考~でんきのもしも~ みなさまと共に考えるエネルギーの未来

もしも、地球の気温が上がり続けたら2013.07.26(2023.02更新)

現在の地球は、過去1300年の間で最も暖かくなっていることをご存知でしょうか?
気象庁によると、2019年の世界の年平均気温は1891年の統計開始以降、2番目に高い値となりました。
世界の年平均気温は、100年あたり約0.73℃の割合で上昇しており、特に1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっています。

もしも、このまま地球の気温が上がり続けたら?
私たちの生活はどう変わるのでしょうか。

地球温暖化によって海面の上昇、降水パターンの大きな変化による乾燥化の進行、台風・ハリケーンなどの熱帯性低気圧による洪水や高潮などの被害が心配されます。
また、熱中症の他、マラリアやデング熱などの感染症に感染するリスクも増加する可能性があると言われています。

人間に多大な影響があると予測されている地球温暖化。
この一因を作ったのも人間であることは、ほぼ間違いないと言われています。

地球温暖化は世界全体で取り組む課題であり、私たちの生活にも直結します。
そこで、地球温暖化と電気について考えてみましょう。

出典:気象庁HP

地球温暖化が起こるワケ

地球温暖化が起こるその一因としては、人間活動による温室効果ガスの増加が考えられています。
温室効果ガスとは二酸化炭素(CO2)、メタンやフロンなどのこと。
太陽光によって地球が温められると、温められた地球からは赤外線という熱を宇宙に向かって放出します。このとき温室効果ガスが大気中にあると、この赤外線の一部を吸収して再び地球に返します。これによって地上の温度は高くなります。これを温室効果といいます。温室効果ガスが大気中に適度にあった工業化前は、地球は適度に温められ、世界の平均気温は14 度(推定)に保たれていました。
しかし温室効果ガスが増えてしまうと、地球から宇宙に向かって赤外線を放出する際に、温室効果ガスが赤外線をより多く吸収し、地球により多くの熱を返します。その結果、地球がさらに温められてしまうのです。

地球温暖化の仕組み

電力会社の事業活動とCO2の排出

CO2排出係数などの推移

「地球温暖化対策の推進に関する法律」上の「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」に基づき計算しています。また、2011年度以降の調整後排出係数は、CO2クレジットの反映による控除分のほかに、太陽光余剰買取制度・再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度のもとでの環境価値の調整も含まれます。

電力会社の事業活動からのCO2排出量は、そのほとんどが、電力の安定供給・品質維持等に不可欠な火力発電で石炭・石油・LNGといった化石燃料を使用することによります。

電気は、経済活動や私たちの生活に欠かすことができないため、安定供給、経済性、環境性にバランスよく配慮する必要があります。電力会社は、このバランスをとる観点から、原子力発電を重要な電源の一つとして活用してきました。

震災以降、原子力発電所が長期停止し、火力発電所での燃料消費量が増加したことにより、CO2排出量は大幅に増加しましたが、原子力発電所が再稼動し、原子力発電の利用率が増加したことや、省エネによる電力消費量の減少により、現在はCO2排出量は減少しています。

地球温暖化防止に向けた、関西電力の取組み

関西電力は、「電気事業低炭素社会協議会」に加入しており、業界全体として2030年度に排出係数0.37kg-CO2/kWh程度(使用端)をめざすこととしています。

当社は引き続き、CO2排出の抑制に向け、安全を最優先とした原子力発電の活用や火力発電所の熱効率維持・向上、再生可能エネルギーの開発などに取り組むとともに、長期的な観点も踏まえ、社会全体の電化率の向上も推進することにより、低炭素社会の実現に貢献していきます。

火力発電の熱効率向上

火力発電所については、設備や運用に関する対策を継続的に行い、熱効率の維持・向上を図ることによって、化石燃料の使用量を削減し、CO2排出量の抑制に努めています。天然ガスを燃料とする、関西電力で最大級の火力発電所「姫路第二発電所」は高効率な火力発電方式(コンバインドサイクル方式)への設備更新工事を行いました。熱効率が約42%から世界最高水準の約60%に向上し、CO2排出量の低減に大きく貢献しています。

再生可能エネルギーの開発・普及

再生可能エネルギーとは、水力や太陽光、風力などのエネルギーのこと。
関西電力グループは一体となって、既設水力発電所の出力向上や太陽光・風力の発電所建設など、2030年までに50万kW程度の再生可能エネルギーの導入を目指して取り組んでいます。
今後も、洋上風力発電や地熱発電など多様な電源の開発や管外での開発にも積極的に取り組んでいきます。

太陽光発電の開発

京都府精華町で(株)関電エネルギーソリューション(Kenes)の「けいはんな第二太陽光発電所」(出力1,000kW)が2018年9月に運転を開始しました。当社グループの太陽光発電所は計11ヵ所、CO2排出削減量は計2万7,000トン/年になります。

水力発電の開発

2015年11月、富山県黒部市宇奈月町の「出し平発電所」(最大出力520kW)が、当社152ヵ所目の水力発電所として運転を開始しました。同発電所は、当社所有の「出し平ダム」が下流の景観保全など河川環境を維持するために放流する水を発電に利用します。

風力発電の開発

愛知県田原市では、Kenesの「田原4区風力発電所」(出力6,000kW(2,000kW×3基))が2014年5月から運転を続けています。当社グループの風力発電所は「淡路風力発電所」(出力1万2,000kW)と合わせて計2ヵ所、CO2排出削減量は計約1万9,000トン/年になります。

安全確保を第一とした原子力発電の活用

原子力発電は発電時にCO2を排出しません。太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーも発電時にCO2を排出しませんが、エネルギー密度が低く、天候次第で出力が変動する等のことから、安定供給と経済性の面で課題があります。

原子力発電は安定的にCO2ゼロの電気を大量に供給できることから、地球温暖化防止に大きく貢献する電源として、引き続き、重要です。福島第一原子力発電所から得られた反省と新たな知見を充分に踏まえ、あらゆる安全対策を行い、世界最高水準の安全を確保しつつ、安全・安定運転に万全を期していきます。

各種電源別(1kWh当たり)のCO2排出量

出典:原子力・エネルギー図面集2017