシンガポール社の使命は、非常に重要なものと位置付けられている。
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アジア太平洋エリアのLNG取引ハブの一つであるシンガポールには、世界中から電力会社・ガス会社をはじめとした買主や、資源メジャー、トレーダー、NOC(国営石油会社)などが集まり、インナーサークル※を形成している。関電トレーディングシンガポール社に派遣された関西電力社員がインナーサークルに飛び込み、顔の見える付き合いを通じてネットワークを拡大したことで、これまで以上のスピード・精度で情報を獲得することが可能になった。LNGは環境特性や経済合理性に優れたエネルギー。そのトレーディング強化は、未来の環境問題・環境保全に少なからず関連する力。関西電力はビジネス的な側面以外にも、地球の未来を見据えたLNGトレーディングに今後も切り込んでいく。
※マーケットで情報・影響力を持つ少数のプレイヤー達のバーチャルな集合体のこと
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LNG調達の更なる競争力と柔軟性の確保に向け、本店(日本)においてLNGの短期取引等の契約手続きを担う燃料トレーディンググループが関電トレーディングシンガポール社と密に連携しながら、国内外のエネルギー事業者との協力関係の更なる深化や、欧州等の新たなLNG取引ハブへの拠点設立検討も含め、LNG事業のさらなる強化を推進中だ。関西電力燃料部門の事業フィールドは、世界中へ拡大していく。