プレスリリース

2007年6月14日
関西電力株式会社

美浜発電所3号機の定期検査状況について(蒸気発生器2次側管板上面および管支持板付近での異物確認の原因と対策)

 美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力82万6千キロワット、定格熱出力244万キロワット)は、第22回定期検査中の平成19年4月25日20時頃、蒸気発生器3台のうちのC−蒸気発生器2次側管板上面の清掃作業※1を実施するため、カメラで事前点検を行っていたところ、管板上面で円柱状の異物を確認しました。
 当該円柱状の異物を回収し詳細調査した結果、異物は円錐台形状(長さ約12mm×直径約7mmおよび約11mm)で、金属薄板(長さ約120mm、幅約1〜7mm、厚さ約0.2mm、重量約0.9グラム)が渦状に巻いたものでした。当該異物は炭素鋼で、母材と溶接金属から構成されており、配管の溶接準備として開先加工※2を行った際に発生した削り屑と考えられました。
 一方、今回の定期検査の計画に基づき、A−蒸気発生器について渦流探傷検査(ECT)を実施するとともに、管支持板穴を点検していたところ、4月27日18時 30分頃、カメラにて第3管支持板上で線状の異物を確認しました。

[平成19年4月26日5月9日 お知らせ済み]

1.C−蒸気発生器管板上面の異物の発生源の調査結果
 今回発見された円錐状の異物が配管等の取替作業時に発生したと推定されたことから、蒸気発生器に至る2次冷却水系統について調査した結果、以下のことが判明しました。
蒸気発生器上流側の給水ブースタポンプ入口には、異物より小さいストレーナ※3(約0.5mmの網目状)が設置されており、異物はこのストレーナから蒸気発生器の間で行われた工事に伴うものと考えられました。
前回定期検査において同範囲で行われた工事を調査したところ、異物混入の可能性がある工事として、A−給水ポンプ出口配管取替工事とB−給水ブースタポンプ出口配管取替工事が想定されました。
これらの工事では配管取替部が上下に開口しており、新配管溶接前に旧配管に取り付けていた養生蓋を上下同時に取り外した状態で、配管内を覗き込むように下側、上側の順で最終の異物確認を行っていました。

 以上の状況から、下側配管の養生蓋を外した状態で上側配管内の異物確認を行っていた際に、作業員の衣服等に付着していた削り屑が落下して下側配管内に混入し、系統内へ持ち込まれた可能性があると推定されました。

2.A−蒸気発生器管支持板付近の異物の発生源の調査結果
線状の異物を回収した結果、異物は3つに割れましたが、細長い薄片状(全長約115mm、幅約1mm、厚さ約0.09mm)で、粒状のものが集まった多孔性(スポンジ状)のものでした。
異物の主成分はマグネタイト(酸化鉄の一種)で、その表面には蒸気発生器伝熱管の表面仕上げ時の加工痕と思われるスジ模様が確認されました。

 以上のことから、当該異物は外部から持ち込まれたものではなく、給水系統の配管から発生した酸化鉄が蒸気発生器伝熱管表面に付着し、線状に剥がれたものと推定されました。

3.今回の事象を踏まえた点検
蒸気発生器(全3台)の2次側管板上面を点検し、異物等のないことを確認しました。
今回の定期検査で計画していたA−蒸気発生器に加え、B,C−蒸気発生器の伝熱管全数についてECTを実施し、定期事業者検査にて健全性を確認しました。
給水ブースタポンプ入口ストレーナ(全6台)から蒸気発生器の間で、異物滞留の可能性がある箇所を点検し、異物等のないことを確認しました。


4.対 策
 配管取替作業時における異物混入を防止するため、以下の項目を社内ルールへ反映し、異物管理のさらなる徹底を図ります。
異物確認を実施する直前に、異物確認者の作業服や作業靴などの清掃を行う。
異物確認は1箇所ずつ確実に行い、確認の直前に異物養生を取り外す。

 また、異物管理に関する協力会社への説明会を実施し、異物管理の再徹底を図りました。
(平成19年5月25日実施済み)

以  上

※1: 清掃作業
蒸気発生器の2次側に持ち込まれた給水中の不純物が管板上面に堆積するため、それを取り除く作業を定期検査毎に実施している。
   
※2: 開先加工
配管同士を溶接するために端面をあらかじめ斜めに加工すること。
   
※3: ストレーナ
流体通路にあって、油水、蒸気に含まれている異物を除去する装置。
   
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