プレスリリース

2004年6月16日

原子力発電所の運営状況について

 当社原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1. 運転状況について(平成16年6月15日現在)

*: 大飯発電所3号機第10回定期検査は、原子炉容器上部ふた制御棒駆動装置取付管台からの漏えいに伴い、 現在原因調査を行っており、本格運転再開時期が当初予定の6月下旬から遅れる見込みです。

 

2.保全品質情報について(平成16年5月分)
*: 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象

(1) 法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象

発電所名 大飯発電所3号機 発 生 日 第10回定期検査中
件  名 原子炉容器上部ふた制御棒駆動装置取付管台からの漏えいについて (添付図-1
事象概要
および
対 策 等

 5月4日、原子炉容器上部ふたの管台70箇所の外観目視点検準備を行っていたところ、制御棒駆動装置取付管台1箇所(NO.47)の付け根付近に白い付着物(1次冷却水に含まれるほう酸)があることを確認しました。
 当該管台について点検を行った結果、付着物は管台の周囲にのみ認められることから、当該管台からの漏えいであることが確認されました。
 また、他の管台(69箇所)についても点検を行ったところ、温度計取付管台1箇所(NO.67)の側面および付け根付近に付着物が確認されましたが、現時点ではこれが当該管台からの漏えいにより生じたものであるかどうかは特定できていません。(5月6日 お知らせ済み
 現在、漏えい箇所を特定するために、調査を継続しております。


(2) (1)に至らない軽微な事象

発電所名   美浜発電所3号機 発 生 日 5月26日
件  名 C-主給水ポンプ(予備待機中)増速機の点検結果について (添付図-2
事象概要
および
対 策 等
 運転中、3台ある主給水ポンプのうち、予備機として待機中のC-主給水ポンプについて、起動確認運転を実施したところ、同ポンプの増速機からごくわずかな異音を確認しました。
 なお、稼動中のA,B主給水ポンプに異常はなく、プラントの安定運転には影響はありませんでした。
 異音が確認された当該増速機を分解し、噛み合う大、小の歯車の点検を行ったところ、5月26日に、大歯車の205枚ある歯のうち、5枚の歯の一部に浸透指示模様が認められ、同箇所に線状の傷を確認しました。  
 また、詳細点検により、大、小歯車の当り面にて、歯幅の全体が当っていないこと(片当り)や、大歯車の線状の傷の破面観察により、疲労割れの特徴を有する模様を確認しました。
 これらのことから、これまでの運転により、経年的に当該増速機の大、小の歯車の当り面にずれが生じ、歯幅全体に分散していた力が片当り箇所に集中し、繰り返し作用することにより、傷が発生、進展したものと推定されました。
 対策として、次回定期検査(8月頃)において、当該増速機の大、小の歯車を新品に取り替えます。
 また、次回定期検査までの期間については、浸透指示模様が認められた歯車を周方向で切削加工するなどの応急措置を講じ、増速機能に問題がないことを確認した上で復旧し、予備機として待機させることとします。
発電所名   高浜発電所1号機 発 生 日  第22回定期検査中
件  名 制御棒クラスタ案内管支持ピンの摩耗について (添付図-3
事象概要
および
対 策 等
 大飯2号機の第9回定期検査において、制御棒クラスタ案内管支持ピンナットの回り止め金具が脱落した事象に鑑み、計画的に制御棒クラスタ案内管支持ピン回り止め金具部(止め金、止めピン)について、水中カメラにより外観検査を実施した結果、全106本のうち、1本の支持ピンのナットおよび止めピンに摩耗が認められました。
 なお、支持ピンとしての機能は問題ありませんでした。 調査の結果、原因は、大飯2号機の事象と同様に、止めピンが1次冷却水の流れによる振動でナットとこすれ合って、摩耗したものと推定されたことから、当該制御棒クラスタ案内管に取り付けられている当該支持ピンおよび、もう片方の支持ピン(合計2本の指示ピン)について、改良型支持ピン(カシメ型)に取替えました。(6月14日 お知らせ済み
発電所名   高浜発電所1号機 発 生 日  第22回定期検査中
件  名 中央制御室非常用循環フィルタユニットA系入口ダンパの動作不良について
(1,2号機共用設備)   (添付図-4) 
事象概要
および
対 策 等
 中央制御室非常用循環系機能検査において、中央制御室非常用循環フィルタユニットA系入口ダンパの動作確認を行ったところ、現地での開度表示板の指示によってダンパが全開していることが確認できなかったため、検査を中断しました。
 本設備は1,2号機共用設備であるため、運転中の2号機側からみて、保安規定の運転上の制限を満足していないと判断しました。
 調査の結果、当該ダンパの状態やダンパオペレータの動作については問題がなく、開度表示板が正規の取り付け位置から若干ずれていたことが確認され、このことにより、全開位置を指示しなかったものと推定されました。
 当該開度表示板を正規の位置に取り付け、開閉試験を行ったところ、正常に開度表示されていることが確認できたことから、保安規定の運転上の制限を満足している状態であると判断しました。(6月14日 お知らせ済み
発電所名   高浜発電所4号機 発 生 日 5月29日
件  名 B直流電源の一時的な喪失について (添付図-5
事象概要
および
対 策 等
 運転中、5月29日18時13分に「B直流電源盤故障・注意」警報が発信しました。 直ちに状況を確認したところ、B直流き電盤にあるしゃ断器(き電盤充電開閉器)の構造・位置確認を行っていた運転員が、盤内を覗き込んだ際に、誤って右手が当該しゃ断器の引き出し用レバーに接触し、レバーが押し下げられたことにより、当該しゃ断器が開放し警報が発信したことが判明しました。
 このため、B直流電源*1が停電しましたが、同日18時21分に当該しゃ断器を手動投入することにより復旧しました。
 なお、このB直流電源の一時的な停電により、蒸気発生器ブローダウン*2第1隔離弁が閉止し、電気出力が一時的に91.0万kWまで上昇しましたが、B直流電源復帰後、同隔離弁を開放したことにより、電気出力は18時40分に90.3万kWに復帰・安定しました。
 対策として、当該しゃ断器および同構造のしゃ断器収納盤の扉面に注意札を取り付け、作業員に注意喚起を行うとともに、次回の定期検査時に、これらのしゃ断器引き出し用レバー手前に保護用のカバーを設置することとしました。
*1: 直流電源設備は3系統(A~C)あり、このうち2系統(A,B)は工学的安全施設動作信号回路など安全上重要な設備に直流電源を供給している。保安規定では、これら2系統が両方とも動作可能であることが運転上の制限として定められているが、今回の場合、B系統のしゃ断器が開放したことにより、B系統の直流電源設備が動作不能状態となり、一時的に保安規定の運転上の制限を満足しない状態となった。
*2: 蒸気発生器の2次側水の水質調査のため、2次側水の一部を復水器に回収するライン
発電所名   大飯発電所3号機 発 生 日  第10回定期検査中
件  名 燃料集合体下部ノズル部で発見された異物について (添付図-6
事象概要
および
対 策 等
 第10回定期検査において、漏えい燃料集合体の調査のため、燃料集合体全数について水中カメラによる外観検査を行ったところ、3体の燃料集合体下部ノズル部で異物が確認されたことから、異物を回収し、調査行うこととしました。(5月12日 お知らせ済み
 回収した異物は、薄板状の金属片1個と、線状の金属3本であり、それぞれについて、外観観察、寸法測定、磁性の有無の確認等を行った結果、薄板状の金属は電気ドリルで金属板の穴あけ加工時に発生する金属片と推定されました。線状の金属3本については、針金(1本)およびステンレス製のナット廻り止めワイヤーの切断片(2本)と推定されました。
 これらは、いずれも作業に伴って発生する金属くずと推定されました。
 異物が発見された燃料集合体が原子炉に装荷された期間(第8回定期検査で装荷以降)に、1次冷却系、1次冷却系に直接つながる系統および原子炉キャビティ*周辺で実施した作業79件について、今回発見された形状の金属くずが発生するかどうかを調査した結果、原子炉キャビティ周辺で行われた作業3件で、その可能性があることが分かりました。
 以上のことから、原子炉格納容器内の原子炉キャビティ周辺での作業において発生した金属くずが、原子炉キャビティ内に落下し、1次冷却系に入り込んだものと推定されました。
 対策として、原子炉キャビティ周辺でのワイヤーの切断作業等、金属くずの発生する作業においては、従来から周囲の養生を行っていますが、さらに、切断箇所の周囲をポリシートで覆う等の飛散防止対策を実施し、発生した金属くずを確実に回収することとします。
 また、原子炉キャビティ周辺の手すりに取り付けている養生板について、取り付け範囲を広げてすき間を減らし、原子炉キャビティ内への微少な異物の落下防止強化を図ります。
*: 原子炉容器の上方に設けているプールであり、燃料取り扱い時にはプール内部にほう酸水を満たすことにより、必要な遮蔽が得られるようにする。

     以 上
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