一意専心 関西電力の安全DNA

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一意専心~関西電力の安全DNA~
一人ひとりの「安全ヘの想い」

2019年4月、電気バス始動――トロバスから引き継がれたバトン 黒四管理事務所 運輸課 技術主任 青山

黒四管理事務所 運輸課 
技術主任 青山

1989年入社。黒四管理事務所運輸課に配属後、約26年間にわたり、駅務、運転、車両など、トロリーバスの運行に関わるさまざまな業務を担当。2016年より技術主任を務める。

安全文化。それは関西電力において、一人ひとりが常に安全を心がけることによって、先輩から後輩へと、脈々と受け継がれてきた精神であり風土です。これまでも、そしてこれからも形成され続ける安全文化―。この安全文化を守り続ける関電マンの「安全への想い」に迫ります。

2018年11月30日16時35分の黒部ダム駅発の最終便。このラストランで54年間の歴史に幕を下ろす関電トンネルトロリーバス(トロバス)。
トロバスと共に約54年、「完全無事故」で走り続けてきた黒四管理事務所の所員たち。
トロバスの勇姿をそれぞれの胸に刻み、今年からは電気バスと共に新たな歩みを進めていく。

トロバスの運行を支えた黒四管理事務所

 長野県大町市にある黒四管理事務所には、所長以下、50名以上のメンバーが在籍。青山が所属する運輸課は、トロバスの運行に関わる業務に携わっている。ここでの業務は、トロバスの運転や駅務だけでなく、駅や関電トンネル内の設備メンテナンスや、トロバスの点検まで多岐にわたる。

「運輸課の仕事は、4月から11月の営業期間と12月から3月の冬期期間で大きく異なっています。営業期間中は、トロバスの運行に関するさまざまな業務を行いますが、冬場はトロバスが運行しないので、翌シーズンに向けた設備の補修や点検がメインとなります。特に今年はトロバスから電気バスへと切り替わるため、トンネル内にあるトロバスに電気を供給していた架線を撤去し、新たに電気バス用の充電設備を建設するなど、黒部ダム駅から扇沢駅の運行に関わる設備を一新しなければなりません。そのため、例年よりも多くのスタッフが電気バスの運行に向けた準備作業に携わってくれています。私も23名の仲間とともに、4月の営業運転開始に向け取り組んでいるところです。」

「インスタ映え」と黒部ダム

 技術主任として、設備の点検や保守を担いつつ、繁忙期にはトロバスの運転や駅務までこなす青山。入社以降、約30年間トロバス一筋でやってきたからこそ、多様な業務をこなすことができる。しかし、時代の流れは、黒四管理事務所の業務にもさまざまな変化をもたらしている。

「ここ黒部ダムにもインバウンドで海外のお客さまが増えているんです。黒部ダムがある立山黒部アルペンルートでは、4月中旬~6月中旬にかけて、ダイナミックな雪の壁の中を歩くことができる『立山黒部・雪の大谷フェスティバル』というイベントが人気で、アジア地域を中心に、たくさんの人に来ていただいています。海外のお客さまが増えると、私たちも日本の習慣だけで物事を考えていられません。例えば、ゴミの持ち帰りやトイレの使い方など様々な習慣の違いを、その国の言葉で伝えなければなりません。
また、最近ではSNSを意識した対応も増えています。『インスタ映え』を意識した撮影ポイントを紹介したり、黒部ダムのライブ映像をホームページで配信するような取組みもやっています。
黒部ダムは、季節や見る場所・角度によってさまざまな景色を見せてくれます。毎日のように見ている私でも、時に時間を忘れる瞬間があります。大迫力の放水にかかる虹、周辺の山々が赤や黄色に色づき、山頂にだけ雪が積もった三段紅葉。想い出は、写真を撮るだけでなく、SNSでの情報発信もセットになってきているようなので、様々な変化にも柔軟に対応して、いろいろと工夫していかないといけませんよね(笑)」

「一生に一度は見たかった」その想いに応えるために

 「黒部ダムが語りかける『何か』と向き合ってほしい」、そのために青山が常に心がけていることは。

「『一生に一度は実際に黒部ダムを見たかった』といって足を運んでいただくお客さまも多くいらっしゃいます。実際に来て、見ていただくと、黒部ダムは一人ひとりに『何か』を語りかけてくれます。それが、この場所が特別な想い出となるひとつの理由ではないかと。
そういう時間を過ごしていただくためには、まずはやっぱり無事にこの場所で過ごし、安全に帰っていただくということが何よりも大切だと思っています。
実際、高いところや濡れた場所など、階段も含めたくさん歩いていただくことになるので、笑顔のベースとなる安全を最優先に、すべり止めをつけたり、トンネル内では水滴が落ちないようにカバーをつけるなど、常にお客さま目線で、『危ないところはないか』『お客さまが困ることはないか』、気を配っています。
落ちているゴミは自然と拾ってしまう習慣が身についてしまっているのですが、ディズニーランドのスタッフの方もそうみたいですね(笑)
帰りに、お客さまから『また来たい』と言っていただいた時には、この場所だけが持っている『何か』が伝わったんだと思って、本当に嬉しく、とてもやりがいを感じます。」

トロバスから電気バスにつなぐ安全運転のバトン

 電気バスへと引継がれるトロバスの「完全無事故」のバトン。青山がそのために取り組むのは、約54年にわたって繋がれてきたこれまでの日々の業務を決して変えないことだ。

「初めてトロバスのハンドルを握った日のことは今でも鮮明に覚えています。私が初めて運転を任されたのは、2代目となる200型。当時はパワステも搭載されていなかったため、カーブでハンドルを切る際には腰が浮くほどハンドルが重かったです(笑)でもその重みこそが「お客さまの命を預かる重み」なんだと思って仕事に向き合っていました。
そんな中、危険物の運搬作業の直前ミーティングで、安全に対する気構えを先輩から言い聞かされたことがありました。私はお客さまをダムまでお連れすること、そのための安全しか考えていませんでした。ところが、本当の安全は、それを実際に行うための準備から始まっていたのです。目に見えていないものこそが、目に見えている安全を支え、作り上げている。先輩と私の「お客さまの命を預かる」という意識の違いをまざまざと感じた瞬間でした。
今、私は職場で皆に、「いろいろな角度で安全を何度も考え、確認し、少しでも不安なことがあれば必ず解消してから次に進むこと」を伝えています。安全のためには時間を惜しまず、疑問を解消してから進めることが何よりも大切なんです。
約54年にわたるトロバスの完全無事故を支えたのは、先輩たち、そして私たち一人ひとりの黒部ダムへの想い、お客さまへの想い、安全への想いが結果的に形になったに過ぎません。電気バスにも完全無事故のバトンを引継いでいく、そのために特別に何かをするという訳ではなく、これからも愚直に、日々の業務に取り組んでいきたいと思います。
トロバスから電気バスへと変わっても、私たちが大切にしている想いは何ひとつ変わりません。ぜひ黒部ダムへいらしてください。電気バスと共にみなさまをお待ちしております!」

 「その人にとっての黒部ダムを心に残していただけたら」――青山は、黒部ダムが、訪れたお客さまの大切な一ページとなるように、今日も「くろよん」の地で安全を支えている。

2019年3月28日掲載

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