プレスリリース

2008年1月16日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成20年1月15日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中
「過出力ΔTパーシャルトリップ」警報他の発信について
詳細は2(3)のとおり
【事象概要等をとりまとめましたのでお知らせ】
搬出済の低レベル放射性廃棄物の表面線量当量率データの訂正について
詳細は3のとおり
【事象概要等をとりまとめましたのでお知らせ】
2号機 50.0万 第24回 定期検査中
H19年7月20日〜未定
 
3号機 82.6万 運転中  
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中
1次冷却材中の放射能濃度の上昇について
詳細は2(2)のとおり
H20年1月9日お知らせ済み】
2号機 82.6万 第24回 定期検査中
H19年8月17日〜未定
 
3号機 87.0万 第18回 定期検査中
H19年11月23日〜
      H20年4月上旬予定
 
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中  
2号機 117.5万 第21回 定期検査中
H19年9月30日〜
      H20年1月中旬予定
H19年12月23日から
調整運転再開中
湿分分離加熱器空気抜き管からの蒸気漏れの原因と対策について
詳細は2(2)のとおり
H19年12月21日お知らせ済み】
3号機 118.0万 運転中  
4号機 118.0万 運転中  


2.トラブル等情報について

(1) 法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)
      なし



(2)安全協定の異常時報告事象
発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 第21回定期検査中(12月15日)
件  名 湿分分離加熱器空気抜き管からの蒸気漏れの原因と対策について  (添付図1参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の12月15日に調整運転を開始し、電気出力30%出力に達した後、2次系の点検を行っていたところ、点検中の当社社員が湿分分離加熱器※1の加熱蒸気側水室に接続されている空気抜き管の保温材から僅かに蒸気が出ているのを確認しました。
 このため、加熱蒸気の供給を停止する措置を行った上で、保温材を取り外して確認したところ、空気抜き管の直管部で蒸気漏れ箇所を確認しました。当該部はドレントラップ※2出口配管との合流部付近でした。
 蒸気漏れの原因調査を行うため、計画的に原子炉を停止することとしました。
 なお、漏れた蒸気は放射性物質を含まない2次系の蒸気であり、この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。


  ※1: 高圧タービンを出た蒸気を加熱し湿分を除去する機器。
  ※2: 空気抜き管内に溜まった水を下流側の復水器に排出する装置。


1.調査結果
(1)減肉部の調査結果
  蒸気漏れが確認された箇所の外観観察を行った結果、空気抜き管の外面に直径 約2mmの円形の開口部が認められ、その位置は、ドレントラップ下流配管が接続されている位置のほぼ対面位置でした。
  超音波肉厚測定の結果、開口部を中心とする範囲で局所的な減肉が認められ、切断後の内面調査の結果、その形状はすり鉢状でした。
  減肉部の断面観察を行った結果、液滴衝撃エロージョン※3に見られる鋸刃状の減肉形態が認められました。
   
※3: 液滴衝撃エロージョン・・・蒸気とともに加速されるなどして高速になった液滴が、配管の壁面に衝突したときに、局所的に大きな衝撃力を発生させ、配管表面が侵食される現象。
(2)設備点検結果
  ドレントラップ等を分解点検した結果、異常は認められませんでした。
(3)系統構成調査結果
  当該系統は、運転中、ドレントラップの上流側(ドレン水側)には、運転圧力がかかっており、一方、ドレン水が排出される下流側は、ほぼ真空の状態まで減圧される系統でした。
  また、ドレントラップ下流配管から排出されるドレン水は、直径の大きい真空に近い状態の空気抜き管に流れ込むため、当該部は、減圧膨張し、流速が大きくなる箇所でした。
(4)配管管理の状況
  当該箇所は常時流れのある系統ではないことから、「2次系配管肉厚の管理指針」に基づく点検対象の範囲外でした。
  また、知見拡充の観点から、平成17年より順次、復水器につながるドレントラップ近傍の下流側偏流発生箇所(曲がり部、合流部等)について点検し、減肉が認められた場合には系統全体の点検を行うこととしていましたが、当該ドレントラップについては、近傍の下流側曲がり部等に減肉が認められなかったため、当該箇所の点検は行っていませんでした。


2.推定原因
  ドレントラップ下流配管は、より口径の大きい当該空気抜き管に合流しており、運転中のドレントラップ動作時に排出されたドレン水が減圧膨張することで多数の液滴が発生し、当該部でさらに流速を増し、管壁に高速で衝突することによって減肉が徐々に進行して、貫通に至ったものと推定されました。


3.対 策
  当該配管を炭素鋼配管から減肉に強いステンレス鋼配管に取り替えました。
  今回の事象を踏まえ、知見拡充の観点からドレントラップ下流の合流部の20箇所について点検を行い、必要な肉厚があることを確認しました。
  次回定期検査時に、当該ドレントラップ下流配管を直接復水器に接続する等、配管経路の変更について検討します。
  今後、復水器に接続されるドレントラップ下流配管を、計画的にステンレス鋼配管に取替えるとともに、計画的に点検を実施します。

平成19年12月15日21日 お知らせ済み]




発電所名  高浜発電所1号機 発 生 日 1月9日
件  名 1次冷却材中の放射能濃度の上昇について  (添付図2参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の1月9日、定例の1次冷却材中のよう素(I−131)濃度の測定(3回/週)を行った結果、前回(1月7日)の測定値(約0.7Bq/cm3)を上回る値(1.5Bq/cm3)を確認したことから、燃料集合体に漏えいが発生した疑いがあるものと判断しました。
 現在のよう素(I−131)濃度は、運転上の制限値 (57,000Bq/cm3)に比べて十分に低く、発電所の運転および環境安全上の問題はないと判断されることから、1次冷却材中の放射能濃度の測定頻度を上げて(よう素濃度:3回/週→1回/日、全放射能:1回/月→1回/週)監視を強化し、運転を継続します。
 なお、この事象による環境への放射能の影響はありません。


  ※  燃料ペレットを収納している燃料被覆管から漏えいがあると、燃料被覆管内のよう素が1次冷却材中に放出される。このため、1次冷却材中のよう素濃度の変化から、漏えいの有無を判断している。

平成20年1月9日 お知らせ済み]




(3)保全品質情報等
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 1月12日
件  名 「過出力ΔTパーシャルトリップ」警報他の発信について  (添付図3参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の1月12日、「過出力△Tパーシャルトリップ」警報※1他が発信しました。
 ただちに、関連運転パラメータを確認した結果、4チャンネルある出力領域中性子束検出器※2のうち、1チャンネル(N43)の指示値が変化しているものや、変化していない計器があることを確認しました。また、残りの3チャンネル(N41、42、44)の出力領域中性子束検出器指示値には異常はなく、制御棒の実動作等も認められませんでした。
 これらのことから、検出器より下流の信号回路に故障の可能性があると判断し、点検を実施したところ、信号変換回路(カード)に異常が認められました。
 このため、当該信号変換回路(カード)を予備品に取替え、健全性を確認した後、1月13日に通常状態に復旧いたしました。
 なお、本事象による周辺環境への影響はありませんでした。 


  ※1: 炉心の熱出力の制限のために設けられた警報。多重に設けられた過出力ΔTトリップ信号回路のうちの一部の回路が動作状態になったことを示す。
  ※2: 運転中の原子炉出力を中性子束により炉外から測定する検出器。




3.その他
発電所名  美浜発電所
件  名 搬出済の低レベル放射性廃棄物の表面線量当量率データの訂正について 
 (添付図4参照)
事象概要
および
対 策 等
 美浜発電所から日本原燃株式会社低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県六ヶ所村)に搬出した低レベル放射性廃棄物(以下、「廃棄体」)について、当社が測定し、同社に提出したデータの一部(表面線量当量率※1)に誤りがあったことを確認し、その旨、同社に報告するとともに、提出済であったデータを訂正しました。
 誤りのあったデータは、平成13年度から19年度に美浜発電所から搬出した全ての廃棄体8,072体のうち378体※2の表面線量当量率で、訂正により値が高くなるものが30体ありましたが、訂正後の数値は最大のもので1.3mSv/hであり(訂正前:1.2mSv/h)、輸送基準※3の2mSv/hに比べ低く放射線安全上問題となるものではありません。なお、表面線量当量率の数値に応じて廃棄体表面に付している標識※4の変更を要するような訂正はありませんでした。
 データ誤りの原因は、低レベル放射性廃棄物搬出検査装置(以下、検査装置という。)のメーカーが、平成12年度に均質固化体に加え、充填固化体を測定できるようにするための改造工事を行った際、演算プログラムに使用する設定値の一部(廃棄体の上面、側面、下面の測定に使用する設定値のうち側面、下面の設定値)を誤って設定していたことでした。
 今後、当社は同装置の改造および修繕の際には、模擬信号を用いて演算した結果と机上の計算値との確認を行うとともに、演算プログラムに使用する全ての設定値を印刷できる機能を追加し、設計値と照合することとし、メーカーにおいても当社と同様の再発防止対策を実施します。 
 なお、当社においては、今回不具合のあった検査装置と同様の装置(メーカーが異なる)が高浜発電所にあり、問題ないことを確認しています。また、検査装置以外に演算プログラムに設定値を入力して表面線量当量率を測定している装置はありません。


 日本原燃株式会社は、廃棄体を受け入れるにあたり、当社が提出したデータを元に廃棄物埋設確認申請書(以下「申請書」)を作成し、独立行政法人原子力安全基盤機構に申請していることから、同社は本日、申請書の一部変更を届け出ています。


  ※1   表面線量当量率
 1時間あたりの廃棄体(ドラム缶)表面の放射線量。単位はmSv/h。
  ※2   378体
 日本原燃株式会社に報告している表面線量当量率のデータは、廃棄体の上面、側面、下面の測定値のうち最大値を用いるとともに、有効数字2桁に切り上げていることから、8,072体全てが影響を受けるものではない。
  ※3   輸送基準
 「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」などの法令で定める輸送に係る基準。(なお、運搬の際は、ドラム缶を収納した輸送コンテナを実測定して、基準内(表面2mSv/h以下等)であることを確認している)
  ※4   標識
 法令で定める表面線量当量率に応じ、ドラム缶表面に色帯を付す(0.5mSv/h以下:標識なし、0.5mSv/h を超え2 mSv/h以下:白 等)。

以 上

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