プレスリリース

2004年7月12日

大飯発電所1号機の定期検査状況について(燃料取替用水タンクの変形についての原因と対策〔その後の調査結果〕)

 大飯発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力117万5千キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、平成16年6月4日から第19回定期検査を実施中のところ、6月10日8時40分頃、当社社員が燃料取替用水タンク(以下タンク)の上部付近が変形していることを発見しました。

平成16年6月10日 お知らせ済

 タンク変形の原因は、タンクへの仮設ダクトホース取り付けにあたって、平成13年度に作業を協力会社に発注した際、工事仕様書等に取り付け時期が明確になっておらず、タンク水位の低下(タンク内部の圧力が低下)を伴う原子炉キャビティへの水張りを行う際にダクトホースを取り付けたために、その際、たるんで設置されていたダクトホースの一部が倒れ、タンクへの空気の流れが悪くなり、タンク側面部のダクトホースがつぶれたことでタンクへの空気の流れが遮られ、タンク外の圧力(大気圧)に耐えられなくなって変形に至ったものと推定されました。
 対策として、原子炉キャビティからタンクに水を戻す時のみ、仮設ダクトホースの取り付けとテープの目張りを行うことを、発電所内の規則および当該工事の工事仕様書等に明確に記載することとし、燃料取替用水タンクの変形した範囲は同仕様の胴板に取り替えることとしました。なお、次回定期検査では恒設の排気ラインが取り付けられた新しいタンクに取り替えることになっております。      

*: タンクの水位が上昇する際に排気されるタンク内の空気に、微量の放射性ガスが含まれる可能性があるため、より厳密に管理する観点から、定期検査の際に建屋内(管理区域)に排気するように取り付けているもの。
  平成16年6月23日 お知らせ済

 今回の事象は、平成13年度に作業を協力会社に発注した際、仮設ダクトホースの運用が、工事仕様書等に盛り込まれなかったことが原因となっていることから、その背景について引き続き調査を実施しました。

1.調査結果

(1) 仮設ダクトホースの取り付け運用について
a.平成12年度の運用
 最初に取り付けた平成12年度当時の運用方法について、工事を担当した部署の「工事実施担務」に聞き取りを行った結果、ダクトホースの運用にあたっては、関係部署で協議し、タンクからの水抜き時はタンク内部の圧力低下防止対策が必要と認識のもと、タンクに水を戻す時にのみダクトホースおよび目張りを取り付けていました。
b.平成13年度以降の運用  
 平成13年度にダクトホース等の取り付け工事を協力会社に発注する際、平成12年度に作業を行った「工事実施担務」から、別の担務である「工事発注担務」へ本作業の担当引き継ぎを行いましたが、タンクからの排気を管理することに意識が集中し、タンク内部の圧力低下に関する認識が薄れ、タンク内部の圧力低下防止対策の詳細を十分に伝えられていませんでした。このため、協力会社へ発注する際の工事仕様書にも、タンク内に水を戻す時だけダクトホースおよび目張りを取り付けることについて明確に記載されていなかったため、工事の施工手順や、留意点等を記載する協力会社の作業要領書にダクトホース等の取り付け時期が明確に記載されませんでした。
 
 
(2)安全上重要な設備に関する設計検証について
 当社では、不具合の発生を未然に防ぐ観点から「安全上重要な設備」に関する設計検証を行うことを定め、平成12年度に「原子力発電所保修業務要領指針」を改訂しています。燃料取替用水タンクは、「安全上重要な設備」に分類されますが、ダクトホース取付工事は、タンクそのものの仕様変更や形状変更等を伴うものではないため、当時は設計検証対象の工事ではありませんでした。     
 その後、平成15年度にこの「原子力発電所保修業務要領指針」を改訂し、間接的に機器の機能に影響を及ぼす可能性のある工事も対象としましたが、今回のダクトホース等の取り付け作業は、従来から継続実施しており、それまで問題がなかったこと、およびタンクを管理している「設備所管部署」と協議を行うルールとなっていなかったことから、「工事発注担務」が設計検証の対象外であると判断したため、タンク内部の圧力低下防止に対する注意事項(タンク内に水を戻す時だけダクトホースおよび目張りを取り付けること)が抽出されませんでした。
 
 
2. 今後の対策
(1) 直営および委託工事等の実施にあたって、工事を担当する部署は、協力会社を含めた検討や協議等で抽出された注意事項等を明文化し、協力会社を含む関係者全員に確実に周知します。また、注意事項に関連する重要な作業ポイントについて、工事を担当する部署による作業確認と注意喚起等を徹底します。さらに、これらの仕組みが確実に進められていることについて「発電所品質管理部門」による定期的な確認を行います。
(2) 「設備所管部署」と異なる部署が、安全上重要な設備の機能に影響を及ぼす可能性がある仮設物を取り付ける工事を実施する場合、工事を担当する部署が、「原子力発電所保修業務要領指針」に基づき実施する設計検証について「設備所管部署」の確認を得るよう、同指針を改訂します。                                     
 

以 上

(経済産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
- - 0- 0-
INES:国際原子力事象評価尺度