当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。
1.運転状況について(平成19年10月14日現在) |
発電所 |
電気 出力 (kW) |
運転状況 |
備 考 |
美 浜
発電所 |
1号機 |
34.0万 |
運転中 |
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2号機 |
50.0万 |
第24回 定期検査中
H19年7月20日〜未定 |
【お知らせ済み】
「A−蒸気発生器入口管台溶接部での傷の確認について」
詳細は2(1)のとおり
【原因対策は新規】
「原子炉補助建屋での水漏れについて」
詳細は3(1)のとおり
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3号機 |
82.6万 |
運転中 |
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高 浜
発電所 |
1号機 |
82.6万 |
運転中 |
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2号機 |
82.6万 |
第24回 定期検査中
H19年8月17日〜未定 |
【お知らせ済み】
「制御棒クラスタ動作検査時の制御棒の動作不良について」
詳細は2(1)のとおり
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3号機 |
87.0万 |
運転中 |
【新 規】
「A−非常用ディーゼル発電機の待機除外について」
詳細は2(2)のとおり
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4号機 |
87.0万 |
運転中 |
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大 飯
発電所 |
1号機 |
117.5万 |
運転中 |
【原因対策は新規】
「大飯発電所1、2号機アスファルト固化建屋における発火について」
詳細は3(1)のとおり
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2号機 |
117.5万 |
第21回 定期検査中
H19年9月30日〜12月下旬までの予定 |
3号機 |
118.0万 |
運転中 |
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4号機 |
118.0万 |
運転中 |
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2.保全品質情報※について
※: |
保全品質情報 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象 |
(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象 |
発電所名 |
美浜発電所2号機 |
発 生 日 |
第24回定期検査中(9月25日) |
件 名 |
A−蒸気発生器入口管台溶接部での傷の確認について
(添付図1参照) |
事象概要
および
対 策 等 |
定期検査中に予防保全対策として、蒸気発生器出入口管台(計4箇所)溶接部表面の残留応力を低減させるためにショットピーニング工事※1を実施することとし、9月15日から9月18日にかけて、その施工前確認のための目視点検および渦流探傷試験(ECT)※2を行ったところ、A−蒸気発生器入口管台溶接部においてECTで13箇所の有意な信号指示が認められ、目視点検で1箇所の傷(ECTで有意な信号指示が確認された箇所)を確認しました。
その後、ECTで有意な信号指示が認められた13箇所で浸透探傷試験(PT)※3を実施したところ、それら全ての箇所において有意な浸透指示模様(最大長さ:約17mm)を確認しました。
このため、超音波装置を用いて傷の深さを測定した結果、浸透指示模様で最大長さを確認した部位で深さ約13mmの傷を確認しました。この傷の深さを考慮すると、当該管台溶接部の板厚(約68mm)は、電気事業法に基づく工事計画認可申請書に記載している板厚(75mm)を下回るものと評価されました。また、その他の部位の傷については非常に浅く、深さの評価が困難です。
なお、当該管台溶接部以外の3箇所(A−蒸気発生器出口管台、B−蒸気発生器出入口管台)については、ECTの結果、異常は認められていません。
今後、当該管台溶接部で確認された傷について、詳細な原因調査を実施するとともに補修方法を検討します。
本事象による環境への放射能の影響はありません。
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※1: |
ショットピーニング工事
金属表面に金属の玉を高速度でたたきつけることにより、金属表面の引張残留応力を圧縮応力に変化させる工事。
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※2: |
渦流探傷試験(ECT)
材料表面に渦電流を流して、材料に発生する電磁誘導の変化から検査対象の傷を検出する方法。
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※3: |
浸透探傷試験(PT)
試験体表面に開口している傷を目で見やすくするため、可視染料の入った高浸透性の液を浸透させた後、余分な浸透液を除去し、現像剤により浸透指示模様として観察する方法。
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[9月25日 お知らせ済み]
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発電所名 |
高浜発電所2号機 |
発 生 日 |
第24回定期検査中(10月1日) |
件 名 |
制御棒クラスタ動作検査時の制御棒の動作不良について
(添付図2参照) |
事象概要
および
対 策 等 |
定期検査中の10月1日、制御棒クラスタ動作検査の一環としてオーバーラップ操作 ※1を行い、制御棒位置の確認を行っていたところ、制御棒ステップカウンタ※2では全ての制御棒が全挿入位置にあることを表示していましたが、制御棒位置指示装置※3では制御棒1本がほぼ全引き抜き位置にあることを確認しました。
このため、制御棒位置指示装置の点検を行った結果、位置指示装置には異常がなく、当該制御棒の手動挿入確認を行ったところ、制御棒駆動装置の電流波形等に正常な波形と異なるものが認められたため、制御棒駆動装置または制御棒の動作不良であると判断しました。
また、本事象による環境への放射能の影響はありません。
当該制御棒について、手動にて挿入および引き抜き操作を繰り返し行った結果、当該制御棒は全挿入位置に挿入されました。
今後、動作不良の原因を調査するため、原子炉容器上部ふたを開放した後、当該制御棒の制御棒駆動軸、制御棒駆動装置、制御棒クラスタ案内管等について点検を行います。
また、当該制御棒クラスタおよび燃料集合体についても点検を行います。
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※1: |
オーバーラップ操作
制御用制御棒を、全挿入位置から全引き抜き位置に引き抜き、再度、全挿入位置に挿入する操作を行った時に、制御バンクが予め定められたプログラム通り動作することを確認する検査。
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※2: |
制御棒ステップカウンタ
制御棒の操作信号を数えて、制御棒位置を検出する装置。
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※3: |
制御棒位置指示装置
制御棒位置指示コイルで制御棒位置を検出し、指示計とプラントコンピュータに信号を伝送し、制御棒位置を表示する装置。
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[10月2日、10日 お知らせ済み]
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(2)(1)に至らない軽微な事象 |
発電所名 |
高浜発電所3号機 |
発 生 日 |
9月28日 |
件 名 |
A−非常用ディーゼル発電機の待機除外※1について
(添付図3参照) |
事象概要
および
対 策 等 |
定格熱出力一定運転中の9月28日、2台ある非常用ディーゼル発電機のうちA号機 (以下、A−DG)の定期起動試験(1回/月)を実施していたところ、ディーゼル機関 (14気筒)のNo.1シリンダ始動弁※2付近にて異音と温度上昇が確認されたため、同DGを停止するとともに、保安規定に基づく運転上の制限※3を満足していないと判断しました。
本事象による環境への放射能の影響はなく、プラントの運転にも影響はありません。
当該始動弁の分解点検を行なった結果、弁体と一体となっている長尺の弁棒を上部で固定しているナットの廻り止めピン(割ピン)がなく、ナットに緩みが生じ、弁体が下がり完全に閉止していない状態でした。他の始動弁についても廻り止めピンがなく、ナットの緩みが認められました。
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※1(待機除外) |
: |
通常、いつでも起動できる状態(待機状態)にある機器を起動できない状態とすること。 |
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※2(シリンダ始動弁) |
: |
DGを起動させる際、クランク軸を回転させるための始動用空気をシリンダ内に注入する弁で、DG起動後、始動弁は閉止する。 |
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※3(保安規定の運転上の制限) |
: |
運転中は、非常用ディーゼル発電機2台が動作可能であること。 |
原因は、弁棒上部のナットには、本来廻り止めピンが取付けられている構造でしたが、当該品はこのピンがなかったことから、定期負荷試験等での弁の開閉動作に伴ってナットが徐々に緩み、弁が完全に閉止しない状態となりDG起動後、シリンダ内の燃焼ガスが始動弁側に逆流し、異音と温度上昇が発生したものと推定されました。
廻り止めピンが取り付けられていなかった原因は、以下の経緯によるものでした。
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○ |
始動弁はDG分解点検時に取り外し、工場にて部品手入れ後、発電所で予備品(ローテーションパーツ)として保管し、次回取付け時、各部の寸法確認し、廻り止めピンの取付けた後、DGに組み込んでいた。 |
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○ |
平成15年、異物管理を徹底するため、工場にて部品手入れと寸法確認、廻り止めピンの取付けまで行い、完成品として発電所に保管し、次回取付け時そのままDGに組み込むよう組立手順を変更した。 |
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○ |
今回の始動弁は、平成15年以前の手順にて手入れし、予備品(廻り止めピンのない状態)として保管されていたが、平成17年のDG分解点検時に組み込む際、新しい手順にて保管されていた予備品(廻り止めピンが取り付けられた完成品)と思い込み、DGにそのまま組み込んだ。 |
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○ |
このため、廻り止めピンが取付けられていない始動弁が組み込んだ。 |
以上のことから、今回の原因は、DG分解点検後の組立時に、部品(始動弁)の品質管理が不十分となり、また、組立手順の変更が予備品(ローテーションパーツ)の管理に全く反映されていないことが原因と推定されました。
対策として以下のとおり実施することとしました。
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○ |
始動弁全台(14台)について、廻り止めピンがある予備品に取り替えた。その後、A−DGの確認試験を行い、9月29日に保安規定に定める運転上の制限を満足した状態に復帰した。 |
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○ |
今回の始動弁の組立手順の変更は、高浜発電所として改訂したものであったことから、高浜発電所にある当該DG以外のDG全7台について、廻り止めピンがついた始動弁が取り付けられていることを確認した。 |
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○ |
今後、機器の分解点検後の組立作業にあたっては、部品の品質管理を徹底するとともに、組立手順を変更する際には、既に保管されている予備品(ローテーションパーツ)が、変更内容に合致した状態で保管されているかを確認する。 |
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3.その他情報
(1)不具合情報
発電所名 |
美浜発電所2号機 |
発 生 日 |
第24回定期検査中(9月13日) |
件 名 |
原子炉補助建屋での水漏れについて (添付図4参照) |
事象概要
および
対 策 等 |
定期検査中の9月13日、協力会社作業員が原子炉補助建屋EL4.0mフロアの開口部(グレーチング)から水が滴下していることを確認しました。このため、直ちに原子炉補助建屋内で実施していた1次系純水タンクとほう酸タンクの残水を床ドレン系統に排水する作業を中止しました。また、現場を確認したところ、開口部周囲の側溝内に水が溜まっていたことから、側溝から水があふれ、開口部から滴下したものと推定されました。
漏えい量は、床の水溜りの大きさとサンプタンクの水位変化から約130リットルと評価され、放射能量は約2.8×103Bqと推定されました。漏えいした水は全て回収しており、外部への漏えいはなく、環境への放射能の影響はありません。
側溝の排水用配管が床ドレン系統に接続されていることから、床ドレン系統配管内を目皿からのぞいたところ、水が溜まっていることが確認されました。このため、床ドレン系統の水の流れが悪いものと考えられました。
[9月14日 お知らせ済み]
調査の結果、配管を閉塞させるような異物は確認されませんでしたが、ほう酸水排水用の水平配管内に一部残水やスラッジ※が堆積していることが確認されました。また、今回の作業前に実施された排水作業の実績を確認したところ、本年7月下旬に濃度の高いほう酸水を排水したことを確認しました。
このことから、前回の排水作業後、配管内に滞留した濃度の高いほう酸水から分離したほう酸が、今回の排水作業により押し流され、堆積していたスラッジとともに、配管内を一時的に閉塞させ、流れを悪くしたものと推定されました。
対策として、床ドレン系統配管内の清掃を行いました。また、今後ほう酸水を排水した場合は、純水にて配管内を洗浄することを社内マニュアルに記載することとしました。
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※スラッジ: |
埃等が水底に堆積した泥状の物質である。 |
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発電所名 |
大飯発電所1、2号機 |
発 生 日 |
9月20日 |
件 名 |
アスファルト固化建屋における発火について (添付図5参照) |
事象概要
および
対 策 等 |
大飯発電所1、2号機は、定格熱出力一定運転中、9月20日にアスファルト固化建屋※4階(非管理区域)において、暖房装置の点検用架台の設置のためグラインダ作業および溶接作業を実施していたところ、作業に伴う火種が落下し、作業場の下部に仮置きしていた塗料缶が発火しましたが、そばにいた協力会社作業員が直ちに消火器で消火しました。また、消防等による現場確認を受けました。
なお、本件において、負傷者は発生しておらず、環境への放射能の影響はありません。
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※: |
アスファルト固化建屋
放射線管理区域で発生する液体廃棄物をアスファルトを用いて固体化するための建屋
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[9月20日 お知らせ済み]
今回の事象は、火気作業現場に可燃性の高い塗料等が蓋などで養生されていない状態で持ち込まれたことや、作業エリアから十分離れていると判断し、塗料缶を作業上の下部に仮置きしたことが要因と考えられました。
対策として、可燃性の高い塗料等については、金属製の缶に蓋(金属製)をすることや、使用時以外に火気作業現場に持ち込まないこととし、また、持ち込む場合は、作業エリアから水平距離で5m以上離すことを社内ルールに反映し、協力会社に徹底します。
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(2)その他情報(工学的安全施設の予防保全作業)
なし
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保全品質情報およびその他情報(不具合情報)については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
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当社ホームページ(http://www.kepco.co.jp/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
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日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”
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以 上