プレスリリース

2006年4月25日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成18年4月25日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中  
2号機 50.0万 第23回 定期検査中(H18.3.3〜H18.6月上旬予定)
3号機 82.6万 事故停止中[第21回定期検査中]
H16.8.9 2次系配管破損事故により停止
(引き続き、H16.8.14〜 第21回定期検査)
H17.1.5〜 定期検査作業中
 
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 第23回 定期検査中
(H18.4.14〜H18.7月下旬予定)
 
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中
2号機 117.5万 第20回 定期検査中
(H18.4.24〜H18.9月上旬予定)
3号機 118.0万 運転中
【現状】
大飯発電所3,4号機 廃棄物処理建屋内での火災について
   
【原因および対策を追加】
大飯発電所3,4号機 復水処理装置再生排水処理設備の排出ガスからのダイオキシン検出の原因と対策について
4号機 118.0万 運転中


2.保全品質情報について

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象


(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名  大飯発電所3,4号機 発 生 日 3月22日
件  名 廃棄物処理建屋内※1での火災について (添付図−1参照)
事象概要
および
対 策 等
 3月22日18時40分頃、廃棄物処理建屋内において火災報知器が動作しました。直ちに現場を確認した結果、建屋のエレベーター出口付近に煙を確認、また、周辺への煙の広がりにより防火扉が動作していることが判明しました。
 19時47分、若狭消防大飯隊員4名および当社社員7名が管理区域内に入域し、現場を確認した結果、廃棄物処理建屋3階面(地上26m)の高さのフィルタバルブ室※2上の中2階で発火を確認しました。(その後一旦退出した若狭消防大飯隊員より20時15分確認)
 20時27分から、若狭消防高浜隊員4名および当社社員3名が消火器および水で消火を行い、22時35分に、消防により鎮火が確認されました。
 建屋への立入者については、速やかに全員退避を完了しており、被ばくもなく、周辺環境への放射能の影響もありませんでした。このうち、協力会社の作業員2名が、若干の煙を吸い込んだため、念のため救急車で病院に向かいましたが、診察を終え、発電所に戻りました。
 3月23日、若狭消防本部ならびに小浜警察署による現場検証が行われ、最も激しく燃えていたのは、フィルタバルブ室上の中2階にある工具や資材などを保管していた棚の中段であることが判明しました。

  ※1 管理区域内で発生する放射性廃棄物(固体、液体、気体)の処理を行う建屋。管理区域内で発生した廃液を処理する装置や、ドラム詰め装置などが設置されており、ポンプ、タンク、配管などが設置されている。
  ※2 廃液を処理する際に異物等を取り除くフィルタやバルブ(弁)が設置してある部屋。その上部のスペースを協力会社の物置き場(ケーブル、養生シート、エアホース、ペンキ、工具などの置き場)としても使用している。

[平成18年3月22日23日 お知らせ済]


 出火原因については、消防、警察により引き続き調査が継続されていますが、消防、警察の調査結果などを踏まえ、対策に全力で取り組み、安全作業の徹底につなげてまいりたいと考えています。

 なお、今回の火災を踏まえ、当社として当面取るべき対策を、適宜実施しているところです。



(2)(1)に至らない軽微な事象

   なし


3.その他情報
発電所名 大飯発電所3,4号機 発 生 日 11月29日
件  名 大飯発電所3,4号機 復水処理装置再生排水処理設備の排出ガスからのダイオキシン検出の原因と対策について (添付図−2および別紙参照)
事象概要
および
対 策 等

 大飯発電所において、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、1,2号機および3,4号機の復水処理装置再生排水処理設備※1(以下「ETA排水処理設備」という)からの排出ガスと排水の試料採取(1回/年の頻度)を行いました。
 その結果、11月29日、分析会社より、3,4号機ETA排水処理設備からの排出ガス中に基準値(5ng-TEQ/m3)を上回るダイオキシンが検出(8.9ng-TEQ/m3)されたとの報告(速報)を受け、即時、ETA排水処理設備の運転を停止するとともに、同設備周辺をロープで区画し、立ち入り制限を行いました。
 また、同設備の運転状況等を確認のうえ、11月30日、関係機関に報告しました。
 3,4号機ETA排水処理設備に関しては、当面の使用を停止し、原因を究明後、必要に応じて設備の改善等を実施することとしました。また、1,2号機の同設備についてダイオキシン濃度を測定するとともに、放水口付近の海域や敷地境界付近の大気、および敷地内の土壌におけるダイオキシン濃度の測定も行い、基準値を十分下回ることを確認しました。

  ※1 復水処理装置再生排水処理設備(ETA排水処理設備):
プラント運転中に、2次系統水中の不純物を除去する復水処理装置の、樹脂を再生する際に発生した廃液を焼却処理する設備。

平成17年12月1日平成18年1月19日 お知らせ済]

 ダイオキシン発生の原因を調査するため、当該のETA排水処理設備の分解・点検や系統における樹脂の混入状況等の調査を実施しました。
 その結果、廃液噴霧ノズルが腐食、破損していること、また、ETA排水処理設備の系統に樹脂が混入していることが分かりました。これらのことから、ダイオキシンの発生メカニズムは、以下のとおりと推定されました。

<ダイオキシンの発生メカニズム>
廃液噴霧ノズル※2が腐食し、ノズル噴霧穴が拡大・変形した。
ノズル噴霧角度が変わり、燃焼炉内の耐火材と接触することなどにより廃液が液状に滴下する状態になった。
廃液の噴霧状態が不良になったことから混入した樹脂が不完全燃焼し、ダイオキシンが発生した。

  ※2 廃液噴霧ノズル
廃液と空気をまじり合わせ、燃焼炉内に送り出す先端部分。
廃液に空気を注入させる「ミキシングコア」、廃液と空気をまじり合わせる空間をつくる「ミキシングノズル」、燃焼炉内に噴霧する先端部の「コーンチップ」から構成されている。

 このため、以下のとおり対策を実施します。


<対 策>
1 廃液噴霧ノズルを新品に取り替える。
(腐食によって穴が拡大したミキシングコアについては、材質をジルコニウムから耐酸腐食に優れたタンタル(Ta)に変更する。)
2 廃液噴霧ノズルは、定期点検毎に分解点検を行うこととし、廃液噴霧ノズル先端部のコーンチップは毎回取り替える。
3 廃液噴霧ノズルの取り付け位置を焼却炉内側へ移動し、ノズル噴霧角度が変わっても耐火材と接触しないよう、寸法余裕を確保する。
4 ETA排水処理設備への樹脂の混入を防止するため、復水処理装置出口ラインにストレーナを設置する。
5 燃焼状態の監視機能を強化するため、廃液噴霧空気圧力計、および流量計を設置する。

 なお、上記1345の対策工事については、本年6月下旬目途で完了する予定です。

 また、同種設備である大飯1,2号機および高浜3,4号機(上記145については既に実施済み)についても同様の対策を実施します。

 以上の内容については、3月31日に関係機関に報告しました。


  保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
  当社ホームページ(/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
  日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

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