Special Contents
受け継がれる使命感
東日本大震災以降の原子力発電所再稼動への取組み
「安定供給」と「脱炭素」に向けて
安全への想いを力に
東日本大震災後、国内のすべての原子力発電所が停止した。原子力発電に対する社会の眼が厳しくなる一方で、化石燃料への依存による課題も浮かび上がった。
こうした中、関西電力美浜発電所3号機の再稼動に向けた取組みが進められた。その裏側には、安定供給と信頼回復への強い使命感と、安全最優先を貫いた現場の努力があった。安全対策工事に携わった従業員が当時を振り返り、想いを語る。
美浜発電所 原子炉保修課 原子炉係長※
木村 圭佑
※2021年6月美浜発電所3号機再稼動当時
2025年6月時点の所属:エネルギー・環境企画室 エネルギー・環境政策グループ マネジャー
MISSION
「安全を最優先し再稼動せよ」
新たな規制基準のもとで
再稼動を目指す
2011年の福島第一原子力発電所事故を契機に、原子力発電所に対する安全規制が全面的に見直された。
2009年に入社し、大飯発電所のタービン保修課で働いていた私は、 職場で福島第一の事故の映像を目の当たりにしました。そのときの衝撃は忘れられません。
その後、原子力施設の設置や運転などの可否を判断するための新規制基準が設けられ、これに適合するための大規模工事を行う必要が生じました。私は原子力事業本部の高経年対策グループで原子炉容器などの高経年化技術評価や、「40年超運転に向けた取組み」に携わった後、2019年に美浜発電所の原子炉保修課へ。3号機の再稼動に向けた安全対策工事の工程管理を担うことになったのです。
工程見直しに関連する主な工事
「美浜発電所だよりVOL.96 2019年3月発行」より
美浜発電所3号機の主な安全対策工事の実施状況
安定供給と脱炭素の両立へ
信頼を取り戻す
原子力発電所が停止したことで化石燃料への依存が進み、電気料金が高騰。地球温暖化対策も後退した。
電気は貯めておくことができないエネルギーだからこそ、安定供給は私たちの使命だと身にしみて感じました。温室効果ガス削減も待ったなしです。みなさまの暮らしと環境を同時に守っていかなければならない。そのために、安全に稼動させることによって原子力発電への信頼を取り戻すことが当社の命題。そう心に刻み、業務に務めました。
「安全・安定供給はライフラインを預かる企業としての使命」と語る木村
安全を貫き
一丸となって邁進
再稼動に向けた工事は、安全が最優先である一方でスピードも求められ、現場は常に緊張感に包まれた。
原子力発電所内には設備が立ち並び、放射線や放射性物質などの管理にも細心の注意が必要です。複数の部門が同一エリアで同時に、安全かつ円滑に作業を進めなければならず、密な調整が不可欠でした。
2020年にはコロナ禍に見舞われ、感染症対策や夏場の熱中症対策への対応に追われました。それでも、従業員や協力会社の方々が使命感を持ち、“安全”という横串を通すことで一丸となって、一歩一歩着実に進めることができたのです。
エリアごとの調整会議や、エリアを跨ぐ全体会議で課題や調整事項を共有
安全への想いを継ぐバトン
先輩から後輩へ
2021年6月、美浜発電所3号機は約10年ぶりに発電を再開。運転開始から40年を超える原子力発電所として、新規制基準施行後では全国初の運転となった。
再稼動は、原子力部門だけでは到底成し得ませんでした。社内各部門からの発電所応援や審査対応支援に加え、メーカー、関係会社、協力会社の皆さまにも緊密にご協力いただき、まさにオール関電体制で全員が同じ目標に向かって一致団結した成果です。
現在、当社が日本で最も多くの原子力発電所を再稼動できている※のも、そのパワーが大きかったからだと実感しています。
再稼動を果たし、さらに身が引き締まる思いです。2004年の美浜発電所3号機事故を経験した先輩たちの「二度と起こしてはならない」という反省や安全への想いを継承し、次の世代へバトンをつながなければなりません。同じ発電所で働く仲間とその家族を、決して事故に遭わせない。固い決意を胸に、安全を積み重ねることが私たちの責務です。
※2025年8月取材当時
当社従業員・協力会社が一丸となって約10年ぶりに再稼動
現在、関西電力の原子力発電所では7基が稼動している。これからも安全を最優先し、地域の方々の信頼を得ながら、電力の安定供給と脱炭素という使命を確実に果たしていく。
50年目のメッセージ~原子力営業運転開始から半世紀~