私は学生のころから「世界一の電気技術者になる」という夢を描いていました。世界でもトップレベルの電気の品質を誇る関西電力に入社を決めたのはそうした夢の実現に向けての選択でもありました。入社後は電気課で変電設備の設計、施工管理にも携わり、設備と向き合う中で、電力の安全・安定供給に貢献してきました。現場での業務を経験することは、海外事業を担当していて非常に役に立っています。というのも、海外の方から関西電力送配電の技術力は非常に高いと評価をされているのですが、より具体的にどのような設備でどのようなことを行っているのか話ができるのは私の強みとなっているからです。
そして現在は、関西電力送配電株式会社で海外のIPP事業、海外コンサル事業、国際協力等といった海外事業統括業務を行っています。
東南アジアでは、独自で電力開発計画を立てるノウハウがない国があります。関西電力ではそういった国に対して、将来の電力開発計画を一緒になって作っていくといったような技術支援事業を行っています。私が担当しているミャンマーでは、2030年に向けた電力開発計画に関する国策を、先方の技術者の方と一緒になって創り、また、現地の技術者が自ら立てた計画を運用、更新していくための技術移転も実施しています。
一から設備を構築していくようなプロジェクトでは、現地作業員によるヒューマンエラー等の課題も多く、現場調査では、道なき道を進んでいくこともあります。少数民族の住む地域などではまだまだ民族間の紛争などを行っている危険なエリアもあるため、そのような地域を避けたり、護衛等をつけるなど、安全には細心の注意を払い、現場調査を行っています。日本ではなかなか考えにくい状況です。
しかし、そうして関係しているチームの絆がより深まるという側面もあります。トラブルが起こるたびに関係者で協議を行い、ひとつひとつそのトラブルを解決しながらプロジェクトを前に進めていくことで、日本では体験できないような結束感を感じます。また、多くの人たちと仕事をすることで、いろいろな考え方に触れることができ、私自身の成長につながっていると実感しています。
海外での取組みは日本では考えられないようなことも多く、従来のやり方では対応しきれないという意味で、挑戦することがたくさんあります。日本では、電力の供給信頼度に対する要求レベルが高く、決められたルールの中で、送電線を引くのが基本となっておりますが、ミャンマーではそのようなルールがほとんどなく、我々が現地の技術者と協議をしながら相手のニーズに合わせて、送電線を引くこととなります。これはどちらが正解ということはなく、その国の事情に対応しながら進めなくてはいけないので、柔軟性が求められます。
海外事業は今後の関西電力の大きな収益の柱となっていくと考えているので、私の今の取組みがそのロールモデルになっていくと信じています。