プレスリリース

2005年6月20日
関西電力株式会社

大飯発電所2号機の原子炉起動および調整運転の開始について

1.主要な工事等について
 燃料取替用水タンク取替工事 (図-1参照)
   屋外に設置されている燃料取替用水タンク(ステンレス製)については、建設当初に外面塗装を施していなかったため、海塩粒子の付着による塩素型応力腐食割れの発生が考えられることから、長期保全対策として、応力腐食割れに強いステンレス製で、外面塗装を施した燃料取替用水タンクに取り替えました。

2.保全対策について
 (1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検 (図-2参照)
   国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出入口管台、加圧器サージ管台について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。

 (2)高サイクル熱疲労割れに係る点検 (図-3参照)
   国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去クーラバイパスライン接続部について、超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。
 なお、A系統の余熱除去クーラバイパスライン接続部の一部について、念のため、同形状、同材質の配管に取り替えました。

 (3)2次系配管の肉厚検査等 (図-4参照)
 
 美浜発電所3号機事故を踏まえ、2次系配管1,394箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施しました。また、高圧排気管の直管部54箇所について配管内面から目視点検を実施するとともに、知見拡充の観点で、超音波検査(肉厚測定)を行いました。その結果、計算必要厚さを下回っている箇所が7箇所確認され、さらに6箇所について余寿命が13ヶ月未満であると評価されました。この計13箇所については、炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼に取り替えました。
 過去の点検結果から減肉傾向の見られる部位など、31箇所について当初計画通り炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼や低合金鋼の配管に取り替えました。
 今後の保守性を考慮して、外径2インチ(約5cm)以下の小口径配管239箇所について、炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えました。
   
※: 大飯発電所2号機の第19回定期検査開始時の計画では、2次系配管993箇所の点検を予定していましたが、美浜3号機での2次系配管点検結果等を踏まえ、蒸気発生器ブローダウン系統のステンレス鋼製配管等の401箇所について、追加で点検を行いました。

 (4)中央制御室への蒸気流入に係る点検 (図-5参照)
   美浜発電所3号機事故において、中央制御室につながるケーブルトレイおよび電線管の壁貫通部等のシール施工が不適切であったため、中央制御室への蒸気浸入が認められたことを踏まえ、中央制御室貫通部等418箇所のシール施工状況を点検し、不適切な箇所94箇所を含む366箇所について補修を実施しました。

 (5)復水器伝熱管からの漏えいの疑いに伴う点検 (図-6参照)
   運転中の平成16年12月以降、復水ポンプ出口ナトリウム計の指示値の変動等が確認され、復水器伝熱管の内部を流れる海水が復水器内にわずかに混入している可能性があると推定されたことから、今定期検査において復水器の点検調査を実施しました。
 その結果、復水器伝熱管に漏えいは確認されませんでしたが、3A・3B水室において、水室フランジ部で締め付けボルトの緩みやゴムライニングの損傷(膨れや剥離)が認められたほか、空気抽出管接続フランジ部の締め付けボルトの損傷や緩みが確認されました。
 このため、水室フランジ部や空気抽出管接続フランジ部のについて、損傷等があった締め付けボルトは新品に取り替え、規定トルク値での締め付けを行うとともに、ゴムライニングの補修・取り替えを実施しました。

3.非常用予備発電装置機能検査復旧時の不具合 (別添資料参照)
   6月3日11時04分、非常用予備発電装置機能検査の復旧作業として、4-2B母線への受電を、非常用ディーゼル発電機から起動変圧器に切替えるため、起動変圧器側の4-2SBしゃ断器投入操作中、4-2SBしゃ断器が投入されていない状態で、非常用ディーゼル発電機と接続していた4-2BEGしゃ断器が開放したため、4-2B母線が停電状態となりました。
 その後、11時05分に4-2SBしゃ断器の投入操作を再度行い、4-2B母線は復旧しました。4-2B母線の停電により、運転中のB-余熱除去ポンプが停止しましたが、4-2B母線復旧後の11時09分に再起動しました。
 原因調査の結果、4-2BEGしゃ断器開放の原因となるような異常や不具合は認められず、4-2BEGしゃ断器の動作回路において、異物による短絡等の一時的な不具合が発生したものと推定されました。
 また、4-2SBしゃ断器の投入操作が確実に実施されていなかったことが確認されました。しゃ断器や動作回路の点検を行い、異常がないことを確認した後、再度、非常用予備発電装置機能検査を行い、機能の健全性を確認しました。
 
   
※: 保安規定では、定期検査中(燃料装荷状態)において、運転上の制限として、非常用母線2回線が確保されていること、余熱除去ポンプ1台以上が運転状態であることが求められており、一時的に運転上の制限を満足していない状態に移行したが、直ちに復旧しており安全上の問題はなかった。

4.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
   4台ある蒸気発生器のうち、AおよびC-蒸気発生器伝熱管(計6,764本: 3,382本×2台)について、健全性を確認するため渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。

5.燃料集合体の取り替え
   燃料集合体全数193体のうち、85体(うち64体は新燃料集合体)を取り替えました。
 なお、新燃料集合体64体のうち、56体は集合体最高燃焼度 55,000MWd/tの高燃焼度燃料です。
 また、燃料集合体の外観検査(13体)を実施した結果、異常は認められませんでした。

6.次回定期検査の予定
   平成18年 春頃

以 上

プレスリリース