考~でんきのもしも~ みなさまと共に考えるエネルギーの未来

もしも、エネルギー資源を輸入できなくなったら

今日、あなたが食べたもので、日本産の食材はどのくらいあったでしょうか?
もし、天ぷらそばを食べたとしたら、その食料自給率(カロリーベース)は24%。天ぷらそばは日本食ですが、実際は中国やベトナムなど、多くの材料を輸入しています。

現在、日本の食糧自給率はわずか39%。約6割を輸入に頼らざるを得ない状況です。もし輸入がストップしてしまえば、「好きなものを好きなだけ食べられる」という現在の食生活はできなくなってしまうでしょう。
そしてこれは電気も同じです。
電気は日本でつくられていますが、その燃料となる石油や石炭、天然ガス、ウランはその93%を輸入に頼っており、エネルギー自給率はわずか7%。
見方を変えれば“電気も輸入品”といえるかもしれません。

もしもエネルギー資源を輸入できなくなったら、
日本は、確実に様変わりするでしょう。
エネルギー資源を輸入に頼る日本は今後、どんなエネルギー政策をとるべきなのでしょうか。
世界各国のエネルギー事情を参考にしながら、考えていきたいと思います。

出典:農林水産省/日本の食料自給率(平成27年度データ)

世界のエネルギー事情

人口増加にともなう世界の電力需要予測

世界の電力需要は、2014年で20.56兆kWh、2040年には34.25兆kWhと、約1.67倍に増加すると予想されています。

なかでも、中国やインドは経済成長にともなう電力需要が急増すると予想されており、2040年の電力需要は、中国は約83%、インドは約255%増加することが見込まれています。

今後も世界的にみると、莫大な電力需要があるということになりますが、石油や石炭などの一次エネルギー資源には限りがあり、これらを確保するため、世界各国による資源獲得競争は今後さらに進んでいくとみられています。
20年後、日本は需要を満たすだけのエネルギー資源を確保できているのでしょうか。

出典:World Energy Outlook2016

エネルギー資源を持たないフランス、イタリア

では世界の国々はどのようなエネルギー政策をとっているのでしょうか?
特に日本と同じくエネルギー資源が少なく、その多くを輸入に頼っている国を見てみましょう。

原子力大国フランスの場合

石炭・石油などの一次エネルギー自給率が57%であるフランスは、発電電力量の78%を原子力に頼る原子力大国。原子力発電設備はアメリカの108基※1、中国の82基※2に次ぐ59基を備えています。原子力の発電コストの低さは電気料金にも反映され、ヨーロッパの中では電気料金が最も低い国の1つだとされています。
現在は「減原子力」として、2025年までに原子力の割合を発電量の50%にする政策を打ち出し、再エネ比率を2030年に40%にすべく、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの研究開発にも注力しています。

※1 アメリカ:108基のうち9基は建設・計画中
※2 中国:82基のうち47基は建設・計画中

フランスの発電電力量の電源構成比

出典:エネルギー・経済統計要覧2017(エネルギー自給率)
IEA「World Energy Balances 2016」を基に作成(電源構成比)
日本原子力産業協会「世界の原子力発電開発の動向2017」 (原子力発電設備)

でんきの輸入国イタリアの場合

イタリアの一次エネルギー自給率は25%。1987年のチェルノブイリ事故を受けて、原子力発電所が閉鎖されて以降、原子力はゼロの状態で、火力が56%、水力が21%、その他23%という電力構成比になっています。火力の燃料は輸入に頼っているため、電気料金はフランスの約2倍近くと高く、さらにフランスやスイスなどの国から電気を輸入しています。
再生可能エネルギーも支援し、2012年には太陽光発電は電力量の6%を占めるようになりました。

イタリアの発電電力量の電源構成比

出典: エネルギー・経済統計要覧2017(エネルギー自給率)
IEA「World Energy Balances 2016」を基に作成(電源構成比)
太陽光発電割合:GRTN/Terna,"Dati Statistici"
日本原子力産業協会「世界の原子力発電開発の動向2017」 (原子力発電設備)

脱原子力を選んだドイツ

原子力を主にして安定した電気料金を維持するフランス、原子力はゼロで他国から電気を輸入するイタリア。そして今まさに原子力撤廃に向けて舵をきった国があります。「脱原子力・再生可能エネルギー拡大」を打ち出したドイツです。
一次エネルギー自給率は39%、豊富な石炭資源で火力発電が約6割を占めます。オイルショック以後、原子力発電が注目され2010年には電力量の22.6%を占めていましたが、福島第一原子力発電所の事故を受けて「脱原子力」を選択。2022 年までにすべての原子力発電所が閉鎖する予定で、2012年時点での原子力の割合は16%となりました。
原子力発電に代わるものとして再生可能エネルギーを積極的に開発していますが、現在大きな問題となっているのは、電気料金の高騰です。ドイツの電気料金はここ10年で約2倍に跳ね上がっており、再エネ普及のための負担金の上昇がその要因となっています。

ドイツにおける家庭向け電気料金の推移

出典:エネルギー・経済統計要覧2017(エネルギー自給率)
IEA「World Energy Balances 2016」を基に作成(電源構成比)
日本原子力産業協会「世界の原子力発電開発の動向2017」 (原子力発電設備)

日本のエネルギーのあした

資源の乏しい日本国にとっても、水力発電や太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーが今後のエネルギー政策の大きなカギになることは間違いありません。
では、これまで原子力発電によって供給してきた電力量を、再生可能エネルギーでまかなうことはできるのでしょうか。
日本では1997年に新エネルギー法※が施行されて以降、再生可能エネルギーによる発電を積極的に導入していますが、まだまだ多くの課題を抱えているのが現状です。
たとえば1万kW級の太陽光発電所である堺太陽光発電所は甲子園約5.5個分の面積を使っています。
自然条件にも左右されるうえ、太陽光発電は夜間の発電はできず、風力発電は風車が回転する際にでる騒音や低周波などが問題視されています。

日本のエネルギー政策はこうした現状をふまえて、現実的な議論をする必要があるでしょう。
重要なことは安全を前提に、エネルギーを安定して確保でき、経済的な成長、環境保全も成り立つ「エネルギーのベストミックス」です。火力、水力、原子力、太陽光や風力をバランスよく組み合わせてこそ、電力の安定供給が行えるのです。

新エネルギー法:正式名称「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」