プレスリリース

2007年12月21日
関西電力株式会社

大飯発電所2号機の調整運転停止について(湿分分離加熱器空気抜き管からの蒸気漏れの原因と対策)

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力117万5千キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、第21回定期検査中、12月15日に調整運転を開始し、電気出力30%出力に達した後、2次系の点検を行っていたところ、点検中の当社社員が湿分分離加熱器※1の加熱蒸気側水室に接続されている空気抜き管の保温材から僅かに蒸気が出ているのを確認しました。
 このため、加熱蒸気の供給を停止する措置を行った上で、保温材を取り外して確認したところ、空気抜き管の直管部で蒸気漏れ箇所を確認しました。当該部はドレントラップ※2出口配管との合流部付近でした。
 蒸気漏れの原因調査を行うため、計画的に原子炉を停止することとしました。
 なお、漏れた蒸気は放射性物質を含まない2次系の蒸気であり、この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。


  ※1: 高圧タービンを出た蒸気を加熱し湿分を除去する機器。
  ※2: 空気抜き管内に溜まった水を下流側の復水器に排出する装置。

[平成19年12月15日 お知らせ済み]


 12月15日23時00分より出力降下を開始し、翌16日午前2時00分に発電を停止、午前3時26分に原子炉を停止した後、蒸気漏れの原因調査を実施しました。

1.調査結果
(1)減肉部の調査結果
蒸気漏れが確認された箇所の外観観察を行った結果、空気抜き管の外面に直径 約2mmの円形の開口部が認められ、その位置は、ドレントラップ下流配管が接続されている位置のほぼ対面位置でした。
超音波肉厚測定の結果、開口部を中心とする範囲で局所的な減肉が認められ、切断後の内面調査の結果、その形状はすり鉢状でした。
減肉部の断面観察を行った結果、液滴衝撃エロージョン※3に見られる鋸刃状の減肉形態が認められました。
  ※3: 液滴衝撃エロージョン・・・蒸気とともに加速されるなどして高速になった液滴が、配管の壁面に衝突したときに、局所的に大きな衝撃力を発生させ、配管表面が侵食される現象。
(2)設備点検結果
ドレントラップ等を分解点検した結果、異常は認められませんでした。
(3)系統構成調査結果
当該系統は、運転中、ドレントラップの上流側(ドレン水側)には、運転圧力がかかっており、一方、ドレン水が排出される下流側は、ほぼ真空の状態まで減圧される系統でした。
また、ドレントラップ下流配管から排出されるドレン水は、直径の大きい真空に近い状態の空気抜き管に流れ込むため、当該部は、減圧膨張し、流速が大きくなる箇所でした。
(4)配管管理の状況
当該箇所は常時流れのある系統ではないことから、「2次系配管肉厚の管理指針」に基づく点検対象の範囲外でした。
また、知見拡充の観点から、平成17年より順次、復水器につながるドレントラップ近傍の下流側偏流発生箇所(曲がり部、合流部等)について点検し、減肉が認められた場合には系統全体の点検を行うこととしていましたが、当該ドレントラップについては、近傍の下流側曲がり部等に減肉が認められなかったため、当該箇所の点検は行っていませんでした。
 
2.推定原因
ドレントラップ下流配管は、より口径の大きい当該空気抜き管に合流しており、運転中のドレントラップ動作時に排出されたドレン水が減圧膨張することで多数の液滴が発生し、当該部でさらに流速を増し、管壁に高速で衝突することによって減肉が徐々に進行して、貫通に至ったものと推定されました。
 
3.対 策
当該配管を炭素鋼配管から減肉に強いステンレス鋼配管に取替えます。
今回の事象を踏まえ、知見拡充の観点からドレントラップ下流の合流部の20箇所について点検を行い、必要な肉厚があることを確認しました。
次回定期検査時に、当該ドレントラップ下流配管を直接復水器に接続する等、配管経路の変更について検討します。
今後、復水器に接続されるドレントラップ下流配管を、計画的にステンレス鋼配管に取替えるとともに、計画的に点検を実施します。

 大飯発電所2号機は、今後、配管取替えを行った後、今週末にも原子炉を起動し、来週初めに調整運転を再開する予定です。

以  上

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