一意専心~関西電力の安全DNA~
一人ひとりの「安全ヘの想い」

自ら“マモルンジャー”となって高める、一人ひとりの安全意識

小浜営業所 小浜ネットワーク技術センター所長 根木

1976年関西電力入社。京都支店人材活性課京都実習所指導長や関電学園指導長などを経て、2006年京都ネットワークエンジニアリングセンター安全主任に就任。2007年より安全意識向上活動である「マモルンジャー活動」を展開し、2013年緑十字賞を受賞する。
安全文化。それは関西電力において、先輩から後輩へと、脈々と受け継がれてきた精神であり風土です。これまでも、そしてこれからも形成され続ける安全文化。この安全文化を守り続ける関電マンの「安全への想い」に迫ります。
小浜ネットワーク技術センターの所長である根木は、関西電力に入社以降、一貫してネットワーク技術部門の仕事に従事してきました。
ネットワーク技術部門では、変電所からお客さまへ毎日電気を安定してお届けするための設備保守・運用・形成業務などを行っています。
たとえば、台風や雷といった自然災害などで電柱や変圧器などの設備が損傷すれば緊急修理をしたり、お客さまから新たな電気の申し込みがあれば電柱を建て、電柱に取り付けられている変圧器※の吊り替えを行って電気を送れるようにするなど、関西電力のなかでも特にお客さまに近い技術部門といえます。
※変圧器:電圧を6600Vから100Vないし200Vに変換する機器

「お客さまへ常に安定した電気をお届けすること。
これは私たちネットワーク技術部門の使命でもあり、やりがいでもあります。一方で台風や雷、地震など条件の悪いときほど電柱に昇って修理をしたり、6600Vの電圧が流れる電線を扱ったりしますから、常にリスクを背負いながらの作業になります」

インタビューに応じる根木
一般的に、発電所や変電所などでのメンテナンスでは、その電圧が非常に高いことから、必ず電気を停めた状態で作業が行われます。一方、電柱の建設や補修・保全では電気を停めることはできないため、電気を流す迂回路をつくって作業を行います。電気が停まっている箇所と、電気が流れている箇所の2つが存在する状態で作業を行うことになり、小さなミスが命にかかわる緊張感のある環境下で作業を行わなければならないのです。

「人間は失敗する動物ですが、だからといって失敗は許されません。ですから後輩たちには非常に厳しく指導しますし、たとえば車に乗ったときに習慣でシートベルトをするように、安全を守る行動も無意識のうちにできるようになるまで粘り強く指導しつづけます」

協力会社の皆さんへ安全技術指導を行う根木 協力会社の皆さんへ安全技術指導を行う根木

安全への思いがつまった「マモルンジャー活動」

根木には安全にまつわる苦い経験があります。かつて、根木の近しい後輩が高圧電線の作業中に感電事故を起こしたのです。命に関わる事故ではありませんでしたが「今思い出しても涙がでるほどつらい経験」だったと言います。「あのような思いを二度と誰にもして欲しくない」と考えていた時期、根木は京都ネットワークエンジニアリングセンターの安全主任に着任しました。

「当時私が務めていた職場では社員災害や公衆災害が重なっていて、所員全員の安全への意識が高まっていました。そこに私の“二度と事故を繰り返したくない”という思いも重なって、始めたのが“マモルンジャー活動”なんです」

浜営業所 安全衛生大会における公演 小浜営業所 安全衛生大会における公演
各事業所の役職者が、直属の部下の作業や仕事のやり方などを見守り、指導することを縦串的な活動だとすれば、第三者が支店のすべての事業所を横串的に指導するのが根木が始めた「マモルンジャー活動」です。
例えば2つの事業所に同じような業務がある場合、第三者が両事業所の業務を一括して見守りながら、安全に関する良い活動があればそれを広め、弱みがあれば是正していくというもの。この取り組みのなかで、根木自身が“マモルンジャー”となって、各事業所を定期的に訪問し、役職者と膝をつきあわせてコミュニケーションをとりながら、安全活動の全体的な底上げをはかっていきました。

「私の活動はあくまでも安全意識の動機づけ、起爆剤だと思っています。 よそから『ああやれ、こうしろ』と言われても、その本人の“気付き”がなければ、何も変わりません。私が直接職場を訪れ、安全に対する熱い思いを聞いてもらうことで、現場の所員たちそれぞれが安全に対する意識を芽生えさせられれば、と思っていました」

この活動は雑誌などにも取り上げられ、社内外・業種を問わず安全の講演会などにも招かれるようになりました。そして2013年、これらの活動が現場の安全意識の向上に貢献したと評価され、根木は関西電力では初めての緑十字賞※を受賞したのです。
※緑十字賞:長年産業安全の推進に向けた業務に従事し、その功績が顕著である個人やグループに贈られる賞(主催/中央労働災害防止協会)

「この賞をいただいて、さらに安全に対する思いを強くしました。
『安全最優先』という言葉がありますが、これは何かをしようとするとき、次の場面に危険が潜んでいるのかを予測して、危険な箇所を除去するか回避するか、もしくは撤退するかを考えることです。しかし人間は長時間集中力が持続するわけではなく、どこかで不安全な状態に陥ってしまうのです。私は『この世に完全に安全な状態など存在しない』ということを肝に銘じながら、安全への思いを言い続けなければならないのだと思っています」

根木が受賞した緑十字賞

「あと少し、もうちょっと」の言葉を胸に

根木の「私の安全行動宣言」には「言い続けます。あと少し、もうちょっと。具体的な確認会話」と記されています。

「基本動作についてはしつこいほど、繰り返し伝え、問いただしています。分かりきっていることでも問いただし、確認していく。これが安全文化の基本ではないかと思います。ヒューマンエラーをゼロにするのは難しいですが、少なくすることは可能です」

「私たちの会話にはあいまいな言葉が多いのです。
日常会話の中では『言わなくても分かるでしょう?』ということは省略されがちですが、でもこれこそ間違いの序曲。ハインリッヒの法則※のように、些細なミスがいずれは大きな災害を招くかもしれません。
あと少し、もうちょっと“伝え”られたり、あと少し、もうちょっと“考えれば”、防げることは世の中にはたくさんあります。今後もこうした安全への活動を続け、より多くの人にこの思いを反映してもらいたいと思っています」
※ハインリッヒの法則:1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故があり、その背後には300件ものヒヤリ・ハットなミスが起きているという労働災害の経験則
根木のコンダクトカード

根木のコンダクトカード

関西電力の全従業員は常に「コンダクトカード」という安全行動宣言とCSR行動宣言を記したカードを持ち歩いています。これは各個人が年に一度安全に対する目標をたてるもので、根木は「 言い続けます。アト少し もうチョッと 具体的な確認会話」という目標を立てています。

一意専心 Contents List

関西電力の安全の原点 

一人ひとりの「安全への想い」 

安全の取組み 

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