プレスリリース

2004年7月16日

大飯発電所1号機の定期検査状況について
(2次系主給水配管曲がり部の減肉の原因と対策)

 大飯発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力117万5千キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、平成16年6月4日から第19回定期検査を実施中ですが、計画的に実施している2次系配管の自主点検*1として、7月1日から5日にかけて、主給水隔離弁*2から蒸気発生器までの、主給水配管の超音波による厚さ測定を行ったところ、4系統ある配管のうち、3系統(A,B,C)の主給水隔離弁下流の配管曲がり部で、部分的な減肉により当該部位について法律に基づき国に報告する対象となる厚さ(15.7mm)を下回っている(実測最小値…A:14.5mm、B:12.1mm、C:13.9mm)ことが確認されました。
 なお、本事象による周辺環境への影響はありません。

*1: 2次系配管の自主点検 国内外の原子力発電所で発生した2次系配管のエロージョン・コロージョン(壊食・腐食)による減肉事象に鑑み、平成2年から、自主点検として計画的に2次系配管の厚さ測定を行い、健全性の確認を行っている点検。
*2: 主給水隔離弁  事故時に蒸気発生器への給水を早期に隔離する弁。

平成16年7月5日 お知らせ済

 当該配管曲がり部3箇所を切断し、原因調査を行った結果は以下のとおりです。

1.調査結果  
(1)内面目視点検
 切断した配管の内面を目視点検した結果、割れ等の異常は認められませんでしたが、ほぼ全面にわたり減肉が認められました。 また、切断した曲がり部を拡大観察した結果、エロージョン・コロージョン(以下「エロージョン」)特有の鱗片状の模様が認められました。 なお、主給水隔離弁から曲がり部までの配管の厚さ測定を行ったところ、若干の減肉は認められるものの、厚さは十分余裕があることを確認しました。
一般的に、配管の絞り部、曲がり部など、局所的に流速が大きくなる箇所はエロージョン・コロージョンが発生しやすい。  

(2)運転パラメータ等の調査
 至近の運転データ(主給水流量、温度、圧力)、給水データおよび水質(pH、電気伝導率等)を確認したところ、全て管理値内であり、問題はありませんでした。 また、製造履歴等により、設計どおり製作されていることを確認しました。    
 
(3)流況解析
 主給水隔離弁(玉型弁)および、その下流に位置する配管曲がり部による水流の状況を解析した結果、主給水隔離弁で水流に乱れが生じ、エロージョンを起こす可能性があることが確認されました。また配管曲がり部においては、外側に比べ、内側で流れが速くなることにより、水流に乱れが生じることが確認されました。  
 
(4)過去の点検調査の履歴
 当該曲がり部の過去の点検記録を確認したところ、以下のことが判明しました。
2次系の検査を担当する協力会社が、平成元年に当該部(A,B,C,D系統)の点検を行った際、若干の減肉が認められ、エロージョンの進展の兆候を示していましたが、当時は著しい減肉ではないと判断し、その後定めた点検指針では、当該曲がり部を点検間隔の長い配管に分類(10年で対象箇所の約25%程度を点検)した。
1次系の検査を担当する協力会社が、平成5年に当該部(B,D系統)の点検を行った際、減肉の進展が認められたため、経年監視することとしていたが、減肉調査の管理を行っていた2次系の検査を担当する協力会社を平成8年に変更した際に、当社が1次系の検査を担当する協力会社にデータの提供を依頼しなかったためデータが引き継がれなかった。

 
2.推定原因  
 当該配管曲がり部の上流に位置する主給水隔離弁を水が通過する際に、水流に乱れが生じ、当該配管曲がり部を通過する際に、配管曲がり部において乱れが重畳することにより、エロージョンが発生し、徐々に減肉が進展したものと推定されました。   
 
 
3.対策  
(1)当該配管曲がり部(3箇所)については、同寸法・同材料の配管に取り替えます。  
(2)当該系統(A~D)を含め、主給水隔離弁と同型式の弁を有する系統について、弁の下流側曲がり部等の減肉傾向の監視を強化することとし、点検指針に反映します。なお、当該配管曲がり部を含め、主給水隔離弁から主蒸気隔離弁までの配管の肉厚測定については、自主点検として実施していましたが、今後は定期事業者検査
として、今定期検査から実施します。
(3)過去の肉厚測定結果のデータが点検指針に反映されていなかったことを踏まえ、今後、これまでに蓄積されたデータ等を再度整理し、調査・分析した上で、点検指針の見直しを検討します。また、協力会社を変更した際にデータ引き継ぎがなされなかったことを踏まえ、記録データを確実に引き継ぐことを当社の社内規則に定め、定期的に監査を実施します。  
※:定期事業者検査   電気事業法第55条に基づく検査で、記録の作成・保存が必要となり、国の安全管理審査の対象となる。
        

 なお、過去の点検結果が点検指針に反映されなかった経緯などについて、保守管理等の観点から調査を継続します。                                     
 
以  上
(経済産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
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INES:国際原子力事象評価尺
  
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