5月4日、原子炉容器上部ふたの管台70箇所の外観目視点検準備を行っていたところ、制御棒駆動装置取付管台1箇所(No.47)の付け根付近に白い付着物(1次冷却水に含まれるほう酸)を確認しました。5月5日、ほう酸は当該管台の周囲にのみ認められたことから、当該管台からの漏えいであることが確認されました。
また、他の管台(69箇所)についても点検を行ったところ、温度計取付管台1箇所(No.67)の側面および付け根付近にも、付着物が確認されました。
(5月6日 お知らせ済み)
その後、当該管台からの漏えい箇所を特定するため、サーマルスリーブを切断して、ヘリウムリークテスト、渦流探傷検査(以下「ECT」)、浸透探傷検査(以下「PT」)、超音波探傷検査(以下「UT」)などの検査を行いました。
1.制御棒駆動装置取付管台(No.47)
- 当該溶接部についてECTを実施したところ、溶接部の270°付近に有意な信号指示が確認されました。
- ECTにより有意な信号指示が確認された付近の表面を手入れ(切削)し、PTを行ったところ、微小な線状および点状の浸透指示模様が確認されました。
- 浸透指示模様が確認された箇所を目張りし、へリウムリークテストを実施した結果、浸透指示模様が確認された位置以外に漏えいはないと判断しました。
- また、金属組織観察(スンプ観察)を行った結果、浸透指示模様の位置に径方向の、結晶粒界に沿った直線状の割れであることが確認されました。
- さらに、手入れ後、金属組織観察を行ったところ、割れの長さは長くなり、一部の割れはつながり、結晶粒界に沿って枝分かれしていることが認められました。
- 管台内面からECT、UTを行った結果、管台母材部においては、割れは認められず、270°付近で径方向の欠陥と推定される信号指示が認められたほかは、有意な信号指示は認められませんでした。さらに、上部ふた外表面より当該管台の周囲についてUTを行った結果、上部ふた母材部で割れ等の欠陥は認められませんでした。以上のことから、当該管台での漏えいは溶接金属内での径方向の割れが貫通し、漏えいに至ったものと推定しました。
2.温度計取付管台(No.67)
- ヘリウムリークテストの結果、漏えいは認められませんでした。
- ECTやUTを実施した結果、管台母材部および溶接部に有意な信号指示は認められませんでした。
- 点検記録を確認した結果、平成3年の建設試運転時において、上部のシール部で1次冷却水(ほう酸水)が漏えいした事象がありました。
以上のことから、当該管台については、建設試運転時に漏えいしたほう酸が十分に拭き取られず、漏えい跡が残っていた可能性が高いと考えます。
(7月9日 お知らせ済み)
現在、No.47管台で認められた漏えいについて、原因調査を継続しております。 |