関西電力の火力発電所で使用されるLNGの所要量は、お客さまの電気の使用量や天候の変化、再生可能エネルギーの導入拡大など様々な要因により目まぐるしく変化する。それらに対応するためには、契約形態や調達先の多様化に加え、機動的にLNGを調達・販売するLNGトレーディングの重要性が増している。また、石炭や石油に比べて二酸化炭素の排出量が少ないLNGは、脱炭素化の潮流において世界的に需要が拡大すると見込まれており、LNG市場にはビジネスチャンスが潜んでいる。そこで、関西電力は世界を舞台にしてLNGトレーディングに挑んでいる。
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世界における主要なLNGマーケットのうち、アジアを含める太平洋エリアでは、近年、シンガポールが取引の中心拠点になっている。機動的にLNGの調達・販売を行うためには、世界中の電力会社・ガス会社をはじめ、資源メジャー、トレーダー、NOC(国営石油会社)などが集まる場での情報戦に入り込まなければならない。そこで、シンガポールで情報収集や取引先との交渉を行うエージェントとして、2017年に設立されたのが関電トレーディングシンガポール社だ。現地でのネットワークを拡げ、直接交渉をすることで、ニーズに合った取引を実施することが狙いだ。事業環境がめまぐるしく変わる中、LNG調達・販売にかかる柔軟性・機動性は競争力の重要な源泉となるため、関電トレーディングシンガポール社の使命は、非常に重要なものと位置付けられている。
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2024年には、関電トレーディングシンガポール社は体制を拡大し、エージェントからLNG取引を行う主体に生まれ変わった。顧客・人材・情報のアクセス面で優位なシンガポールをトレーディング活動の本拠地とすることで、取引スキルや商流を拡大し、これまで以上に機動的な需給調整を実現するとともに、需給調整で培ったノウハウや情報、LNGアセットを活用して、トレーディングでの収益拡大を図ることが狙いだ。
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関電トレーディングシンガポール社のフィールドは、シンガポールだけではない。トレーディング体制のシンガポール本拠地化からまもなく、欧州におけるLNG取引の中心地ロンドンに支社を設置した。この背景には、ロシアのウクライナ侵攻などによる燃料調達をめぐる世界的な環境変化がある。エネルギー危機下にある欧州ではスポット取引の比率が高く、LNGの価格変動が大きくなっているため、関西電力グループが保有する長期契約や輸送船などのLNGサプライチェーンの余力をうまく活用することで、収益を生み出せる可能性を見出したのである。欧州においても、市場構造を分析したうえで各国のプレーヤーのニーズを把握しながら、現地で顔の見えるお付き合いで信頼関係を築き、ネットワーク拡大と情報収集に取り組んでいる。
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関電トレーディングシンガポール社は、LNGトレーディングで培ったネットワークを生かして、排出権・カーボンクレジット等の脱炭素事業に関する情報収集にも取り組んでいる。関電トレーディングシンガポール社は、事業のさらなる拡大を目指して、今後も世界中のプレーヤーとつながりながら、新たなビジネスチャンス獲得に向けて挑戦していく。