プレスリリース

2005年10月25日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成17年10月24日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 第21回 定期検査中(H17.4.25~調整中)
原子炉起動H17.8.23、調整運転開始H17.8.25
H17.9.17~9.29  50%出力にて運転
(B-湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管からの蒸気漏れに伴う出力降下)
H17.9.29~ 停止中
(湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管の補修、加圧器安全弁出口温度上昇、およびA-1次冷却材ポンプシール水漏えいによるによる点検)
・「B-湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管からの蒸気漏れに伴う出力降下について」詳細は2-(1)のとおり。
・「加圧器安全弁出口温度上昇に伴う点検の実施について」詳細は2-(1)のとおり。
・「A-1次冷却材ポンプシール水漏えいに伴う原子炉手動停止について」詳細は2-(1)のとおり。
2号機 50.0万 運転中  
3号機 82.6万 事故停止中[第21回定期検査中]
H16.8.9 2次系配管破損事故により停止。
(引き続き、H16.8.14~ 第21回定期検査)
H17.1.5~ 定期検査作業中。
「補助蒸気配管サポートの損傷について」詳細は2-(1)のとおり。
高 浜
発電所
1号機 82.6万 第23回 定期検査中(H17.8.14~10月25日予定)
原子炉起動H17.9.28、調整運転開始H17.9.29、
本格運転再開H17.10.25予定 
「2次系配管の点検結果について」詳細は2-(2)のとおり。
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 運転中  
大 飯
発電所
1号機 117.5万 第20回 定期検査中(H17.9.20~H18.1月上旬予定)
【新 規(調査結果)】「余熱除去ポンプシール水クーラ空気抜き作業中における漏えいについて」詳細は2-(2)のとおり。
【新 規】「誤信号による安全系機器等の一部動作について」詳細は3のとおり。
【新 規】「循環水管点検準備に伴う運転員の負傷について」詳細は4のとおり。
2号機 117.5万 運転中  
3号機 118.0万 運転中  
4号機 118.0万 運転中   


2.保全品質情報について
  

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象


(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第21回定期検査中(9月17日)
件  名 B-湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管からの蒸気漏れに伴う出力降下について  (添付図-1参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査の調整運転中(電気出力約100%)の9月17日に、当社運転員が、巡回点検において、タービン建屋2階にあるB-湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管に取り付けられている温度計の管台溶接部から、わずかな蒸気漏れを確認しました。
このため、同日、電気出力を約50%として、当該湿分分離加熱器への加熱蒸気系統を隔離して、点検・補修を行いました。
 本事象における周辺環境への放射能の影響はありません。
 調査の結果、温度計取付け施工時に、高温割れに対する溶接時の施工管理が十分でなかったため、溶接初層部で高温割れが発生していたところに、今回の定期検査で、当該部の手直し溶接を実施した際、漏えい部付近では溶接材を使用せず、既存の溶接金属を再溶融させたため、溶接部の外表面で新たに高温割れが発生し、この割れが当初から存在していた割れと結合して貫通欠陥に至り、蒸気漏えいが発生したものと推定されました。
 当該の湿分分離加熱器ドレン管温度計管台(B系)に加えて、今回の定期検査で同様に手直し溶接を行ったA系の温度計管台についても、原子炉を停止し、以下の対策を行いました。
B系およびA系とも、当該温度計ウェルは新品と取替え、高温割れが発生しにくいステンレス鋼系の溶接材を用いて溶接しました。
なお、今回の手直し溶接にあたって、定められた作業要領を遵守していなかったことから、溶接作業にあたっては、今回の事象について現場作業者に十分周知したうえで実施しました。

※: 湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管
    湿分分離加熱器は、高圧タービンから低圧タービンに流れる蒸気の効率(湿分除去と加熱)を高めるため、蒸気発生器で発生した主蒸気により加熱する機器。加熱蒸気ドレン管は、この加熱用に使用した主蒸気のドレンを湿分分離加熱器ドレンタンクに送る配管。

〔平成17年9月17日9月28日お知らせ済み〕

 
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第21回定期検査中(9月29日)
件  名 加圧器安全弁出口温度上昇に伴う点検の実施について  (添付図-2参照)
事象概要
および
対 策 等
  定期検査の調整運転中(電気出力約50%)のところ、湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管温度計管台溶接部補修に伴い出力を降下し、原子炉停止予定であった、9月29日、1次冷却材系統の加圧器に設置されているB加圧器安全弁の出口温度(通常約52℃)の上昇を示す注意警報(設定値60.3℃)が発信し、その後、「加圧器逃がし弁・安全弁出口温度高」警報(設定値77℃)が発信しました。直ちに、加圧器逃がし弁および安全弁の出口温度を確認した結果、B加圧器安全弁出口温度が約90℃に上昇していました。
 本事象による環境への放射能の影響はありません。
 9月29日に原子炉を停止し、加圧器安全弁の点検を行った結果、当該弁と出口側配管との接続部で生じていたズレにより、シート面での密封性が低下している状況であったこと、また、今回実施した当該弁の分解点検時に、微小な異物がシート面に付着した可能性も否定できないことから、これらの要因によりシート漏れが発生し、当該弁の出口温度が上昇したものと推定されました。
  対策については、以下のとおり実施します。
フランジ部でのズレをなくすため、出口側配管のフランジ部を、加圧器安全弁と同様に、加圧器本体にサポートで固定します。
今回の調査では、点検時に異物がシート面に付着した可能性について、明確な混入等は特定できませんでしたが、異物管理徹底の観点から、使用工具の清掃等について、作業手順書に反映します。
  また、A安全弁についても同様な対策を行います。
※: 加圧器安全弁
    加圧器と加圧器逃がしタンクとの間に設置され、加圧器圧力(通常値約15.4MPa)が高くなった時に、自動的に開放し加圧器逃がしタンクに圧力を逃がす。加圧器圧力が約16.1MPa以上になった時に開放する「加圧器逃がし弁」2台と、そのバックアップとして、約17.2MPa以上になった時に開放される「加圧器安全弁」2台がある。

〔平成17年9月29日10月19日お知らせ済み〕

 
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第21回定期検査中(9月29日)
件  名 A-1次冷却材ポンプシール水漏えいに伴う原子炉手動停止について  (添付図-3参照)
事象概要
および
対 策 等
 湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管温度計管台溶接部の補修、およびB加圧器安全弁出口温度上昇に伴う点検実施のため、9月29日から出力降下を開始し、出力降下中の同日、「A-RCPスタンドパイプ※1水位注意(水位低)」警報が発信しました。このためスタンドパイプへの水補給を実施していましたが、再度、同警報が発信したため、格納容器テレビモニタにより確認したところ、A-1次冷却材ポンプのスプラッシュガード※2から水(シール水)が漏れていることを確認しました。
 このため、9月29日(電気出力約20%)に、原子炉を手動停止しました。
 なお、本事象による環境への放射能の影響はありません。
 調査の結果、シールリングスプリングのばね力が長期間の使用により徐々に低下し、シールリングを押さえ付ける力(シーティング力)が低下しました。この影響で、格納容器内の温度変化等による軸方向のシールランナの動きに対するシールリングの追従性が悪くなり、シールリングとシールランナの隙間が生じてシール水が漏えいし、No.3シール水回収ラインの回収量を上回ったシール水が、スプラッシュガードから漏えいしたものと推定されました。
 対策については、以下のとおり実施します。
当該1次冷却材ポンプのNo.3シール部のシールリングスプリングを新品のものに取替えます。また、B-1次冷却材ポンプのNo.3シール部のシールリングスプリングも新品のものに取替えます。
No.3シール部のシールリングスプリングについては、定期検査毎に経年的なばね力低下に対する評価を行い、計画的に取替えることとします。

※1: スタンドパイプ
    1次冷却材ポンプの軸シール部(*)と配管で接続されており、軸シール部内の水量を監視するために取り付けられた筒状の容器で、水位低の警報が発報する度毎に、軸シール部の潤滑のため水を補給している。
<*軸シール部>ポンプ本体の摺動部と軸とのわずかな隙間に、高圧水(封水)を注入することにより、1次冷却水が系外に流出することを防止する機能を持つ。また、第1~3の3段階の軸シールで構成される。
※2: スプラッシュガード
    1次冷却材ポンプのシール部からの漏えい水の飛散防止用に取り付けられている覆い板

〔平成17年9月29日10月19日お知らせ済み〕

 
発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第21回定期検査中(9月16日)
件  名 補助蒸気配管サポートの損傷について  (添付図-4参照)
事象概要
および
対 策 等
 補助蒸気配管取替工事※1の準備作業として、9月12日から原子炉補助建屋・中間建屋への補助蒸気供給を停止し、隔離弁(2台)の取付作業を行っていましたが、隔離弁取付作業完了後の、9月16日から、原子炉補助建屋・中間建屋への補助蒸気供給元弁をわずかに開放して、補助蒸気供給を再開したところ、タービン建屋1階を通行中の当社社員が大きな音を確認しました。
 このため、直ちに補助蒸気供給元弁を閉止したところ音は徐々に収まったことから、補助蒸気通気に伴うウォーターハンマー※2であると判断しました。その後、当該供給元弁よりも上流側にある1,2号機からの補助蒸気供給弁を閉止したところ、ハンマリング音は収束しました。
 なお、念のため、ハンマリング音を確認した直後に、ページング放送にてタービン建屋への立入制限を行いましたが、現場の安全性を確認したうえで、現場立入制限を解除しました。
 その後、ハンマリング音が確認された範囲(タービン建屋1,2階面)の補助蒸気配管を点検した結果、補助蒸気配管のサポート2箇所が損傷(折損:1箇所、曲がり:1箇所)し、保温材3箇所の外れ等が確認されました。なお、同範囲の溶接部52箇所について浸透探傷検査を行ったところ、異常は認められませんでした。
 調査の結果、隔離弁設置工事期間中、閉止していた供給元弁上流側の補助蒸気供給母管内に貯まるドレン水の排出操作を定期的に実施していたことから、供給母管内にドレンはないと考えていましたが、供給母管への補助蒸気の供給が継続されていたため、定期的な排出操作ではドレン水が十分排水されず、供給母管内は満水状態であったと推定されました。この状態で、補助蒸気供給元弁をわずかに開放したため、蒸気(約170℃)が供給元弁上流側のドレン水(約100℃以下)に取り込まれ、急激に凝縮し、大きな圧力変化(ウォーターハンマー)が発生し、その衝撃力によりサポートが損傷したものと推定されました。
 対策については、以下のとおり実施します。
損傷が認められたサポートや保温材については、新しいものに取り替えました。
工事等により補助蒸気の供給を一時的に停止(系統隔離)した後、供給を再開するにあたっては、隔離範囲の上流側配管内に貯まったドレン水も完全に排出するよう、その旨、社内マニュアルに記載します。

※1: 補助蒸気配管取替工事
    美浜3号機事故の再発防止対策として、人のアクセスする可能性のある配管(曲がり部等)をステンレス配管に取り替える工事。【平成17年8月29日お知らせ済み】
※2: ウォーターハンマー(水撃現象)
    高温の蒸気が液体と接触し急激に冷やされると、蒸気が水に戻され急激な体積収縮が生じ、大きなエネルギーを持つ圧力波が伝播される現象。

〔平成17年9月20日9月28日お知らせ済み〕


(2) (1)に至らない軽微な事象
発電所名  高浜発電所1号機 発 生 日 第23回定期検査中
件  名 2次系配管の点検結果について
事象概要
および
対 策 等
 美浜発電所3号機事故を踏まえ、定期検査において、2次系配管1,209箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。(超音波検査1,201箇所、目視点検のみ8箇所)
 その結果、計算必要厚さを下回っている箇所が3箇所確認され、この計3箇所については、炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えました。

〔平成17年9月26日「原子炉起動および調整運転開始」プレスにてお知らせ済み〕



発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 第20回定期検査中(9月20日)
件  名 余熱除去ポンプシール水クーラ空気抜き作業中における漏えいについて (添付図-5参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査のため、9月20日00時00分に解列、同日2時36分に原子炉を停止した後、蒸気発生器により原子炉の冷却を行うとともに、余熱除去系統を用いて冷却するため、同日、A-余熱除去ポンプ※1による冷却を開始しました。その後、B-余熱除去ポンプの起動準備として、1次冷却水を同系統に通水し、系統の昇温と加圧を行ったうえで、20時47分頃、当社運転員が、当該ポンプのメカニカルシール保護のため、シール水のクーラ出口※2にある空気抜き弁を少し開けたところ、漏斗形状の受皿に差し込まれている当該弁下流の配管端部から、水と蒸気(1次冷却水)が流れ出し、B-余熱除去ポンプ室内の漏水検知の警報と、火災警報が発信しました。
 この際、弁操作を行っていた運転員にしぶきがかかりましたが、運転員は同室内から直ちに退避し、火傷や負傷、放射能による外部汚染、内部被ばくはありませんでした。
 その後、20時52分にB-余熱除去系統を隔離し、当該弁からの蒸気流出がなくなったことを確認した後、23時23分、当該弁を閉止しました。
 漏えいした水は、全て原子炉補助建屋サンプ(管理区域内)に回収しており、漏えい量は約2.6m(漏えい放射能量:約1.5×10Bq)と推定されました。
 原子炉の冷却は、蒸気発生器とA-余熱除去系統により継続して行われており、プラントの安全上の問題はなく、排気筒の放射線モニタ等の指示値に変化はありませんでした。
 本事象による環境への放射能の影響はありません。
※1(余熱除去ポンプ): 原子炉停止後の原子炉から発生する余熱を除去するための系統に設置しているポンプで、大飯1号機には2台(A,B)ある。
※2(シール水クーラ): 余熱除去ポンプのメカニカルシールの温度上昇を抑えるために用いるシール水を冷却する装置。シール水は、余熱除去ポンプ内の1次冷却水が用いられる。
〔平成17年9月22日お知らせ済み〕

  当該空気抜き弁の分解点検を行った結果、弁体、弁棒等に異常は認められませんでした。
 また、今回の弁操作は、余熱除去系統を昇温、昇圧後に実施していたが、この操作時期はマニュアルには明確な記載がなく、担当した運転員のグループ毎で時期が異なっていました。
 当該弁の分解点検で異常は認められなかったものの、当該弁を徐々に開ける操作において、弁棒と弁体との間に若干のすき間が生じる構造の弁であったことから、弁が通常より強く締め付けられていた状態では、弁棒と弁体の若干のすき間の影響で、一時的に弁ハンドル回転角度に弁開度が追従しない状態であったと考えられます。
 この状態で、運転員が弁を徐々に開けていき、弁ハンドルを約1/4回転した時に、弁体が弁座から瞬間的に離れ、一気に流路が生じ、当該系統が昇温、昇圧後であったことから、シール水系統に残っていた冷たい水(1次冷却水)およびシール水系統を通じて余熱除去ポンプ内の高温(約166℃)の水(1次冷却水)が流出して漏斗形状の受皿から溢れ、その一部が蒸気となってB-余熱除去ポンプ室に充満したものと推定されました。

 対策については、以下のとおり実施します。
空気抜き弁の操作時期について、余熱除去系統の昇温、昇圧前に実施することをマニュアルに明記します。
空気抜き操作において、ベント水が飛散しないように、現状のドレン受けを撤去し、空気抜き配管の先端を直接B-余熱除去ポンプ室の漏水検知用ピットに変更します。
空気抜き操作にあたっては、弁の特性により急激に流体が排出されることがあることを運転員に注意喚起し、その旨マニュアルに記載します。



3.その他情報
発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 第20回定期検査中(10月3日)
件  名 誤信号による安全系機器等の一部動作について (添付図-6参照)
事象概要
および
対 策 等

  定期検査中、燃料取り出し完了後の10月3日13時50分、「中央制御室空調隔離」等の警報が発信しました。
 調査の結果、原子炉安全保護盤内のリレー取替作業において、リレー取り付け時、オフの状態で取り付けるべきところ、オンの状態で取り付けたことにより、安全系機器等を動作させる誤信号が流れ、機器が動作し、警報が発信したことが判りました。
 作業手順書には、取り付け作業時にリレーの状態を確認することが記載されていなかったことから、十分な確認ができていませんでした。
 対策として、リレー取り替え作業時の作業手順書およびチェックシートに、リレー取り付け時にオフの状態であることの確認手順を明記することとします。

 なお、本事象により一部の機器が動作しましたが、原子炉から燃料を取り出している状態であり、プラントに影響はなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。

※リレー: 機器の制御信号を受けて、機器の動作信号を発信するもの。(オンの状態では、接点がつながり動作信号を発信する)


4.その他(労働災害)
発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 第20回定期検査中(9月26日)
件  名 循環水管点検準備に伴う運転員の負傷について (添付図-7参照)
事象概要
および
対 策 等

 平成17年9月22日10時50分頃、復水器への海水が流れる循環水管の点検準備として、循環水管内の海水を排出させるため、運転員が弁(水抜き弁)操作を行う目的で、タービン建屋1階面から循環水管床面まで降りようとしたところ、設置している垂直梯子の上部手すりが折れ、約3m下の床面に落下し、臀部を強打しました。
 病院での診断の結果、打撲傷で自宅療養(4日程度)と診断されました。
 なお、当該垂直梯子は、直ちに使用禁止としました。
 調査の結果、循環水管は地下室にあり、側壁から自然湧水が発生しており、それらの湧水を集めている側溝部に当該垂直梯子が設置されていたため、この影響で梯子全体の腐食が進行していましたが、補修等は行われていませんでした。
 今回、運転員は操作すべき弁を探すため垂直梯子から降りる際、腐食部分が折損し、バランスを崩して落下したものと推定されました。
 運転員は、系統隔離を行う際に使用する帳票に操作すべき弁の設置場所の記載がなかったことから、系統図により弁の場所を推測しこの垂直梯子を降りましたが、本来操作すべき弁は別の場所にあり、今回の垂直梯子を降りる必要はありませんでした。
 対策として、当該垂直梯子は過去に実施した工事のために設置したものであり、これまで使用した実績がほとんどなく、これからも使用しないことから、今回撤去しました。
 また大飯発電所にある昇降設備等(垂直梯子、架台など)を調査した結果、当該垂直梯子を除く37箇所で錆等の腐食が認められました。このため、腐食が認められた昇降設備は使用禁止とし、社員及び協力会社に周知するとともに、これら37箇所について、点検等で使用する設備は取替え、または補修を行い、不必要なものは撤去することとしました。
 今後、昇降設備等について、点検計画を策定して定期的に点検を実施することとします。
 さらに、運転員が系統隔離操作を行う際に使用する帳票の記載内容(設置場所)を充実するとともに作業にあたってはこの帳票を使用し、操作すべき弁の設置場所を確認することを再徹底することとします。


※:循環水管
  タービンで仕事をした蒸気は復水器で海水により冷却され、水に戻されるが、この冷却用の海水が流れている配管。

  保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
  当社ホームページ(/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
  日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

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