プレスリリース

2007年6月15日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成19年6月14日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 第22回 定期検査中
H18年11月1日〜未定
【お知らせ済み】
「原子炉格納容器内壁面の水のにじみに関する原因と対策について」
詳細は2(1)のとおり
2号機 50.0万 運転中  
3号機 82.6万 第22回 定期検査中
H19年4月4日〜8月上旬までの予定
【お知らせ済み】
「蒸気発生器2次側管板上面および管支持板付近での異物確認の原因と対策について」
詳細は2(1)のとおり

【お知らせ済み】
「A蓄圧タンク窒素供給系統からの僅かな窒素漏れについて」
詳細は2(1)のとおり

【新   規】
「発電機部品(ケーシングボルト)運搬中の協力会社作業員の負傷について」
詳細は3(1)のとおり
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 運転中
4号機 87.0万 第17回 定期検査中
H19年4月13日〜H19年8月上旬までの予定 
大 飯
発電所
1号機 117.5万 第21回 定期検査中
H18年12月22日〜未定(調整運転中)
【お知らせ済み】
B−タービン動主給水ポンプの駆動制御の不調について」
詳細は3(1)のとおり
2号機 117.5万 運転中 【新   規】
「非放射性機器冷却水クーラ海水流量計取り出し計装配管の損傷について」
詳細は2(2)のとおり

【新   規】
「A,B−タービン動主給水ポンプ吐出圧力計取出し配管溶接部の補修について」
詳細は3(1)のとおり
3号機 118.0万 運転中
4号機 118.0万 第11回 定期検査中
H19年5月6日〜H19年8月中旬までの予定
 


2.保全品質情報について
※:

保全品質情報
 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象



(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第22回定期検査中(3月22日)
件  名 原子炉格納容器内壁面の水のにじみに関する原因と対策について  (添付図1参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の平成19年3月22日に、運転員が巡回点検において、原子炉格納容器内のBループ室で床面に小さな水溜り(約5cm×約5cm)と原子炉キャビティ側の壁面が濡れていることを確認しました。このため、キャビティの水抜きを行った結果、壁面からの水のにじみはなくなりました。
 また、キャビティ周辺の壁面および天井面を目視点検した結果、当該箇所以外の4箇所でにじみ跡(ほう酸の析出)が確認されました。
 その後、キャビティとそれにつながるキャナルの内面を覆っているステンレス板の溶接部などについて、貫通傷がないかを確認するための真空発泡試験による点検中に4箇所で僅かな発泡を確認しました。
 なお、にじみ出た水は全て回収しており、環境への放射能の影響はありません。

1.点検および調査結果
(1)キャビティおよびキャナルの点検 
  真空発泡試験等による点検の結果、既に確認されている4箇所以外に発泡箇所は認められませんでした。
  キャビティは使用済燃料プール側(キャナル部)に向かって深さが段差となって深くなっており、4箇所は全てこの段差状の部分でした。
  キャビティおよびキャナルは、コンクリート構造の内側にステンレス板を張り付けており、床面のコーナー部や段差部は、ステンレス製の曲がり板(コーナープレート)やL型材(コーナーアングル)に溶接しています。
  4箇所のうち、3箇所は床面のコーナープレートとの溶接部で、1箇所はキャビティ床面段差部のコーナーアングル材の溶接部でした。

(2)発泡箇所の詳細調査
  コーナープレート溶接部の3箇所について金属組織観察を行った結果、割れはプレート裏面から進展し、塩素型応力腐食割れに特有の様相が認められ、切り出し調査の結果、裏面で塩素が検出されました。
  コーナーアングル溶接部の1箇所の金属組織観察では、延性割れに特有の様相が確認され、切り出し調査の結果、溶接部の溶け込みが少なく、過度の仕上げにより溶接部の厚さが薄くなっていました。

(3)キャビティおよびキャナルの工事実績の調査
  当該ステンレス板はプラント建設時(昭和42〜45年)に施工されており、当時の工事状況としては、大型機器搬入のため原子炉格納容器に仮開口部を設けており、飛散した海塩粒子が付着する可能性がありました。
  前回定期検査において、プラント建設時に設置したステンレス板の上に研磨加工したステンレス板を設置するオーニング設置工事を実施しましたが、今回の4箇所は工事の対象範囲外であり、コーナーアングル溶接部1箇所は当該工事の溶接箇所の近傍にあり、溶接時の引張り力を受けやすい位置にありました。

2.コンクリート点検結果
  壁面や天井面の析出物を成分分析した結果、コンクリート成分であるカルシウム等は検出されましたが、鉄分は検出されなかったことから、コンクリート内の鉄筋に腐食はないものと推定されました。
  水のにじみやほう酸の析出が認められた5箇所のうち3箇所についてコンクリートを削って点検した結果、コンクリート内部で中性化は認められず、鉄筋の腐食や欠損は確認されませんでした。また、周辺のコンクリートについて強度測定し、設計基準強度を上回っていることを確認しました。
  コーナーアングル溶接部切り出しにより露出したコンクリート部を点検した結果、中性化は認められませんでした。

3.推定原因
(1)コーナープレート溶接部の貫通割れ(3箇所)について
   プラント建設時にコーナープレート裏面に付着した海塩粒子が、運転時と定期検査時のキャビティ水張り時の温度変化により、結露・蒸発を繰り返すことで塩素が濃縮し、溶接部の裏面から塩素型応力腐食割れが発生・進展して貫通に至ったものと推定されました。

(2)コーナーアングル溶接部の貫通割れ(1箇所)について
   プラント建設時の施工段階で、溶接金属の溶け込みや厚さが不足していたため、キャビティ水張り時の温度変化に伴う引張り力により、溶接部に延性割れが発生しました。その後、前回定期検査でのオーニング溶接時の引張り力が作用し、割れが拡大したものと推定されました。

(3)水のにじみおよびほう酸の析出について
   水のにじみおよびほう酸の析出が認められた5箇所のうち3箇所については、今回貫通割れが認められた箇所に近いことから、漏れ出たキャビティ水がコンクリート内を通って壁面または天井面からにじみ出たものと推定されました。
 あとの2箇所については、ほう酸の析出を生じさせた貫通割れ箇所は、既にオーニング設置工事で施工したステンレス板で覆われており、今後漏えいはないと推定されました。

4.対 策
  コーナープレート溶接部3箇所については、当該部を切り取って、内面を洗浄した後、新品のコーナープレートを溶接します。
  コーナーアングル溶接部1箇所については、当該部を切り取って、新品のコーナーアングルを十分な溶接金属厚さを確保して溶接します。
  予防保全として、オーニング設置工事を実施していない床面のコーナープレート部およびコーナーアングル部に樹脂を塗布し、遮水性能を高めます。

 これらの作業には1ヶ月から2ヶ月程度を要する見込みであり、その後、原子炉起動準備が整い次第、原子炉を起動して調整運転を開始する予定です。

[平成19年3月23日4月17日6月14日 お知らせ済み]




発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第22回定期検査中(4月25日)
件  名 蒸気発生器2次側管板上面および管支持板付近での異物確認の原因と対策について  (添付図2参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の4月25日、蒸気発生器3台のうちのC−蒸気発生器2次側管板上面の清掃作業を実施するため、カメラで事前点検を行っていたところ、管板上面で円柱状の異物を確認しました。当該円柱状の異物を回収し詳細調査した結果、異物は円錐台形状(長さ約12mm×直径約7mmおよび約11mm)で、金属薄板(長さ約120mm、幅約1〜7mm、厚さ約0.2mm、重量約0.9グラム)が渦状に巻いたものでした。当該異物は炭素鋼で、母材と溶接金属から構成されており、配管の溶接準備として開先加工を行った際に発生した削り屑と考えられました。
 一方、今回の定期検査の計画に基づき、A−蒸気発生器について渦流探傷検査(ECT)を実施するとともに、管支持板穴を点検していたところ、4月27日にカメラにて第3管支持板上で線状の異物を確認しました。

1.C−蒸気発生器管板上面の異物の発生源の調査結果
 今回発見された円錐状の異物が配管等の取替作業時に発生したと推定されたことから、蒸気発生器に至る2次冷却水系統について調査した結果、以下のことが判明しました。
  蒸気発生器上流側の給水ブースタポンプ入口には、異物より小さいストレーナ(約0.5mmの網目状)が設置されており、異物はこのストレーナから蒸気発生器の間で行われた工事に伴うものと考えられました。
  前回定期検査において同範囲で行われた工事を調査したところ、異物混入の可能性がある工事として、A−給水ポンプ出口配管取替工事とB−給水ブースタポンプ出口配管取替工事が想定されました。
  これらの工事では配管取替部が上下に開口しており、新配管溶接前に旧配管に取り付けていた養生蓋を上下同時に取り外した状態で、配管内を覗き込むように下側、上側の順で最終の異物確認を行っていました。

 以上の状況から、下側配管の養生蓋を外した状態で上側配管内の異物確認を行っていた際に、作業員の衣服等に付着していた削り屑が落下して下側配管内に混入し、系統内へ持ち込まれた可能性があると推定されました。

2.A−蒸気発生器管支持板付近の異物の発生源の調査結果
  線状の異物を回収した結果、異物は3つに割れましたが、細長い薄片状(全長約115mm、幅約1mm、厚さ約0.09mm)で、粒状のものが集まった多孔性(スポンジ状)のものでした。
  異物の主成分はマグネタイト(酸化鉄の一種)で、その表面には蒸気発生器伝熱管の表面仕上げ時の加工痕と思われるスジ模様が確認されました。

 以上のことから、当該異物は外部から持ち込まれたものではなく、給水系統の配管から発生した酸化鉄が蒸気発生器伝熱管表面に付着し、線状に剥がれたものと推定されました。

3.今回の事象を踏まえた点検
  蒸気発生器(全3台)の2次側管板上面を点検し、異物等のないことを確認しました。
  今回の定期検査で計画していたA−蒸気発生器に加え、B,C−蒸気発生器の伝熱管全数についてECTを実施し、定期事業者検査にて健全性を確認しました。
  給水ブースタポンプ入口ストレーナ(全6台)から蒸気発生器の間で、異物滞留の可能性がある箇所を点検し、異物等のないことを確認しました。

4.対 策
 配管取替作業時における異物混入を防止するため、以下の項目を社内ルールへ反映し、異物管理のさらなる徹底を図ります。
  異物確認を実施する直前に、異物確認者の作業服や作業靴などの清掃を行う。
  異物確認は1箇所ずつ確実に行い、確認の直前に異物養生を取り外す

また、異物管理に関する協力会社への説明会を実施し、異物管理の再徹底を図りました。(平成19年5月25日実施済み)

[平成19年4月26日5月9日6月14日 お知らせ済み]




発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第22回定期検査中(6月8日)
件  名 A蓄圧タンク窒素供給系統からの僅かな窒素漏れについて (添付図3参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の6月8日、蓄圧タンク(全3台)の漏えい検査を行うため、同タンクに窒素を供給し、所定の圧力にて漏えい確認を行っていたところ、A蓄圧タンクの窒素供給系統配管の溶接部1箇所から僅かに窒素が漏れていることを確認しました。
 このため、今後、当該部を切断し新品の配管に取り替えるとともに、漏えい部について詳細調査を行います。
 なお、B、C蓄圧タンク、および蓄圧タンクにつながる窒素供給配管の溶接部について点検し、当該部以外に漏えいのないことを確認しました。
 本事象による環境への放射能の影響はありません。


  ※蓄圧タンク
      原子炉冷却材喪失事故時など1次冷却系統の圧力が所定値以下に低下した際に、系統に注入 するためのほう酸水を蓄えているタンク。ほう酸水は窒素により加圧(約4.4〜4.5MPa) されている。

[平成19年6月11日 お知らせ済み]




(2)(1)に至らない軽微な事象
発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 6月12日
件  名 B−非放射性機器冷却水クーラ海水流量計取出し計装配管の損傷について 
(添付図4参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の6月12日、配管サポート調査工事のための足場組立作業中に、待機状態であったB−非放射性機器冷却水クーラ※1の海水流量計取出し計装配管に足場板が当って損傷し海水が漏えいしました。
 このため、直ちにB−非放射性機器冷却水クーラの海水側の入口弁を閉止して隔離し、海水の漏えいを停止させました。床面に漏えいした海水(約250リットル)は全て回収され、他の機器等に影響はありませんでした。
 なお、この隔離操作を行った結果、保安規定に定める運転上の制限※2を満足していない状態になりました。
 対策として、損傷部位を新品に取替え同日中に復旧させるとともに、計装設備の付近では極力作業を実施しないこと、やむを得ず作業を行う場合は、計装設備に足場材等が当らないよう確実に防護柵等を設置することとしました。
 なお、本事象による環境への放射能の影響はありません。


  ※1    非放射性機器冷却水クーラ
  放射線管理区域内の機器(換気空調設備、格納容器スプレイポンプ等)で発生した熱を除去するための冷却水を海水により冷却するもの。大飯2号機では、非放射性機器冷却水クーラを2台(A,B)設置している。
  ※2    保安規定に定める運転上の制限
  非放射性機器冷却水クーラの2台(A,B)が動作可能であること。




3.その他情報
(1)不具合情報
発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第22回定期検査中(5月24日)
件  名 発電機部品(ケーシングボルト)運搬中の協力会社作業員の負傷について 
(添付図5参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の5月24日、タービン建屋3階において発電機定期点検工事に従事していた協力会社社員が、発電機のケーシングボルト6本(1本:長さ約700mm、直径75mm、重量20kg)を台車にて発電機近くへ運搬し、その後、ケーシングボルト(1本)を両手で抱えて運搬していたところ、足元にあったエアーホースの束につまずいて転倒し、その際、両手が床とケーシングボルトに挟まれ、指2本を負傷しました。
 原因は、作業区画内には障害物が置かれていましたが、作業員が当該作業エリア内での運搬を意識したこと、障害物は容易にまたげると判断したことから、障害物を乗り越える運搬経路を選択し、足元の障害物につまずき負傷する結果となりました。
 また、作業計画段階に人力運搬に関する危険性を把握していましたが、人力運搬は日々行うことから当日の作業前ミーティングなどでも特段の注意喚起を行っておらず、転倒に関する作業員の危機意識が不十分でした。
 対策については以下のとおり実施します。


  (1) 今回の事例を協力会社に周知し、重量物を人力運搬する際は障害物のない安全な経路を通ること、滑り止めのついた手袋を着用することについて、注意喚起を行った。
  (2) 今後、重量物の運搬作業は、障害物のない安全な経路を確保すること、台車等で可能な限り運搬先付近まで運搬して人力運搬の距離をできるだけ短くすることを、労働安全に関する注意事項表に明記する。




発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 第21回定期検査中(5月29日)
件  名 B−タービン動主給水ポンプの駆動制御の不調について (添付図6参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査の最終段階である調整運転中の5月29日に、B−タービン動主給水ポンプの駆動制御に不調が認められました。現在、制御系機器の点検・取替等を実施しており、作業には今後2週間程度要する見込みです。これに伴い、5月下旬に予定していました本格運転の開始については、当該作業が終了するまで延期します。
 なお、本事象による運転中プラントへの影響はありません。


  ※主給水ポンプ
      復水器の水を蒸気発生器へ供給するポンプ。大飯1号機には4台(A,Bは蒸気の力で回転,C,Dは電動で回転)設置されている。 。

[平成19年6月5日 お知らせ済み]




発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 6月7日
件  名 A,B−タービン動主給水ポンプ吐出圧力計取出し配管溶接部の補修について  
(添付図7参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中のところ、前回定期検査で振動対策として強化型に取替えたA,B−タービン動主給水ポンプ吐出圧力計取出し配管の溶接部(各1箇所)について、溶接作業における熱処理に不備があることが、6月7日にメーカからの報告で判明しました。
 当該部は、溶接の技術基準上は熱処理が要求されている部位ではなく、施工時の浸透探傷検査において異常は認められていません。また、当該ポンプを運転し実施した点検についても異常は認められていませんが、今後の運転に万全を期すため、当該部の補修を実施します。
 補修にあたっては、当該ポンプを予備機に切替え、補修することで給水量は十分確保できることから、プラントの安定運転には影響はありません。


  ※主給水ポンプ
      復水器の水を蒸気発生器へ供給するポンプ。大飯2号機には4台(A,Bは蒸気の力で回転,C,Dは電動で回転)設置されている。



(2)その他情報(工学的安全施設の予防保全作業)

   なし


  保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
  当社ホームページ(http://www.kepco.co.jp/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
  日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

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