プレスリリース

2010年5月20日
関西電力株式会社

高浜発電所2号機 発電機水素ガス冷却器冷却水系統のドレン配管付根からの漏れについて(原因と対策)

 高浜発電所2号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力82万6千キロワット、定格熱出力244万キロワット。定格熱出力一定運転中)において、5月11日10時30分頃、巡回点検中の当社運転員が、タービン建屋2階にある発電機水素ガス冷却器*14台(A、B、C、D号機)のうち、B冷却器の冷却水入口配管のドレン配管付根付近からの冷却水の漏れ(約0.8リットル/分)を確認しました。
 漏れ箇所の点検および補修を行うため、発電機出力を約105%から約 98%に降下させることとし、同日16時22分に出力を約98%とした後、当該冷却器の冷却水系統を隔離し、水抜きを行いました。
 その後、ドレン配管付根付近について外観点検および浸透探傷試験*2を行ったところ、冷却水配管とドレン配管との溶接部からドレン配管にかけて、指示模様(長さ約26mm)を確認しました。
 なお、この事象による環境への放射能の影響はありません。

  • *1:発電機内部を冷却する水素ガスを冷やすための機器。
  • *2:染料の入った液(浸透液)を傷に浸透させた後、余分な浸透液を除去し、現像剤により浸透指示模様として観察する方法。

平成22年5月11日12日 お知らせ済み]

1.調査結果
(1)破面観察等の調査
  • ・当該部を切断し、内表面の浸透探傷試験を行った結果、外表面と同じ部位で指示模様(長さ約23mm)を確認しました。
  • ・断面観察の結果、指示模様を確認した部位でき裂が貫通しており、溶接部の内側に空洞(幅約3.0mm×深さ約2.4mm)を確認しました。
  • ・破面観察の結果、疲労破壊の特徴であるストライエーション状模様*3が確認され、溶接部の空洞部では腐食跡も確認しました。
  • ・ドレン配管は管台等を用いず、冷却配管に穴をあけて直接溶接されていたことから、空洞はこの溶接時(建設時)の欠陥で、腐食は運転に伴うものと推定しました。
  • *3:電子顕微鏡による疲労破面の観察結果において見られる縞状模様をいい、その数や間隔からき裂成長過程の情報が得られる。
(2)当該部の履歴調査等
  • ・当該ドレン配管について製作図と比較したところ、実機の取り付け位置は製作図より約60mm下方となっており、他のドレン配管は製作図どおり取り付けられていました。
  • ・当該ドレン配管の下流にあるドレン弁については、昭和58年に、ねじ込み式の取り付け方法からフランジ式に変更していました。
(3)疲労破壊等に関する調査
  • ・冷却水配管は、発電機の運転時の振動(120Hz)を大きく受けていました。
  • ・ドレン配管の固有振動数*4を調査したところ、今回漏れが発生したドレン配管は119.6Hzであり、発電機の振動数に近いことがわかりました。なお、製作図どおり取り付けられていたドレン配管の振動数は108Hzでした。
  • ・以上の結果から、発電機からの振動と当該配管が共振し、当該ドレン配管の溶接部に繰り返し振動応力が加わっていたと推定しました。
  • ・溶接部の強度評価を実施した結果、溶接部に空洞等のき裂がない場合は、共振による振動応力では疲労破壊は発生しませんが、き裂が2.4mm程度ある場合には疲労き裂が進展することがわかりました。
  • ・当該ドレン配管は、両端とも支持されている構造(入口配管とドレン集合管の2箇所)のため、これまで振動測定を行った実績はありませんでした。
  • *4:配管の重量、長さ等により配管それぞれが持つ固有の振動数。
2.推定原因
  •  当該ドレン配管は、建設時、製作図より約60mm下方に取り付けられ、その後ドレン弁の改造を実施したことにより、当該部の固有振動数が発電機運転時の振動数に近くなっていました。また、ドレン配管を溶接した際に生じていた溶接欠陥部(空洞)において、運転に伴い腐食が進行したことで、共振による振動応力によりき裂が進展し、貫通に至ったものと推定しました。
3.対 策
  • ・当該ドレン配管については、管台を取り付け、差し込み溶接により補修します。またドレン配管にサポートを設置し、共振を回避します。これらについては対策工事後、振動測定によりその効果を確認します。
  • ・両端支持の小口径配管は、共振等による影響が想定される範囲のものについては振動測定を行うこととします。
  • ・配管に直接溶接しているドレン配管等については、管台を用いた溶接方法に計画的に変更します。

 今後、当該配管の対策工事を実施し、漏えい確認により健全性を確認した後、今週中にも定格熱出力一定運転に復帰する予定です。

以 上

プレスリリース