プレスリリース

2010年5月20日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機の発電停止について(発電機水素ガス冷却器の冷却水入口弁フランジ部からの漏れの原因と対策)

 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット。第19回定期検査中の5月10日に調整運転を開始)は、発電機出力約75%で調整運転中の5月12日、当社運転員が2次系の弁操作のため現場に向かっていたところ、発電機水素ガス冷却器*14台(No.1〜4)のうち、No.2冷却器の冷却水入口配管の弁フランジ部から冷却水が漏れている(3滴/秒)ことを確認しました。
 その後、当該冷却器の出入口弁を閉止して当該部を隔離したところ、漏れは停止しました。
 漏れ箇所の点検、補修のためには、発電機水素ガス冷却器4台に共通する冷却水系統*2を隔離する必要があることから、発電を停止することとし、5月12日16時に出力降下を開始し、21時に発電を停止しました。
 なお、この事象による環境への放射能の影響はありません。

  • *1: 発電機内部を冷却する水素ガスを冷やすための機器。
  • *2: 漏れ箇所の上流側にある、冷却器4台に冷却水を供給する系統。

平成22年5月12日お知らせ済み]

1.調査結果
(1)フランジの点検結果
 冷却器の冷却水出入口弁のフランジ部は、配管の上部と下部のフランジの間に弁本体とパッキンを入れ、ボルトで締め付けています。
 今回漏れが認められたNo.2冷却器の入口弁フランジ部について分解点検した結果、漏れが確認された上部フランジのボルト穴部で、パッキンにシート面を貫通する割れを確認しました。
 当該フランジ部のボルトを取り外す際に締め付け力を測定した結果、シート面での漏れ止めに必要な締め付け力は確保されていましたが、漏れが認められたボルト穴での締め付け力は、他のものより小さいことがわかりました。
 パッキンの仕様は、当該部の使用環境(圧力約0.7MPa、温度約29度)に適合しており、パッキン納入時やフランジ部の取り付け前の外観検査記録で、傷等の異常は認められていませんでした。
(2)当該弁に係る作業実績の調査結果
 当該部は、今定期検査において、他の冷却水出入口弁(7箇所)とともに分解点検を実施しました。この分解点検時における当該弁(フランジ部)の取り付け作業状況について作業員への聞き取りを行った結果、
  • ・上部フランジを吊り上げて弁を入れる隙間を確保する
  • ・下部フランジ面にシール剤を塗ったパッキンを取り付ける
  • ・弁を下部フランジにのせる
  • ・シール剤を塗ったパッキンを取り付けた上部フランジを吊り降ろす
  • ・その際、ボルト穴とパッキン穴との位置調整を行うため、棒状の工具をボルト穴に差し込み、パッキンを押し込む
 等の作業を行っていました。
 現場でこれらの作業状況を再現した結果、上部フランジを吊り降ろした際にパッキンが滑って、上部フランジのボルト穴とパッキン穴に芯ずれ(約4mm)が生じました。また、ボルト穴に工具を差し込んでパッキン穴の芯ずれ位置調整を行うと、工具がパッキンに接触する部分に長さ数mm程度の傷をつけることがわかりました。
 この状態で配管内に実機と同じ圧力をかけると、パッキンのボルトの締め付け力が小さい箇所に傷が生じていた場合、傷が押し広げられ、配管内面から外面まで貫通することを確認しました。
2.推定原因
 今定期検査において、当該フランジ部の分解点検作業を行った際、上部フランジ穴とパッキン穴との芯ずれが生じた状態で、ボルト穴に棒状の工具を差し込み位置調整を行いました。この作業でパッキンに小さな傷が生じ、当該ボルト部での締め付け力が小さかったこともあり、この傷が運転時の冷却水圧力により押し広げられて貫通し、冷却水が漏れたものと推定しました。
3.対 策
  • (1)当該フランジのパッキンを新しいものに取り替えます。
  • (2)弁の取り付け作業にあたっては、事前にボルト穴にガイド棒を取り付け、フランジ穴とパッキン穴に芯ずれが生じないようにします。

 今定期検査において、当該部と同様の取り付け作業を行った他の冷却水出入口弁(7箇所)についても、パッキンの取り替えを行います。
 この取り替えにあたっては、冷却水系統全体を停止する必要があることから、5月20日19時頃に原子炉を停止します。

 これらのパッキンの取り替え作業を行った後、冷却水系統の健全性を確認し、5月下旬頃に原子炉を起動し、調整運転を再開する予定です。

以 上

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