考~でんきのもしも~ みなさまと共に考えるエネルギーの未来

もしも、予測できない停電が起こってしまうとしたら

子どもの頃、突然の停電を経験したことはあるでしょうか。
雷や大雨で、突然、真っ暗になってしまう部屋。
「ああ、またか」と当たり前のように、ろうそくや懐中電灯を探す大人たち。
暗闇に少し不安を感じながらも、いつもとは違う状況に少しワクワクしてしまう気持ち…。

こんな停電にも、最近あまり遭遇していないな、と思う方も多いのではないでしょうか?
実際、20代半ばより若い世代では、“停電”という状況に遭遇したことのない人も多いようです。

しかし、もしも今、日常的に予測不能の停電が起こったら?
アナログな時代では、停電が起きても普段どおりの生活が送れていたかもしれません。
しかし、デジタル社会の現代ではコンピュータはまったく動かなくなるかもしれない。
大切なデータも消えてしまうかもしれない。
電話もできなくなるかもしれない。
すべてのIT機器がうまく使えなくなるかもしれない・・・。

そんな不安を抱えずに、安心して仕事をしたり勉強したりできる現代。
停電があまり起こらなくなった、その背景にはどんな理由があるのでしょうか。

日本の電気の品質は世界トップレベル

近年、日本での事故停電時間は非常に少なくなりました。昭和60年前後から1軒あたりの年間停電回数は1回を切るようになり、関西電力管内においては、平成27年度はわずか0.08回という少なさです。これほど停電なく安定した電気の供給ができている国は他になく、世界的に見ても日本の電気の品質は優秀といえます。
これは火力発電、原子力発電、水力発電をうまく組み合わせているために安定した供給ができること、送電線のルートを増やしたこと、事故が発生してもその影響を最小限にとどめる保護制御システムがあることなど、さまざまな取組みの結果といえます。

出典:・「海外電気事業統計 2015年版」他
・関西電力 平成27年度実績
・日本平均 平成26年度実績
・米国(大嵐を含む) 平成26年実績
・イギリス、フランス(荒天時を含む):平成25年実績

停電をおこさないために-電気の山と谷

最大電力発生日における電気の使われ方の推移

事故や雷などの災害によって設備が故障し停電が起こる場合もありますが、電気の需要と供給のバランスが崩れることによっても停電は発生してしまいます。需要が供給力を上回った場合、需給バランスが崩れ、周波数が低下します。それがある程度限界を超えると、広範囲にわたって停電が発生する恐れがあるのです。
つまり電気は需要と供給のバランスが非常に大切になりますが、電気の需要は年間でも、そして1日の中でも大きな差「山と谷」があります。
年間でいえば、夏のエアコン利用による電力消費がもっとも多く、次いで冬の暖房による電力消費もあり、夏と春・秋では電力需要の差は1.5倍。
1日でいえば、昼間14~15時頃が最も多く、深夜から早朝にかけてが最も少なくなっており、その差は約2倍あります。
そのため電力会社は、電気がどのくらい消費されるかを常に的確に予測し、需給バランスを保っています。

発電方式の特徴を生かして

1日の中、そして年間でも大きな差がある電力需要にこたえるために、電力会社では火力、原子力、水力などそれぞれの発電方法の特徴を生かして、バランス良く供給しています。

発電(運転)コストが低廉で、昼夜を問わず継続的に稼動できるものをベースロード電源と呼びます。
ベースロード電源には主に原子力や石炭、地熱、一般水力が用いられます。
一方、ピーク電源は発電(運転)コストが高いが、電力需要に応じた出力変動が容易にできる、石油火力や揚水式水力発電等が用いられます。
また、発電(運転)コストがベースロード電源に次いで安く、電力需要に応じた出力変動ができるものをミドル電源とよび、主にLNG火力等が用いられます。
これらのベースロード電源、ミドル電源、ピーク電源を組み合わせながら、時間帯や季節に応じて発電量を調整しています。

電力需要に合わせた電源の組み合わせ(イメージ)
エネルギー基本計画における各電源の位置づけ(エネルギー基本計画2014年4月策定)
電源 位置づけ
原子力発電
  • 安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安全性に寄与する重要なベースロード電源
  • 原子力への依存度は可能な限り低減させる方針とし、エネルギー制約を踏まえて今後確保していく規模を見極める
再生可能
エネルギー
  • 有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源。地熱・一般水力は、ベースロード電源
  • 3年程度、導入を最大加速。これまでの水準をさらに上回る導入をめざす
石炭
  • 安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源の燃料として再評価
  • 高効率石油火力発電の有効活用により環境負荷を低減しつつ活用
天然ガス
  • ミドル電源の中心的役割を担う、今後役割を拡大していく重要なエネルギー源
石油
  • ピーク電源として一定の機能を担う、今後とも活用していく重要なエネルギー源
LPガス
  • ミドル電源として活用可能な、緊急時にも貢献できる分散型のクリーンなガス体のエネルギー源

震災以降,一気に高まった火力発電への依存度

これまで電力会社のほとんどは火力、原子力、水力など複数の電源をミックスすることにより、電力の安定供給を行ってきましたが、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以降、この電源構成は大きく変化しました。しかし需給がひっ迫することによる大規模な停電は発生しておらず、その理由の一つに火力発電所の再稼動があると考えられます。
関西電力でも昭和45年に運転開始し、長期計画停止中だった海南発電所2号機を10年ぶりに再稼動するなど、電力需要に応えました。安全に再稼動するために限られた時間で全力で復旧工事を行った結果、関西電力での平成24年度の火力発電所の運転日数は、震災前に比べて5割も増加しました。
一方で、供給力確保のために定期点検を延期するなどして、火力発電所を酷使する状況が続き、トラブルが急増したという現状もあります。

また、東日本大震災前の平成22年度実績とH26年度実績と比べると、火力発電比率は45%から85%に増加、火力燃料費は8,434億円増加しました。

どんな時も安定して電気を供給するには

電気を安定して供給するためには「予備力」も必要です。
天気や気温が急変することによって需要が増えたり、社会的事件や設備の想定外の事故によって供給力が落ちても、安定して電気を供給できるように、常に予備力も確保しなければならないのです。
予想される最大電力に加え、予備力をもって発電するために必要な、火力、原子力、水力発電。世界最高レベルの電気の品質が維持できているのは、これらの特徴をうまく組み合わせているからだといえるでしょう。