プレスリリース

2007年9月7日
関西電力株式会社

大飯発電所1号機の原子炉手動停止に伴う点検結果について(1次冷却材ポンプ封水注入フィルタからの水漏れの原因と対策)

 大飯発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力117万5千キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、定格熱出力一定運転中のところ、9月3日21時15分頃、当社社員が体積制御タンク水位の低下を確認するとともに、加圧器水位についてもわずかに低下傾向にあることを確認しました。
 直ちに関連パラメータを確認したところ、原子炉補助建屋の床ドレンタンク水位の上昇が確認されたため、同建屋内を点検した結果、1次冷却材ポンプのA−封水注入フィルタ※1付近から漏水していることが判明しました。
 このため、B−封水注入フィルタに切り替えるとともに、A−封水注入フィルタの入口弁と出口弁を閉止し、同日23時39分に漏水は停止しました。今後の運転に万全を期す観点から、原子炉を手動停止し、漏えいが発生したA−封水注入フィルタの点検を行うこととしました。
 漏えいした水は補助建屋の床ドレンタンクに回収しており、漏水量は約3.4m(放射能量は約6.8×10Bq)と推定されます。
 また、今回の漏水に伴い、プラント排気筒ガスモニタの指示値が通常値に比べわずかに上昇(約870cpm→約900cpm)※2しましたが、これによる環境への放出放射能量は、約1.4×10Bqと評価され、保安規定に基づく年間の放出管理目標値
(3.9×1015Bq/年)に比べ、200万分の1以下であることを確認しています。
 なお、発電所敷地内および周辺のモニタリングポストの指示値は平常と変わりなく、環境への影響はありません。


  ※1: ポンプ内の水が主軸に沿ってポンプ外部に流出しないようにシール水を注入しているが、その水を浄化するもの。
  ※2: 大飯1号機においては、注意警報値3000cpm、高警報値20000cpm
[平成19年9月4日 お知らせ済み]


 9月4日16時より出力降下を開始し、23時に発電を停止、9月5日0時49分に原子炉を停止した後、漏水が確認されたA−封水注入フィルタの詳細調査等を実施しました。


1.調査結果
(1)漏えい部の調査結果
  当該フィルタは、上部にフランジタイプの蓋が取り付けられた円筒形容器で、フランジ合わせ面の溝にOリング(ゴム製で断面が円形のリング状パッキン)を装着し、3本のボルトで蓋を締め付けて漏れを防止しています。
  外観観察の結果、容器表面の一部に漏れ跡が確認され、Oリングが破断してフランジ合わせ面からはみ出していることが認められました。また、発泡材を用いた漏えい試験で、フランジ合わせ面からの漏えいが確認されました。
  フランジ合わせ面の隙間測定を行ったところ、漏えい部位で最大0.35mmの隙間が認められましたが、その他の部位ではほとんど隙間が認められず、フランジ部の締付けが不均一(片締め)となっていたことが確認されました。


(2)フィルタ取替状況の調査結果
  当該フィルタについては、7月30日にフィルタ取替作業が行われていますが、その作業状況を調査したところ、協力会社作業員は3本のボルトを交互に段階的に締め付け、目視で片締めのないことを確認した後、系統圧力をかけて漏えい試験を実施していました。
  その後、出入口弁を閉じて待機状態としていましたが、9月1日にB−フィルタから当該フィルタへの切替えを行い、通水を開始しました。


2.推定原因
  7月30日のフィルタ取替作業において、フランジ部が片締めとなっていたため、当該部において十分な締付け量が確保されていませんでした。
  このため、9月1日の当該フィルタへの通水開始に伴い、当該部において、系統圧力によりOリングが徐々に外側(フランジ端面方向)に押し出され、Oリングの伸びの限界を超えて破断し、漏えいが発生したものと推定されました。
  なお、片締めとなった原因については、フィルタ取替作業手順書に片締めの確認方法が明記されておらず、適切な締付管理ができていなかったことによるものと考えられます。


3.対 策
  当該フィルタおよびB−フィルタについてOリングを新品に取替えます。取替えにあたっては、片締めにならないよう、隙間ゲージによるフランジ部の隙間管理を実施します。
  今回の封水注入フィルタと同様の1次系水フィルタのフランジ合わせ面について、隙間確認を行い、片締めが確認された箇所については再度締付けを行いました。
  Oリングを使用する容器等のフランジ部における取替作業手順書に、隙間ゲージによるフランジ部の隙間管理を実施することを明記します。
  本事象を協力会社作業員に周知徹底しました。また、本事象を原子力発電所請負工事に関する心得集に事例追加することとしました。

 当該フィルタおよびB−フィルタのOリングを新品に取替えた後、9月8日に原子炉を起動し、同日中に発電を再開する予定です。

以  上

(経済産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 基準4
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     INES:国際原子力事象評価尺度
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