プレスリリース

2008年5月16日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成20年5月15日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 第23回 定期検査中
H20年3月25日〜7月中旬予定
 
2号機 50.0万 第24回 定期検査中
H19年7月20日〜8月下旬予定
 
3号機 82.6万 運転中  
高 浜
発電所
1号機 82.6万 第25回 定期検査中
H20年3月19日〜8月上旬予定
 
2号機 82.6万 第24回 定期検査中
H19年8月17日〜7月上旬予定
 
3号機 87.0万 第18回 定期検査中
H19年11月23日〜8月中旬予定
 
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中  
2号機 117.5万 運転中
3号機 118.0万 第13回 定期検査中
H20年2月2日〜未定
原子炉容器Aループ出口管台溶接部の点検状況について
詳細は2(3)のとおり
【発生時の概要はH20年4月17日お知らせ済み、今回その後の状況をお知らせ】
4号機 118.0万 運転中
脱気器水位制御弁の自動制御不調による僅かな出力変動について
詳細は2(3)のとおり
【事象概要等を取りまとめましたのでお知らせ】


2.トラブル等情報について
(1) 法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)


      なし




(2)安全協定の異常時報告事象

      なし




(3)保全品質情報等
発電所名  大飯発電所3号機 発 生 日 第13回定期検査中
(平成20年4月8日)
件  名 原子炉容器Aループ出口管台溶接部の点検状況について   (添付図1参照)
事象概要
および
対 策 等
 大飯発電所3号機は第13回定期検査中であり、国内外で発生した600系ニッケル基合金溶接部での応力腐食割れ事象を踏まえ、原子炉容器出入口管台(計8箇所)の溶接部にウォータージェットピーニング工事※1を実施する計画としています。
 この工事のため、事前に当該溶接部内面の渦流探傷試験(ECT)※2を行ったところ、Aループ出口管台の600系ニッケル基合金溶接部1箇所で有意な信号指示(長さ約10mm)を確認しました。なお、Aループ入口管台およびB、C、D各ループの出入口管台については、有意な信号指示は認められませんでした。

 有意な信号指示が認められた部位を水中カメラにより詳細に点検したところ、傷の形状は複数に折れ曲がるとともに枝分かれした長さ約3mmの割れであり、美浜発電所2号機等の蒸気発生器管台溶接部で確認された1次冷却材環境下における応力腐食割れ※3と同様の特徴を有していました。また、傷の周辺では、引張応力が残留する可能性がある機械加工※4による仕上げ跡を確認しました。これらのことから、1次冷却材環境下における応力腐食割れの可能性が高いと推定しました。

 この部位について、超音波探傷試験(UT)※5を行った結果、傷の深さが評価できない非常に浅いものと考えられる信号指示でした。

 今後、当該部表面の研削、研削深さ測定、外観目視観察およびECTを繰り返し行い、ECTで有意な信号指示が確認されなくなるまで研削を行います。


  ※1: ウォータージェットピーニング工事
金属表面に高圧ジェット水を吹き付けることにより、金属表面の引張残留応力を圧縮応力に変化させる。
  ※2: 渦流探傷試験(ECT)
高周波電流を流したコイルを対象となる配管等に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物の欠陥に起こった渦電流の変化を電気信号として取り出すことで欠陥を検出する検査。
  ※3: 1次冷却材環境下における応力腐食割れ
1次冷却材環境下で600系ニッケル基合金に発生するPWRプラント特有の応力腐食割れ。(材料、環境および応力の3要素が重なって発生する割れ)
  ※4: 機械加工
溶接により発生する表面の凸凹を切除するとともに、管台とセーフエンド部の段差を無くすため、金属製の刃を周方向に回転させ切削加工すること。
  ※5: 超音波探傷試験(UT)
超音波を使って金属等の内部にある傷を検出する試験。

平成20年4月17日 お知らせ済み]

 4月22日より研削を開始し、現在、研削深さは約3.6mmで、外観目視観察において傷が確認でき、ECTにおいても有意な信号指示が認められている状況です。
 今後、傷を除去するため、さらに研削した場合、工事計画認可申請書※6に記載している板厚を下回る可能性があることから、記載内容を変更する手続きを国に行いました。この変更手続きが完了次第、研削を再開する予定です。
 なお、今後の定期検査工程については未定です。


  ※6: 工事計画認可申請書
発電所の建設工事を開始する前に機器の詳細設計内容について、国に提出する申請書。




発電所名  大飯発電所4号機 発 生 日 平成20年5月11日
件  名 脱気器水位制御弁の自動制御不調による僅かな出力変動について   (添付図2参照)
事象概要
および
対 策 等
 大飯発電所4号機は定格熱出力一定運転中のところ、5月11日19時36分に発電機出力が120万6千キロワットから約1.5%(約1万8千キロワット)高めに瞬時変動しました。
 直ちに関連パラメータ等を確認したところ、発電機出力の変動が起きる前に脱気器※1水位制御弁※2の自動制御信号が変動し、当該制御弁が閉まる方向に動作しました。この弁の動作により脱気器に流入する復水流量が減少したため、脱気器水位や発電機出力の変動が起きていることが分かりました。
 本事象は、当該制御弁の自動制御信号の変動が起因となっていることから、自動制御系(常用)の不調と判断し、「自動制御」から「手動制御」に切替えたところ、脱気器水位は安定しました。その後、自動制御系(予備)に切替え、通常の制御状態(「自動制御」)に復帰しました。
 当該自動制御系(常用)の調査の結果、脱気器タンク水位の電流信号を電圧信号に変換し出力する「電流/電圧変換器」の出力信号が変動していることが確認されたことにより、「電流/電圧変換器」の動作不調と考えられました。
 対策として、電流/電圧変換器を予備品と取替え、出力信号に異常がないことを確認のうえ、自動制御系(常用)を復旧しました。
 なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はありません。


  ※1: 脱気器
蒸気によって復水を直接加熱し、復水中の溶存ガス(酸素等)を物理的に分離除去する装置。
  ※2: 脱気器水位制御弁
脱気器タンクの水位を一定に制御するため、復水の流量を調整する弁。

以 上

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