プレスリリース

2007年5月15日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について( 平成19年5月14日現在 )
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 第22回 定期検査中
H18年11月1日~未定

※「原子炉格納容器内壁面からの水のにじみについて」の調査後、対策の検討・実施、起動準備を行うことが可能になれば、原子炉起動は夏頃になると考えています。
【お知らせ済み】
「原子炉格納容器内壁面からの水のにじみについて」詳細は2(1)のとおり
2号機 50.0万 運転中  
3号機 82.6万 第22回 定期検査中
H19年4月4日~H19年8月上旬までの予定 
【お知らせ済み】
「蒸気発生器2次側管板上面での異物の点検状況と支持板付近での新たな異物確認について」詳細は2(1)のとおり
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 運転中 【新規】
「使用済燃料ピットエリアでの水漏れについて」詳細は3(1)のとおり
4号機 87.0万 第17回 定期検査中
H19年4月13日~H19年8月上旬までの予定 
大 飯
発電所
1号機 117.5万 第21回 定期検査中
H18年12月22日~H19年5月下旬までの予定
(5月1日から調整運転中)
【お知らせ済み】
「制御棒位置指示装置の不具合について」 詳細は2(2)のとおり
2号機 117.5万 運転中  
3号機 118.0万 運転中
4号機 118.0万 第11回 定期検査中
H19年5月6日~H19年8月中旬までの予定
 


2.保全品質情報について
※:

保全品質情報
 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象



(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第22回定期検査中(3月22日)
件  名 原子炉格納容器内壁面からの水のにじみについて  (添付図1参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の3月22日、運転員が巡回点検において、原子炉格納容器内のBループ室で床面に小さな水溜り(約5cm×約5cm)と原子炉キャビティ※1側の壁面が濡れていることを確認しました。
 この水溜りの水質を分析した結果、放射能とほう酸が確認されたため、この水溜りが生じた原因について調査を実施することとし、3月22日夕方から予定していた燃料装荷を延期することとしました。本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。
 原子炉格納容器内Bループ室壁面からの僅かな水のにじみについては、原子炉キャビティ側の壁面であることから、キャビティの水抜きを行いました。その結果、壁面からの水のにじみはなくなりました。また、キャビティ周辺の壁面および天井面を目視点検した結果、当該箇所以外の4箇所でにじみ跡(ほう酸の析出)が確認されました。
 キャビティとそれにつながるキャナル※2の内面を覆っているステンレス板の溶接部などについて、貫通傷がないかを確認するために真空発泡試験※3などを実施していますが、これまでに4箇所で僅かな発泡を確認しました。
 現在、他の箇所についても継続して試験を実施するとともに、発泡が確認された箇所については詳細調査を実施しています。

  ※1:原子炉キャビティ
    原子炉容器の上部に設置しているプールであり、燃料取替え時に、ほう酸水を満たすことにより、燃料から放出される放射線を遮へいする。
  ※2:キャナル
    キャビティと使用済燃料ピットをつなぐ水路で、燃料移送装置が取り付けられている箇所。
  ※3:真空発泡試験
    検査対象部位に発泡液を塗布し、アクリル透明箱で覆って内部を真空状態にして、発泡液塗布部の泡の発生状態から漏えい箇所を特定する試験。

[平成19年3月23日4月17日 お知らせ済み]



発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第22回定期検査中(4月25日)
件  名 蒸気発生器2次側管板上面での異物の点検状況と支持板付近での新たな異物確認について  (添付図2参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の4月25日、蒸気発生器3台のうちのC-蒸気発生器2次側管板上面の清掃作業を実施するため、カメラで事前点検を行っていたところ、管板上面で円柱状の異物(長さ約10mm、直径約5mm)を確認しました。

 当該異物を回収し詳細調査した結果、配管等の加工作業で発生する金属削り屑と推定されました。このため、当該異物が発生した工事等を特定するなど、発生源の調査を行っています。

 一方、今回の定期検査の計画に基づき、A-蒸気発生器についてECT(渦流探傷検査)を実施するとともに、管支持板穴を点検していたところ、4月27日18時30分頃、カメラにて第3管支持板上で線状の異物(長さ約50mm、直径約1mm[カメラで確認できる範囲])を確認しました。
 今後、蒸気発生器内から異物を取り出し、詳細調査を行います。

 以上の状況を踏まえ、今回の定期検査で以下の点検を実施しています。

  (1) 3台の蒸気発生器全ての2次側管板上面の点検を実施し、新たな異物等がないことを確認しました。
  (2) B,C-蒸気発生器の伝熱管全数についてECTを実施し、伝熱管の健全性を今後確認します。
なお、A-蒸気発生器の伝熱管全数(既施栓管3本を除く3379本)は、既にECTを実施し、異常は認められませんでした。

 <C-蒸気発生器管板部上面の異物の調査状況>
 C-蒸気発生器内から異物を回収した後、外観観察、化学成分分析、組織観察等の詳細調査を実施しました。

 
外観観察の結果、異物は円錐台形状(長さ約12mm×直径約7mmおよび約11mm)で、金属薄板(長さ約120mm、幅約1~7mm、厚さ約0.2mm、重量約0.9グラム)が渦状に巻いたものでした。
 
化学成分分析の結果、主成分は鉄で、その他には微量のケイ素やマンガンが検出されました。
 
組織観察の結果、均一な結晶が見られる金属母材部と、溶接時の熱影響により結晶が不均一となった部分が見られました。

 以上の調査状況から、回収した異物は配管を溶接する際の加工作業等で発生する金属削り屑の可能性があると推定されました。現在、異物の発生源等を特定するため、2次系の給水系統の工事実績等を調査しています。

  ※: 蒸気発生器の2次側に持ち込まれた金属錆が管板上面に堆積するため、それを取り除く作業を定期検査毎に実施している。

[平成19年4月26日5月9日 お知らせ済み]



(2)(1)に至らない軽微な事象
発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 第21回定期検査中(4月19日)
件  名 制御棒位置指示装置の不具合について  (添付図3参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の4月19日、「RPI(制御棒位置指示装置)軽故障」警報が発信しました。
 点検の結果、制御棒位置指示装置全53本中の1本のケーブル、検出器コイル、コネクタのいずれかに不具合があることが考えられたため、詳細点検を実施しました。
 その詳細点検の結果、検出器コイルと引き出し線との接続部において断線箇所が1箇所と接続不完全な箇所1箇所を確認したため、補修しました。また、他の制御棒位置指示装置全数についても点検を行ない健全であることを確認しました。

  ※:RPI(制御棒位置指示装置)
    コイルで制御棒位置を検出し、指示計とプラントコンピュータに信号を伝送し、制御棒位置を表示するもの。

[平成19年4月19日27日 お知らせ済み]



3.その他情報
(1)不具合情報
発電所名  高浜発電所3号機 発 生 日 定格熱出力一定運転中(4月25日)
件  名 使用済燃料ピットエリアでの水漏れについて (添付図4参照)
事象概要
および
対 策 等
 4号機第17回定期検査中の4月25日、4号機燃料取替用水タンク※1を点検するため、同タンクの水を3号機使用済燃料ピット※2へ移送し、その後、使用済燃料ピットからキャナル※3へ仮設ホースで移送していた際、3号機使用済燃料ピット付近の床面に水が溜まっていることを当社社員が発見しました。漏えいした水の量は約120リットルで、放射能量は約8.0×10Bqでした。水は全て回収されており、環境への放射能の影響はありませんでした。また、作業員への被ばくもありませんでした。
 原因を調査したところ、3号機使用済燃料ピットの水をキャナルへ数回に分けて移送した際に仮設ホース先端部とキャナル鋼材との固縛位置が徐々にずれ、キャナルに垂らしていた仮設ホース先端部が持ち上がり、移送していた水が床面に漏れたものと推定されました。
 対策として、仮設ホースが移送中にずれないよう仮設鋼管を設置し、その鋼管にホースを固縛することとしました。


  ※1:燃料取替用水タンク
    使用済燃料の取り出し・装荷時の水源、および原子炉冷却材喪失時の炉心・格納容器内への注入・冷却用の水源として用いるタンク。
  ※2:使用済燃料ピット
    原子炉から取り出した使用済燃料をほう酸水中に貯蔵するプール。
  ※3:キャナル
    キャビティと使用済燃料ピットをつなぐ水路で、燃料移送装置が取り付けられている箇所。




(2)その他情報(工学的安全施設の予防保全作業)

   なし


  保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
  当社ホームページ(http://www.kepco.co.jp/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
  日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

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