プレスリリース

2006年6月15日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成18年6月15日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中  
2号機 50.0万 第23回 定期検査(調整運転)中
(H18.3.3〜H18.6月下旬予定)
【お知らせ済み】
「2次系配管の点検結果について」 詳細は2(2)のとおり。
3号機 82.6万 事故停止中[第21回定期検査中]
H16.8.9 2次系配管破損事故により停止
(引き続き、H16.8.14〜 第21回定期検査)
H17.1.5〜 定期検査作業中
【お知らせ済み】
「格納容器内での水漏れの原因と対策」詳細は2(2)のとおり。
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 第23回 定期検査中
(H18.4.14〜H18.7月下旬予定)
 
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中 【新規】
「B−余熱除去ポンプ軸シール部の点検作業(Oリング取替)について」詳細は3(2)のとおり。
2号機 117.5万 第20回 定期検査中
(H18.4.24〜H18.9月上旬予定)
 
3号機 118.0万 運転中  
4号機 118.0万 運転中  


2.保全品質情報について

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象



(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象

   なし

(2)(1)に至らない軽微な事象
発電所名  美浜発電所2号機 発 生 日 第23回定期検査中
件  名 2次系配管の点検結果について
事象概要
および
対 策 等
 美浜発電所3号機事故を踏まえ、1,113箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。(超音波検査1,077※1箇所、目視点検36箇所)
 その結果、計算必要厚さを下回っている箇所が9箇所確認され、さらに1箇所について次回定期検査までに計算必要厚さを下回ると評価されました。これら計10箇所については、炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えました。 。

  ※1 今定期検査開始時の計画では、2次系配管1,030箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施する計画であったが、スケルトン図と現場との照合結果等を踏まえ、47箇所について追加で超音波検査を行った。

[平成18年5月24日お知らせ済]




発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第21回定期検査中
   (5月16日)
件  名 格納容器内での水漏れの原因と対策 (添付図−1参照)
事象概要
および
対 策 等
 定期検査中の5月16日15時13分に、中央制御室で、格納容器サンプの水位が上昇していることを示す「格納容器サンプ水位上昇率高」の警報が発信しました。運転員が現場を確認したところ、15時40分頃に、仮設キャビティ※1浄化装置※2のホースからキャビティ水が漏えいしたことを発見しました。

 現場の作業員から聞き取り調査を行った結果、使用中の浄化装置のホースを誤って取り外したことにより漏えいが発生したため、直ちに同装置のポンプを停止させたことがわかりました。

 漏えいは、浄化装置が設置されている32mフロアからドレン配管を通じて格納容器下部の格納容器サンプに達し、サンプ水位を上昇させるとともに、各フロアの床面にも漏えいしました。漏えい量は、格納容器サンプの水位上昇分と床面への漏えい量を合わせて約400です。漏えいしたキャビティ水の放射能濃度は8.12Bq/ccであり、放射能量は約3.25×10Bqと推定されました。

 なお、この漏えいにより、作業員1名の足首付近が濡れましたが、サーベイの結果、汚染はありませんでした。また、原子炉の燃料は全て取り出した状態であり、安全上の問題はなく、環境への放射能の影響はありませんでした。

  ※1 キャビティ
原子炉容器の上方に設けているプールであり、燃料取り扱い時にはプール内部にほう酸水を満たすことにより、必要な遮蔽が得られるようにする。
  ※2 仮設キャビティ浄化装置
キャビティ水を浄化するため設置していた仮設の装置。ポンプにより汲み上げたキャビティ水をフィルタにより浄化して再びキャビティに戻している。

[平成18年5月16日お知らせ済]

 原因調査の結果、制御棒駆動軸清掃装置と仮設キャビティ浄化装置とを接続する前には、運転中の浄化装置を停止させる必要がありましたが、作業要領書にそのことが記載されておらず、また、そのことを知っていた作業責任者が、指導員や作業員に対して「装置を停止させる」との明確な指示や注意を与えていませんでした。
 このため、浄化装置が運転中であるとの認識がない状態で、指導員の指示により、作業員がホースを取り外したため漏えいが発生したことが判明しました。

 今回の事象を受けて、直ちに以下の対策を実施します。


  仮設キャビティ浄化装置のホースを取り外す前には、当該装置を停止することを作業要領書等に明記します。
  仮設キャビティ浄化装置については、運転状態が容易に識別できるよう表示を行います。
  当日の作業前の打ち合わせにおいては、作業責任者が設備の運転状態等を作業関係者に対し確実に周知・伝達するよう指導します。

    さらに、以下の対策についても今後実施してまいります。

  仮設設備を利用する際は、当該設備の系統や電源等の隔離など、作業上の重要なステップについてホールドポイントを設定し、作業要領書等に確実に記載するよう社内マニュアルに追記します。
  今後随時本格導入していく労働安全衛生マネジメントシステムにおいて、今回の事例を教訓として、危険予知活動の充実に努めます。
  定期検査中に動作している仮設設備について、運転状態が容易に識別できるよう表示を行います。

[平成18年5月19日お知らせ済]




3.その他情報
(1)不具合情報

   なし

(2)その他情報(工学的安全施設*1の予防保全作業)

   工学的安全施設を、保安規定に基づく予防保全を目的とした点検・保修作業*2のために、一時的に待機除外*3した場合は、工学的安全施設の予防保全作業として今後お知らせすることとします。
  *1 工学的安全施設
安全協定に規定されている、原子力発電所の事故時に放射性物質が放散する可能性がある場合にこれらを抑制または防止するための施設。非常用炉心冷却系統などがある。
  *2 保安規定に基づく予防保全を目的とした点検・保修作業
故障、損傷等のない設備の機能確認試験や消耗品の交換、清掃、手入れ等の点検・保修作業。
  *3 待機除外
通常、いつでも起動できる状態(待機状態)にある機器を、点検・保修のために隔離し、起動できない状態とすること。


件  名 大飯発電所1号機
 B−余熱除去ポンプ軸シール部の点検作業(Oリング取替)について (添付図−2参照)
作業期間 平成18年5月17日〜平成18年5月23日
予防保全
作業の内容
 定格熱出力一定運転中のところ、放射性機器冷却水*1タンク(以下冷却水タンクという)水位が、一時的に僅かに低下する事象が認められました。

 調査した結果、A,B余熱除去ポンプ(以下ポンプという)の定期起動試験*2(1回/月)後に一時的に冷却水タンクの水位低下が発生しており、B−ポンプの軸シール水(余熱除去系統側)に冷却水が混入していることが確認されました。このことから、軸シール部*3で冷却水をシールしているOリング*4の取り付け状態が定期起動試験により一時的に変化し、冷却水が軸シール水側に流入しているものと推定されました。

 このため、計画的に当該ポンプを待機除外として、軸シール部の点検・取替を行い、待機状態に復帰しました。
 なお、点検結果では、Oリング等に傷等の異常は認められず、今回の事象によるポンプの運転への影響もありませんでした。


  ※1 放射性機器冷却水
管理区域内に設置された機器を冷却する水。
  ※2 定期起動試験
保安規定に基づき、定期的に待機中の機器を起動して健全性を確認すること。
  ※3 軸シール部
ポンプ内部の余熱除去系統水が、回転している軸と静止しているポンプ外箱の隙間からポンプ外部に出ないように遮断している部分。
  ※4 Oリング
軸シール部内で余熱除去系統水とポンプの軸シール冷却用の放射性機器冷却水とを遮断している部品。


  保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
  当社ホームページ(/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
  日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

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