プレスリリース

2008年8月15日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成20年8月14日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中  
2号機 50.0万 第24回 定期検査中
H19年7月20日〜H20年8月下旬予定(調整運転中)
A余熱除去ポンプ軸封部の不調について
詳細は2(2)のとおり
H20年7月25日お知らせ済み】
3号機 82.6万 運転中  
高 浜
発電所
1号機 82.6万 第25回 定期検査中
H20年3月19日〜8月下旬予定(調整運転中)
Cループ主給水流量検出器の再校正に伴う定期検査工程の遅延について
詳細は2(3)のとおり
【事象概要等を取りまとめましたのでお知らせ】
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 第18回 定期検査中
H19年11月23日〜H20年8月下旬予定(調整運転中)
B余熱除去冷却器バイパス流量制御弁グランドリークオフ配管フランジからのわずかな漏えいについて
詳細は2(3)のとおり
H20年7月31日お知らせ済み】
4号機 87.0万 運転中  
大 飯
発電所
1号機 117.5万 第22回 定期検査中
H20年6月4日〜8月下旬予定 (調整運転中)
管理区域内での作業員の体調不良について
詳細は2(2)のとおり
H20年7月31日お知らせ済み】
2次系配管の点検結果について
詳細は2(3)のとおり
H20年7月31日お知らせ済み】
キャスクピットへの協力会社社員の落水について
詳細は2(3)のとおり
H20年7月31日お知らせ済み】
2号機 117.5万 運転中
B非放射性機器冷却水ポンプメカニカルシールの不具合について
詳細は2(3)のとおり
【事象概要等をとりまとめましたのでお知らせ】
3号機 118.0万 第13回 定期検査中
H20年2月2日〜未定
原子炉容器Aループ出口管台溶接部の点検状況について
詳細は2(1)のとおり
【事象概要等はH20年8月8日他にお知らせ済み、今回その後の状況をお知らせ】
4号機 118.0万 運転中  


2.トラブル等情報について

(1) 法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)
発電所名  大飯発電所3号機 発 生 日 第13回定期検査中(平成20年4月8日)
件  名 原子炉容器Aループ出口管台溶接部の点検状況について
   (添付図1参照)
事象概要
および
対 策 等
 第13回定期検査中に、国内外で発生した600系ニッケル基合金溶接部での応力腐食割れ事象を踏まえ、原子炉容器出入口管台(計8箇所)の溶接部にウォータージェットピーニング工事※1を実施する計画としています。
 この工事のため、3月6日から3月10日にかけて、事前に当該溶接部内面の渦流探傷試験(ECT)※2を行ったところ、Aループ出口管台の600系ニッケル基合金溶接部1箇所で有意な信号指示(長さ約10mm)を確認しました。なお、Aループ入口管台およびB、C、D各ループの出入口管台については、有意な信号指示は認められませんでした。
 水中カメラにより詳細に点検したところ、傷の形状は複数に折れ曲がるとともに枝分かれした長さ約3mmの割れであり、1次冷却材環境下における応力腐食割れ※3の特徴を有しており、傷の周辺では、引張応力が残留する可能性がある機械加工※4跡を確認しました。これらのことから、1次冷却材環境下における応力腐食割れの可能性が高いと推定しました。
 この部位について、超音波探傷試験(UT)※5を行った結果、傷の深さは特定できませんでした。ECTで有意な信号指示が確認されなくなるまで当該部表面の研削を行うこととして、4月22日より研削を開始しましたが、約3.6mm研削した時点で、外観目視観察で傷が確認でき、ECTにおいても有意な信号指示が認められている状況であり、さらに研削した場合、工事計画認可申請書※6に記載している板厚(70mm)を下回る可能性があったことから、記載内容を変更する手続きを国に行い、手続き完了後、研削を再開することとしました。
 傷の深さを確認するため、工事計画認可申請書に記載の板厚を変更(70mmから64mm)した後、変更前の工事計画認可申請書の板厚70mmまで研削(総研削量約4.6mm)しましたが、外観目視観察で傷が確認でき、ECTで有意な信号指示が認められていることから、当該箇所の板厚は、変更前の板厚70mmを満足していないものと判断しました。外観目視観察による傷の長さは、研削深さ約4.6mmで約12.5mmでした。その後、深さ約10.5mm(板厚約64.1mm)まで研削しましたが、外観目視観察で傷が確認でき、ECTで有意な信号指示が認められています。
 さらに深く研削を行うため、工事計画認可申請書の記載板厚を、傷が残っている部分を含めた箱状(軸方向約11cm、周方向約13cm)の部分のみを64mmから53mmに、その他の部分を70mmに変更し、強度上の問題がないことを確認したうえで、7月30日に国に対し変更手続きを行い、8月8日にこの変更手続きが承認されたことをうけ、当社は、当該傷の深さを確認するために、同日より研削を再開しました。
 本事象による周辺環境への影響はありません。


  ※1: ウォータージェットピーニング工事
金属表面に高圧ジェット水を吹き付けることにより、金属表面の引張残留応力を圧縮応力に変化させる。
  ※2: 渦流探傷試験(ECT)
高周波電流を流したコイルを対象となる配管等に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物の欠陥に起こった渦電流の変化を電気信号として取り出すことで欠陥を検出する検査。
  ※3: 1次冷却材環境下における応力腐食割れ
1次冷却材環境下で600系ニッケル基合金に発生するPWRプラント特有の応力腐食割れ。(材料、環境および応力の3要素が重なって発生する割れ)
  ※4: 機械加工
溶接により発生する表面の凸凹を切除するとともに、管台とセーフエンド部の段差を無くすため、金属製の刃を周方向に回転させ切削加工すること。
  ※5: 超音波探傷試験(UT)
超音波を使って金属等の内部にある傷を検出する試験。
  ※6: 工事計画認可申請書
発電所の建設工事を開始する前に機器の詳細設計内容について、国に提出する申請書。

平成20年4月17日5月16日5月26日6月16日7月16日8月8日 お知らせ済み]

 8月14日現在、深さ約15.5mm(板厚約59.1mm)まで研削し、外観目視観察およびECTを実施した結果、傷は確認されています。
 引き続き深さ約0.5mmずつ研削したのち、外観目視観察およびECTで傷の深さを確認しているところです。
 なお、今後の定期検査工程については未定です。



(2)安全協定の異常時報告事象
発電所名  美浜発電所2号機 発 生 日 第24回定期検査中(平成20年7月21日)
件  名 A余熱除去ポンプ軸封部の不調について   (添付図2参照)
事象概要
および
対 策 等
 原子炉起動準備中の7月21日11時29分、A余熱除去ポンプ室のサンプ(水溜め)水位の上昇を示す警報が発信しました。直ちに現場を確認したところ、停止中のA余熱除去ポンプ軸封部(メカニカルシール)から、配管を介してサンプに回収されている軸封水の量が、運転時の管理基準値を超えて漏れ出ていることが確認されました。
 当該ポンプの軸封部は、軸に固定されている回転リング(タングステン製)に対して、固定リング(カーボン製)をその背面からベローズ(蛇腹状のバネ)で押さえつけることで止水(シール)する構造となっています。この軸封部を分解点検したところ、回転リングと接触している固定リング表面の摩耗量が円周上で均一ではなく、また、ベローズで押されている固定リング背面の一部で、水平面が確保されていない部分があり、この部分で表面側の摩耗量が小さく、かつ漏えいの痕跡も認められました。
 これらのことから、回転リングに対して固定リングの押しつける力が全周にわたって均一でなかったことから、ポンプ運転時において固定リング表面の摩耗量に差が生じる状態となり、ポンプ停止後の温度変化等の影響で、押しつけ力の弱いところで漏えいに至ったものと推定されました。
 対策として、ベローズの押しつけ力が均一になるよう、固定リング背面の水平面が全周にわたって確保されていることを確認した新しい軸封部に取り替えました。
   今後は、回転・固定リングタイプの軸封部を取り替える際には、固定リング背面が全周にわたって水平であることを確認します。  本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。


  ※: 管理基準値は1リットル/時以下であり、今回の漏えいは約43リットル/時程度であった。


平成20年7月25日 お知らせ済み]




発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 第22回定期検査中(平成20年7月23日)
件  名 管理区域内での作業員の体調不良について  (添付図3参照)
事象概要
および
対 策 等
 7月16日、1、2号機使用済燃料ピットエリア(管理区域内)にて、燃料外観検査用水中カメラの片付け作業を行っていた作業員が、水中カメラの調整用の架台の取り外し作業中、当該架台とともに落水しました。
 この作業員は、負傷はなく、内部被ばくおよび外部被ばくもないことを確認しました。
 その後、7月23日、落下した架台等の引き上げ作業をしていた別の作業員が、作業終了後、給水所にて休憩していたところ、19時10分頃、気分が悪くなりました。
 このため、当該作業員を管理区域から退出させ、産業医による診察と点滴による治療を受けた後、町内の病院へ搬送しました。
 診断の結果、熱中症の疑いがあると診断され、経過観察のため入院し、その後、26日に退院しましたが、8月1日の再診察までは自宅療養とし就労を禁ずるとの診断であったことから休業4日以上となりました。
 本事象を踏まえ、作業環境に合わせた熱中症対策としてクールベストの充実、作業前および作業中のこまめな水分や塩分補給の重要性などを全協力会社に周知しました。


平成20年7月31日 お知らせ済み]




(3)保全品質情報等
発電所名  高浜発電所3号機 発 生 日 第18回定期検査中 (平成20年7月3日)
件  名 B余熱除去冷却器バイパス流量制御弁グランドリークオフ配管フランジからのわずかな漏えいについて  (添付図4参照)
事象概要
および
対 策 等
 第18回定期検査中の平成20年7月3日、「3号機 補助建屋(1次系)EL4.0m」の漏えい検知警報が発信しました。
 現地を確認したところ、B余熱除去冷却器※1バイパス流量制御弁※2グランドリークオフ配管※3フランジより、1秒間に2滴の水(1次冷却材)の漏えいを確認し、漏えいした水は、目皿から補助建屋サンプタンクに回収されていました。
 直ちに漏えい箇所をビニール袋で養生し、その後、当該系統を隔離・水抜きの上、当該パッキンを取替え、翌7月4日に復旧しました。
 漏えいした水の量は、約1.8リットルと推定されましたが、本事象における周辺環境への放射能の影響はありませんでした。
 漏えい原因について調査した結果、今定期検査において、高サイクル疲労割れに係る対策工事として実施した余熱除去冷却器バイパスライン合流部の配管ルート変更に伴い、当該グランドリークオフ配管についても改造を行いました。改造後、フランジ接続の配管を上下逆に取り付けた箇所があることが判明したため、再取付けを行うこととしました。その際、正規仕様パッキンの在庫がなかったため、メーカ作業責任者の判断で別仕様のパッキンを使用したことにより、芯ズレした状態で取り付けられました。このため、系統の水張りを行った際に、グランドリークオフ配管内の水が、当該フランジから漏えいしたものと推定しました。
 対策として、以下のとおり実施します。
(1) 当該フランジ部は、正規仕様パッキンを使用し復旧しました。
(2) メーカおよび協力会社に対して、正規仕様部材の確実な使用に関する作業要領、手順の遵守など、周知徹底を図ります。
(3) 配管フランジ部におけるパッキンの取付記録に、正規仕様品と相違ないことの確認項目を追加します。
(4) 今定期検査における当該部以外の配管フランジ部のパッキン取替箇所について、正規品が取り付けられていることを確認しました。


  ※1: 余熱除去冷却器
プラント停止時などに、1次冷却材を冷却する冷却器である。
  ※2: バイパス流量制御弁
余熱除去冷却器を通る系統とバイパスの系統の全流量を一定になるように制御している制御弁である。
  ※3: グランドリークオフ配管
バイパス流量制御弁の弁棒と本体のすき間をふさいでいる箇所をグランド部といい、そのグランド部から流れる水(1次冷却材)を回収するための配管である。


平成20年7月31日 お知らせ済み]




発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 第22回定期検査中(平成20年7月7日)
件  名 2次系配管の点検結果について
事象概要
および
対 策 等
 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管1,576箇所について超音波検査(肉厚測定)等を行いました。
 その結果、必要最小厚さを下回る箇所が1箇所確認されました。
 この1箇所については、炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えました。


平成20年7月31日 お知らせ済み]




発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 第22回定期検査中(平成20年7月16日)
件  名 キャスクピットへの協力会社社員の落水について   (添付図5参照)
事象概要
および
対 策 等
 7月16日9時10分頃、1、2号機用キャスクピット上※1に設置された燃料外観検査装置用の仮設架台※2の取り外し作業を実施していた作業員1名が、仮設架台とともにキャスクピット内に落水しました。このため、直ちにクレーンで作業員を引き上げました。
 落水した作業員に外傷はなく、シャワーで全身を洗浄した後、退出モニタで身体汚染がないことを確認した上で管理区域から退出しました。また、ホールボディカウンタ※3による測定では、内部被ばくは認められませんでした※4。外部被ばくもありませんでした※5
 当該作業員に状況を確認したところ、仮設架台に安全帯を引っ掛けて作業していた際、仮設架台がキャスクピット内に落水し、安全帯に引っ張られてキャスクピット内に落水したとのことでした。
 落水した原因を調査した結果、取り外し作業に応じた具体的な危険予知、作業責任者による監視、指示などが不十分であることや、作業要領書に具体的な取り外し手順の記載がされていなかったことがわかりました。また、今回は、補助建屋クレーンのフックに、架台に取り付けた落下防止のロープを掛けていなかったこと、さらに、当該作業員は、安全帯を架台に掛けていたため、架台が落下した際に引きずられて落水したことがわかりました。
 これを受けて、以下の対策を実施することとしました。


  (1) 直ちに(事象発生した当日)臨時安全衛生協議会を開催し、協力会社に対し、作業実施前の作業手順の確認、作業状況確認および安全帯の取り付けに関する基本動作の徹底を行いました。
  (2) 全協力会社へ、作業実態に即した実効的な危険予知活動の実施の再徹底を行いました。また、当面の期間は、当社も積極的に危険予知活動に参加し、実施状況の確認を行いました。
  (3) 当該架台の取り付け方法を変更し、より安全な場所で作業が行えるようにします。また、架台が容易に落下しないように設備を改善するとともに、当該架台の取り外し手順を作業要領書へ反映します。
  (4) 類似作業に関して、作業要領書の被災防止手順を明確にします。
  (5) 当社作業担当者および作業責任者には、安全体感研修を受講させ、危険予知能力の向上を図ります。また、グループリーダーには、リーダーを示すワッペンをはい用させ、リーダーとしての自覚を高めて、的確な安全管理指導を行っていただきます。

  ※1: 使用済み燃料搬出のためのキャスク(輸送容器)への燃料装荷や、燃料検査等で使用するエリア。深さ約15m、水深約12m。1号機、2号機の共用設備。
  ※2: 燃料外観検査用に仮設していた水中テレビカメラの駆動装置を調整するために設置していたもの。燃料外観検査が完了したため、取り外そうとしていた。
  ※3: 体内に摂取された放射性物質の量を体外から測定する装置。
  ※4: 測定の結果、体内に摂取された放射性物質による今後50年間の実効線量(減衰や体内からの排泄等を考慮して算出される線量)は0.001mSv未満であり、法令に定めのある線量限度の年間50mSvに比べて十分低い。また、被ばく線量として記録するレベルである1mSvに比べても十分低い。
  ※5: ADD(アラーム付デジタル線量計)による測定の結果、0.00mSvであった。


平成20年7月16日31日お知らせ済み]




発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 平成20年7月25日
件  名 B非放射性機器冷却水ポンプメカニカルシールの不具合について   (添付図6参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中のところ、平成20年7月25日7時20分頃に、中央制御室にて非放射性機器冷却水※1タンクのわずかな水位低下を指示計にて確認しました。現場確認を行ったところ、B非放射性機器冷却水ポンプの継ぎ手側メカニカルシールから、非放射性機器冷却水が漏えいしていることを確認しました。その後、当該ポンプを系統から隔離して補修および点検が必要と判断し、保安規定の運転上の制限※2を満足していないと宣言しました。7月30日に当該ポンプのメカニカルシールを取替え、試運転を実施し、保安規定の運転上の制限を満足した状態に復帰しました。
 当該ポンプのメカニカルシール部を分解し、回転リングと固定リングの摺動面を目視点検した結果、両方にすじ状のこすれ痕が認められました。固定リングの一部には、欠損やくぼみが認められ、さらに、内面(固定リングとスリーブの間)には、灰緑色の付着物が認められました。
 メカニカルシールの回転および固定リングは超硬合金※3でできており、固定リング内面の灰緑色の付着物について成分分析を行った結果、冷却水に添加されているクロム酸を主体とした酸化物に加え超硬合金の焼結助剤※4として使用されるコバルトが検出されました。
 これらのことから、メカニカルシールの漏えいは、冷却水中のクロム酸により超硬合金の焼結助剤であるコバルトが溶出したことによって、タングステンカーバイド粒子間の結合が低下し、摺動によって剥がれたタングステンカーバイド粒子が摺動面に傷を発生させたことで生じたものと考えられます。その後、摩耗がさらに進行し、回転リングと固定リングとの接触により固定リングの角部が、部分的に欠損し、欠損した一部が異物となって摺動面に噛み込み、わずかな隙間を発生させ、漏えい量が急激に増加したものと推定されました。
 対策として、当該ポンプについては、シール材質を改良材(クロム酸環境下において耐食性のあるシリコンカーバイド)としたメカニカルシールに取替えました。
 また、クロム酸環境下で非改良材(超硬合金)のメカニカルシールを使用しているその他のポンプについては、至近の定期検査完了までに改良材(シリコンカーバイド)のメカニカルシールに取替えることとします。


  ※1: 非放射性機器冷却水
系統の機器の腐食および不純物蓄積等を防止するためにクロム酸カリウムおよび重クロム酸カリウムが添加されている。
  ※2: 保安規定の運転上の制限
「非放射性機器冷却水系2系統が動作可能であること」の要求を満足しない状態。
  ※3: 超硬合金
主成分であるタングステンカーバイドを焼結助剤であるコバルトで焼き固めたもの。
  ※4: 焼結助剤
固体粉末の集合体を融点よりも低い温度で加熱して、固めて焼結体と呼ばれる緻密な金属を作る際に、その焼結を起こりやすくさせるための添加剤。




発電所名  高浜発電所1号機 発 生 日 第25回定期検査中(平成20年8月4日)
件  名 Cループ主給水流量検出器の再校正に伴う定期検査工程の遅延について   (添付図7参照)
事象概要
および
対 策 等
 第25回定期検査における調整運転中の8月4日、総合負荷性能検査※1の準備として、当該検査に使用する計器の妥当性を確認※2していたところ、6台ある主給水流量検出器※3のうち、型式の異なる1台について必要のない補正が行われて校正されていることが判明しました。なお、当該検出器の不必要な補正による誤差は、主給水流量測定系統の許容誤差範囲内であり、安全上問題がないことを確認しました。
 調査の結果、補正した校正値で校正が必要な他の5台の型式に行ったのと同様に補正が不必要な型式である当該検出器に対しても補正を行った校正値で校正を行ったことが分かりました。この原因は、主給水流量検出器6台の校正値データを更新する際、型式の確認が不十分で、6台の検出器に対して補正を行った校正値に更新したためと判明しました。
 対策として、当該検出器を正しい校正値にて校正しなおしました。また、この事例を関係者に周知するとともに、校正値などの計器校正方法を変更する場合には、チェックシートを用いて確実に型式を確認することとします。
 なお、今定期検査で使用した全ての計器は、計器の妥当性確認によって、正しい校正値を用いて校正が行われていることを確認しております。
 この事象により、8月上旬に予定していた本格運転再開が、8月下旬に延期となりました。



  ※1: 総合負荷性能検査
定期検査の国による最終検査であり、定格出力運転状態で各部の温度、圧力、流量等のデータを記録し、プラント全体が正常な機能を有することを確認する検査。
  ※2: 計器の妥当性を確認
電力会社のデータ改ざん問題を踏まえ、定期事業者検査で使用する計器に対し、実機と計器設計仕様書の適合性確認や、校正値の妥当性の確認などを実施している。
  ※3: 主給水流量検出器
蒸気発生器に給水される水の流量を測定するための検出器で、原子炉保護制御に使用されており、 ABC蒸気発生器への給水管に各2台ずつ設置(計6台)されている。

以 上

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